2013.12.4

農地中間管理機構法律案について質疑を行いました。

12月3日、参議院農林水産委員会にて質疑いたしました。

議事録(未定稿)

○山田太郎君

 みんなの党の山田太郎でございます。
 本日は、農地中間管理機構二法案の質疑ということで、法律案そのものと関連について質問させていただきたいと思います。
 この二法案なんですけれども、農地の在り方を今回根本的に変えていこうということで、実は我が党も法案については一定の評価をしております。ただ、機構による農地改革の転換が減反見直しという政策の方向性と一致しているのかどうか、これは少し確認していかなければいけないかなと。予算も非常に大きいものであります。機構本体で一千億円、それから関連する公共事業が五百億ということで、約一千五百億という巨額の費用が本当に有効に使われるのかどうか、幾つか疑問点があります。
 そういった意味で質疑させていただきますが、まず一点目でありますけれども、法案の政策目標についてですが、この法案は、十年後に担い手が利用する農地面積を全農地の八割と、現行五割だということですが、八割に拡大するというところにあると伺っております。そこで、お伺いしたいんですけれども、現在の担い手の数、それから農地面積、担い手が利用する耕地面積はどうなっているのか、教えてください。

○大臣政務官(横山信一君)

 現在の我が国の農業構造を見ますと、これまでの農地流動化の結果として、認定農業者や集落営農を含めたいわゆる担い手の利用面積は農地面積全体の約五割、今御指摘のあったとおりでございます。このようにかなりの変化が見られておりますが、農業の生産性を高め、成長産業としていくためには、担い手への農地集積や担い手ごとの農地の集約化を更に加速化していく必要があるというふうに考えております。
 このため、農地集約化を進める画期的な手法として、都道府県段階に公的な機関として農地中間管理機構を整備し、このスキームを通じて、農地集積については今後十年間で担い手の農地利用が全農地の八割を占める農業構造を実現したいと考えております。
 現在の担い手の農地利用に関するデータとしましては、平成二十二年のデータでございますが、担い手の数は約二十七万経営体。このうち認定農業者は二十五万経営体を占めております。全農地面積は四百五十九万ヘクタール。そして、全農地面積のうち担い手が利用する面積は二百二十六万ヘクタールとなっているところでございます。全農地に占める担い手が利用している農地面積は、したがいまして、約五割、正確には四九・一%となっているところでございます。

○山田太郎君

 それでは、この政策目標である十年後の姿なんですが、同じように十年後の担い手の数、全農地の面積、担い手が利用する農地面積、これ、簡潔に数字だけで結構ですので、教えていただければと思います。

○国務大臣(林芳正君)

 今、横山政務官から答弁いたしましたように、現在の担い手利用面積が二百二十六万ヘクタール、農地面積の約五割でございます。これを五割から八割まで十年間で引き上げるということでございますので、農地面積四百五十四万ヘクタールを前提とすれば、その八割に当たる三百六十三万ヘクタール、これを担い手が利用すると、こういうことになるわけでございます。
 国全体としてこの目標を定めているわけでございますが、これに対応する担い手の経営体数の目標については定めていないわけでございます。これは、担い手の数は担い手の経営内容によっても変わってくるものでございまして、担い手の創意工夫で自由に経営発展してもらうことを期待していることによるものでもあるということでございます。

○山田太郎君

 巨額のお金を使うわけなので、農業の新規就農者の数、それに伴う経営体の数、担い手の数というのは、できれば想定をしながら政策を立てていただきたいとも思っています。
 今、御答弁の中で、多分、どれぐらいの農地が増えて、もしかしたら一部の農地は消失するだろうと、こういうことも考えられるんですが、そのいわゆる十年後のプラマイの数字があれば是非教えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 農地については、基本計画上、これまでの趨勢が今後も継続した場合は平成三十二年時点で四百二十六万ヘクタールになっていくわけですが、耕作放棄地の発生を抑制する、また荒廃した耕作放棄地の再生、優良農地の転用の抑制等の施策を行うことによって、四百六十一万ヘクタールを確保したいと、こうしておるところでありまして、機構はこの問題解決に大きな役割を果たしていくものと考えております。

