2021.2.10
妊産婦に寄り添った日本の周産期医療のあるべき姿とは?ニュージーランドのシステムも詳しく紹介!
写真)司会を務める山田太郎
本日2月9日、第2回「Children Firstの子ども行政のあり方勉強会~子ども家庭庁の創設に向けて」を開催しました。自民党30人の有志によって立ち上げたこの勉強会の経緯と、第1回目の様子については、こちらをご覧ください。(「子ども庁」創設に向け、遂に始動!!Children First、すべては子どもたちのために!)
本日も、リアルとオンライン合わせて40名以上の国会議員にご出席いただき、また、多くの報道関係者にもあえてフルオープンで議論を聞いてもらいました。前回の勉強会も多くのメディアで取り上げられ、国民の関心の高さを感じています。
写真)冒頭で挨拶をしていただいた木原誠二議員。
写真)冒頭で挨拶をしていただいた牧原秀樹議員。
今回の議論を紹介する前に・・・
【1分間アンケートにご協力ください】
この会の呼びかけ人として、皆さんが感じている「子ども・子育て行政」に関する要望や、必要だと思うことの内容を知りたいと考えています。
子育てをされている方はもちろん、学生の方々や子育てをされていない方の要望も積極的にお寄せいただきたいと思っています。アンケートへのご協力と拡散をよろしくお願いします。(回答期限は2/21(日)21時です。)
アンケートに回答する
図)アンケートイメージ
さて、第2回目の今回は『切れ目のない周産期医療の提供』をテーマとし、日本医科歯科大学多摩永山病院院長 中井章人さんと、京都大学大学院医学研究科母性看護・助産分野助教 ドーリング景子さんから、「産婦人科医の現状と取り組みについて~セミオープンシステムと助産師外来、院内助産システムを中心に~」、そして「ニュージーランドのマタニティケアシステムについて」お話を伺いました。
まず、中井先生の講演では、現在の日本では医師は増加しているものの、分娩取り扱い施設の年間時間外労働時間は960時間を超えているという現状、また、下図のとおり、女性医師が急速に増加し、現在では55歳未満では女性が半数を上回るようになり、その女性医師の半数は妊娠や育児によって勤務緩和を受けている実態が指摘されました。
写真)中井章人氏(左)・山田太郎(右)
図)中井章人氏提供資料
このような課題を解決し、密度の高い、安心安全を兼ね備えた周産期医療を提供するためには、院内助産システムと、助産師外来の促進が必要であると強く訴えられました。(院内助産システムとは、緊急時の対応ができる医療機関等において、正常経過の妊産婦のケアおよび助産を助産師が自立しておこなうものです。助産師外来とは、医療機関等において、外来で、正常経過の妊産婦の健康検査と保健指導を助産師が自立して行うものです。)
そして、これらを円滑におこなうためには、行政における「子ども家庭庁」設置などの支援強化が必要である、との提言をいただきました。
次に、ドーリング景子さんからは、ニュージーランドのLead Maternity Carer(LMC)制度について詳しく伺いました。
写真)オンラインで参加してくださった、ドーリング景子氏
この制度は、1996年に成立した制度で、妊婦が選んだケア提供者・責任者(LMC)が妊娠初期から出産・産後6週まで一貫してケアを提供する制度だそうです。92.3%もの妊産婦がLMCを登録し、LMCは助産師94.2%、産科医5.6%、GPが0.2%で構成されています。日本とは異なり、病院勤務の産科医はハイリスクの妊娠・出産、異常・緊急時の周産期医療に専念しています。また、助産師は常に妊婦からの評価がされ、免許は3年ごとの更新制だそうです。
また、LMCが妊婦の自宅に訪問して健診をしたり、産後のケア提供も大変手厚く充実しています。これは、出産場所を変えても、搬送されても、LMCからのケアが続く、母親・子ども目線両方から切れ目のない支援だと思います。
図)ドーリング景子氏提供資料
お産や子育てはすべてが初めてで、自信を無くしたり不安になるものです。そのようなときに、精神的に支え、常に励まし自信をつけてくれる伴走型アプローチの助産師の存在は、
その後の「自分の子どもも大事にしよう」という思いにつながっていきます。それは問題をかかえる妊婦のケアや、児童虐待防止につながっていきます。
図)ドーリング景子氏提供資料
継続ケアから、ケア提供者が伴走しワンストップ窓口になるという視点は、非常に重要であり、このような支援の実現には、子ども家庭庁のような組織が必要です。引き続き、提言に向け、自民党有志の議員とともに議論を深めていきます。
写真)共同事務局を務める自見はなこ議員