2013.6.17

2013年6月13日、経済産業委員会にて質疑いたしました。

議事録

○山田太郎君

 みんなの党の山田太郎でございます。
 本日は、同僚の松田議員の代わりということで初めてこちらの委員会の方で質問をさせていただきます。

 私は、これまで実は製造業向けの支援の会社を自らつくりまして、東証マザーズの方に上場させたりとか、私が絡んだ会社で幾つかの会社を上場させてきました。そういう意味では、ゼロから創業いたしまして三十三から独立をしたんでありますけれども、十年以上まさに中小企業の現場でやっていた人間でありまして、非常にそういう意味では今回の法律改正には思い入れというか期待をするところであります。

 さて、ちょっと質疑の順を変えさせていただいて、債務の株式化というところを先に質疑させていただきたいんですが、今回の法律の中で、株式会社日本政策金融公庫法の一部の改正で、債務の株式は、まさにDESですね、デット・エクイティー・スワップの問題があるかと思います。これをきちっと今回公庫の中に位置付けるということについては、大変私自身は有意義だというふうに思っております。

 ただ、この融資を受ける場合は、実は、企業、事業者は地方自治体の融資とか補助金を受けている場合が多くて、あるいは信用保証協会が絡んでその融資を受けている場合が多いんだというふうに思っています。しかし、地方自治体からの融資や補助金部分について債権放棄をするという、まさにDESをやろうとすることになりますと、その自治体の議会の承認が必要になると、そういうケースが多くて、再生しようとしてもなかなか再生ができない、少しでもそういった支援金、補助金が入っていると再生ができない、こんなケースがあります。

 実は私も幾つかの会社の事業再生を手伝っておりまして、この問題に現場で随分直面してまいりました。そうなってしまうと、せっかく再生できる可能性がある企業もそのまま倒産するということが予想されるわけであります。

 そういった意味で、この問題を解決するためには、条例でそれぞれの首長さんに債権放棄の権限を与えておくということができるかと思っています。そんな話を少しさせていただきたいんですが、お手元の資料を見ていただけますでしょうか。

 お手元の資料を見ていただきますと、まず、今回、最近の十年間で企業再生の事例を中小企業再生支援協議会における実績ということで取らせていただいたんですけれども、四千七百十一件中、このDESを実行できたのは六十件だったということであります。そういう意味で、このまだまだデット・エクイティー・スワップによる再生方法というのはなかなかメジャーになれない。

 まさに、信用保証協会が絡む場合の融資なんというのを見ていただきますと、これは下の方になりますけれども、五十二の自治体団体のうち、こうした条例ですね、先ほど言いました債権放棄の権限を与えるということで、求償権放棄条例を作ると、こういうことをやっている団体は十七自治体、条例が不要な自治体の八自治体を除きますと、まだ制定に関しては未定なところが二十七自治体あるということであります。

 これまで経済産業省の方も働きかけをして制定済みの自治体をここまで増やしていただいたと思うんですけれども、今回の法改正のアナウンスを踏まえまして、法改正の成果がより効果が上がるように、この求償権放棄条例の制定を是非大臣からも各自治体に呼びかけていただけないでしょうか。これを広めていただければ、本当の意味で今回の法律が実効力を持って、潰れないで再生できる企業はたくさんあると思っています。

 私も本当にこの問題では現場で苦々しい思いをしたケースがたくさんありますので、幾つかの会社が救えて、そこにいる従業員も大いに救われて、新たに再生できる可能性は非常に広がるというふうに思っています。是非ここのところは大臣お願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。御答弁いただけますでしょうか。

○国務大臣(茂木敏充君)

 大変重要な御指摘だと思っておりまして、御指摘のとおり、多くの信用保証協会で中小企業そして小規模事業者の事業再生を進めるに際して、信用保証協会の債権を放棄するためには、信用保証協会と損失補償契約を結んでいる地方公共団体の議会の議決と、これが必要になって、これがある意味ボトルネックになると、こういうケースがあるわけでありまして、これまでも中小企業庁長官などから各地方公共団体に対して、その公共団体の長の承認で信用保証協会の債権の放棄が可能となるよう累次にわたって条例制定についての働きかけ、実施をしてきているところでありまして、委員の資料にも、お配りいただきましたように、既に十七都県において条例の制定がなされておるわけであります。

 政府といたしましては、中小企業・小規模事業者の事業再生、経営改善の取組を徹底して支援していく中で、地域においても円滑な事業再生の実現が可能となるよう、各地方公共団体に対して引き続き条例制定の働きかけ、私が先頭に立ってやってまいりたいと考えております。