○山田太郎君

 是非、重要な政策目標ですので、しっかりその数字を公表していただいてもらいたいと思っています。
 次に、減反政策の見直しと農地管理機構の関係について質疑を進めていきたいと思います。
 先日、農水省が進める減反政策、生産調整ですね、の見直しについてヒアリングをさせていただきました。米生産に競争原理を持ち込むことで意欲ある農家が経営規模を拡大していくのが目的だと、こういうふうに認識しておるわけですけれども、実は減反ではなくて見直しだと。どう見直すかというと、米の生産調整はやめるけれども、補助金はメニューを変えて従来どおりお金は配るんだと、こういう内容になっているんではないかというふうに危惧しております。減反によって農家の自立を図るという、競争原理を働かせると期待していたんですけれども、補助金とセットということではこの当初の目標が本当に効果を導くのかどうか、これは非常に疑問も残るところだというふうに思っております。
 お手元の配付資料をちょっと見ていただきたいんですけれども、減反の見直しというのは、現状においては来年度の概算要求で今年の米関係補助金と同じ七千六百五十億円が要求されているということでありまして、いろいろ制度を見直すのでメニューが変わったりとかある程度予算が抑制されていくのかなと思ったら、全く同額の金額が概算要求されているということであります。まさに減反、生産調整の見直しでもって、海外から今後入ってくるかもしれない農作物に負けない競争力を強化するというのがもう一つの政策目標だったのかなと思いますけれども、この補助金が温存されたままではやはり生産性の低い農業が維持されているということも危惧するということであります。
 片や、本日の農地中間管理機構は、農地を集約しまして生産性を高めていく、農家の競争力を高めていこうということでありますが、今申し上げたように、生産性を高めるというところと補助金でもって温存するということは政策の方向性が矛盾しているんではないかと。むしろ政策効果が相殺し合って予算の無駄遣いになりかねないんではないかと、こんな危惧をしているんですけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(林芳正君)

 今回の経営所得安定対策の見直しでございますが、まず、米の直接支払交付金、いわゆる一万五千円の交付金でございますけれども、これは小規模農家を含めた全ての農家を対象にしておるために、やはり集積していくという構造改革と矛盾しているということで、まず半減した上で平成三十年から廃止するということにいたしたわけでございます。
 その上で、予算の総額のお話がございましたが、これは与党自民党の公約にも掲げておったように、振替拡充をしていくと、こういうことでございまして、この直接支払交付金、構造改革と矛盾しているものをやめた上で多面的機能支払を創設していくということをまずうたっております。これは、共同活動を通じて、水路、農道等の管理を地域で支え、担い手、農地集積をしやすくしていく、共同活動を通じてですね、こういう構造政策を後押しするというふうに考えております。
 また、水田活用の方の直接支払交付金ですが、これは餌米等に数量払いの導入などをすることによって、主食用米と実は作期がずれていくということで機械をずれた作期で有効に使うことができる。労働力もそうなんでございますが、こういうことによって経営の効率化が期待され、結果として規模拡大や農地集積が進んでいくものと、こういうふうに考えておりまして、そういう意味で今般のこの経営所得安定対策等の見直しは構造改革と整合性の取れたものであると、こういうふうに考えておるところでございます。

○山田太郎君

 今の指摘の中で、結局また公共事業にばらまきという形でお金が渡る構造なんではないか、あるいは、飼料用作物といってもやはりトウモロコシ等に比べて米がまだ高いということになればその差額を埋め続けるという矛盾も抱える中で、本当にこれが有効に機能するかというのはもう少し練らないと難しいのではないかなというような感想、感覚を持っております。
 さて、もう一つ、農水省は、今回の経営所得安定対策見直し後の農村シミュレーションみたいなところで、減反の見直しで農家の所得が一三%増えると、こんな試算も公表されています。減反の見直しをすると主食用の米の生産は減るという前提を置いておりますが、主食用の米の生産は減るけれども米価の価格は変わらないというようなシミュレーションを置いているようです。
 そこで、ちょっと疑問が湧くわけでありますが、作付面積が減るということになっておりますと、単位当たりで十・五ヘクタールから九・九ヘクタールになるということであります。そうなると、実際には、米のいわゆる生産高は減るわけでありますから米の価格は逆に高くなるのではないかと、こういうふうに思っております。減反を見直したら米の価格が高くなるというと世間の評判が悪くなるというので、意図的に価格は変化しないというような前提を持ってシミュレーションをされたのではないかと少しうがった見方もしておりますが、大臣としてはいかがでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 この大前提に、この米政策、特に主食用の米の需要の減少ということがございます。大体の過去のトレンドからいくと、大体毎年八万トンずつ需要が減少していると、こういうことでございますので、今回の改革はこの需要に応じて生産を進めていくということを一つの大きな柱にしておりまして、このお示ししたイメージ、シミュレーションにおいても主食用米の生産が需要を大きく下回って米価が上昇するということは想定をしておらないわけでございまして、そういった意味で、需要に応じた、需要が残念ながら下がっていくわけですので、それに応じた生産を進めることで米価が変わらないと、こういうふうに試算をしておるところでございます。