○山田太郎君

 ありがとうございます。

 大臣が先頭に立ってやるというコミットメントをいただいたので、この問題、大変大きく前に進むと信じております。よろしくお願いします。

 さて、二番目の産業クラスターについて少しお話を伺いたいと思っています。

 今回の中小企業基本法の改正に絡んで産業クラスター政策についてお伺いしたいと思っているんですけれども、実は私、議員になる以前から、先ほどお話ししましたが、産業クラスターに関しても随分仕事を直接やらせていただいてきました。大田区の在住で、実は、区長の方に金型を中心とした産業クラスターの実は提言とか、それから浜松の自動車、バイク又は楽器を中心とした部品製造に関するクラスターの支援、それから、実は先々週も出かけていったんですが、燕三条の方も、やっぱり金属製品加工、特に洋食器では有名なんですけれども、そういったクラスターの状況を支援したり、つぶさに調査してまいりました。

 そんな中で、今、経済産業省の今回の法律に極めて関連すると思いますこの産業クラスター政策なんですが、昨日担当の方にお伺いしましたらば、二〇〇一年から二〇一〇年にかけて予算事業としては百億円使いましたと、ただ、その後は自律発展期だということで政策的には今は何もしていませんと、こういうお話をいただいています。

 ただ、産業クラスターの育成というのは、まさに地域経済の活性化にとって極めて重要なことだと思っています。まさに、地域経済を担う中小企業群の衰退、産業クラスターが崩れていくと、地域の衰退ともろ一緒になって壊れてしまうというケースは、私自身、各地域で見てきた人間であります。そういう意味で、この是非産業クラスターの政策をもう一度見直して、まさに中小企業基本法とともに地域の中小企業の活性化のためにもう一度盛り上げていただけないかなと、こんなふうに実は思っているわけであります。

 我が党の実は道州制の考え方の中でも、実はこれ、私が担当させていただいているんですけれども、地域主権の道州制を進めるためにまさに現地の活性化をするのには、やっぱり産業クラスターの形成が重要だと。単に道州制をつくっても、それは政治でいわゆる道州を割っているだけになってしまいますから、経済の単位とまさに産業のクラスターの単位を有機的に結び付けていくと。特にその中でも、人、物、金の特に金の部分ですね。お金を集めるのを東京に頼らずに、その道州又は地域のクラスターとともに例えば独自の株式取引所をつくるような組合せ。そうなってくると、世界から直接お金を集めたりとか、私自身も何社か自らの会社も含めて上場させていきましたが、地域で活気がある会社がまさに地方で上場していくと、お金も集められるし世界に対して発信していけると、こういうふうにつながってくるかと思っております。

 そういった意味で、今までの産業クラスター政策の延長上ではない、もうちょっと、例えば自民党さんも公明党さんも努力して議論されているようですので、この道州制議論なんか等も踏まえて、違った角度から有機的な産業クラスター、地域クラスターの政策をつくっていただくと、こういうことができないものだろうかと。

 私自身は、これがまさに今回の中小企業基本法の改正に当たって決定打になるんではないかというふうに信じておりますので、是非その辺の大臣の所見をいただければと思っております。

○国務大臣(茂木敏充君)

 道州制の問題にも絡んで、地域における産業集積のお話いただきましたが、戦後の日本の国土政策、昭和三十年代の全国総合計画、いわゆる旧全総から始まりまして、新全総、三全総、四全総と進む中で、昭和五十年代の半ばぐらいから産業集積の重要性と、こういう指摘がされまして、当時の通産省でこの施策を取りましたのが最初が昭和五十八年だったと、私はそんなふうに認識をいたしておりますが、産業クラスターの有効性と、これが議論され始めましたのが十数年前ということになってまいりまして、経産省では、地域内の産業の集積を促進させるために、企業、大学等の産学官連携のネットワークを形成する産業クラスター政策を支援してきておりまして、これまで全国で十八のプロジェクトを組成して、一万二百社の企業、二百九十の大学等が参画をした産学官等の地域ネットワークが既に形成をされております。これらの産業クラスターの取組によりこれまで七万件以上の新規事業が創出をされ、地域経済の自律的な発展に貢献してきたと考えております。

 考え方なんですが、今既に組成されている地域の産業クラスター、これを更に発展させるというのが今私は一番大切な状況ではないかなと考えておりまして、企業立地促進法に基づきまして地域の産業集積を促進をしているところでありまして、政策やっていないわけじゃございません。具体的には、自治体の計画に沿って地域の企業が設備投資を行う場合に税の減免などを支援しておりまして、今後とも地域活性化に向けて産業集積の支援を行っていきたいと考えております。

 まず、こういった既存の……

○委員長(増子輝彦君)

 大臣、時間が大分過ぎておりますのでおまとめください。

○国務大臣(茂木敏充君)

 はい。
 産業クラスターの問題、新規のものにつきましてはまた検討させていただきます。
 失礼しました。

○山田太郎君

 時間になりました。
 是非、経産大臣、先頭に立って我が国の中小企業、盛り上げていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 本日はありがとうございました。