○山田太郎君

 それでは、米関係の需要が減るということであれば、米関係の来年度以降の予算は概算要求よりも減額していくというのも一つの姿ではないかと、見直していく必要があるのではないかと思いますが、この点もいかがでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 需要に応じて生産をしていただくことをやっていくということでございますが、委員がどの予算を減らしていくというふうにおっしゃっておられるのか、必ずしもちゃんと理解しておるかどうか分かりませんが、この中間管理機構については分散錯圃の解消を通じて生産コストの低減を図ろうと、こういうことでやっております。
 米政策の見直しは、先ほど申し上げたように、水田をフル活用していこうということで、餌米ですとか、麦、大豆、こういうものを本作化していこうということで、大変大事な構造政策を後押しするための政策でございます。
 また、それと、先ほど申し上げたように、多面的機能の維持発展、これは担い手に集めていくわけですから、担い手が集中してその生産に取り組めるように、水路、農道等の作業の管理負担が担い手へ集中することを防ぐということでございまして、いずれもこの構造政策を後押しするように設計をしておりますので、必要額を確保していきたいと思っております。

○山田太郎君

 この今回の農地中間管理機構の見直し、本当に農政政策を大きく見直すと。もちろん見直すこと自身はいいんですが、また猫の目農政のように、やってみたらうまくいかなかったということでは一番苦しむのは現場でありますので、しっかりしたところですね、特に減反その他との整合性、あとこれからお話しする農地ですね、農地法との絡みについてもきちっと議論していくということを是非お願いしていきたいというふうに思っております。
 さて、ちょっと時間もなくなってきましたので、次の減反等の、農地政策について話を進めていきたいと思います。
 資料をちょっと見ながらいきたいと思いますが、農地違反転用事例の推移というところでございます。まず、平成二十一年に、この資料を見ていただきますと、農地の違反転用に関する罰則を強化されたということで、その後の農地転用の実態を調べていただいたんですけれども、このとおりかどうかということをまず確認したいと思います。

○大臣政務官(横山信一君)

 平成二十一年に農地法を改正いたしまして、お示しいただいたとおりでございまして、農地転用規制を強化するとともに、違反転用の場合の罰金を法人については三百万円以下から一億円以下に引き上げ、罰則を強化をいたしました。その結果、違反転用事案の件数は、改正前の平成二十年に八千百九十七件だったものが平成二十三年には六千七百九十件へと減少しております。

○山田太郎君

 二十一年の農地法改正によって罰則が強化されたということで、その件数は一旦は止まったんですが、その後微増しているということであります。
 そこで、お伺いしたいんですけれども、そもそもこの農地違反転用の事案の原因というんですかね、は何だというふうにお考えなんでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 都道府県に対してこの違反転用事案の原因について詳細な聞き取りを行っているということではないんでございますが、この農地転用許可基準に適合しているんですけれども、所有者等の関係者が転用許可についての知識が不十分で手続上のミスがあったというのがほとんどを占められると、こういうふうに見られておりまして、その後、手続上のミスを是正した上で追認的に許可が行われると、こういうふうになっております。
 他方、こうした手続上のミスにとどまらない事案として都道府県知事が勧告等を行った件数は、平成二十三年で五十四件というふうになっておりまして、これらについては原状回復に向けて適切に対応していく必要があると、こういうふうに考えております。

○山田太郎君

 これは、制度としても違反は違反なわけでありますから、本来、多分、警察であれば一件一件調書を取って調べるような事案にもなりかねないということだと思っています。
 そういった意味で、今後、この辺りしっかり内容を、どういったことがあるのか、こういったことでせっかく中間管理機構をつくって農地を増やしても、違反転用でもって農地が減ってしまうのでは何の意味もないというふうにも思っておりますので、お願いしたいと思います。
 それで、最近の三年間で特にその違反転用がちょっと増えてきています。違反転用されても追認許可がされてしまうのではないかと。一応、追認許可されたものに関しても資料を作っていただいたんですが、例えば、平成二十一年で八八%、二十二年も同じであります、二十三年で八九%ということでありますが、まず、この資料、間違いがないか確認したいと思います。

○国務大臣(林芳正君)

 今おっしゃっていただいたように、平成二十年、二十一年、二十二年が割合で八八%、二十三年が八九%と、こういうことになっております。

○山田太郎君

 まさにその九割が追認されているということ、制度の不理解であったというような話もあったんですが、それは本当かどうかと、それに問題がないのかと。
 そもそも、農地、私の実は実家の方も農地を持っておりまして、農地を販売するには農業委員会の許可が要ることぐらい知っているわけでありますし、登記というものもあるわけでありますから、そんなにその仕組みを知らなかったということで八割の人たちがいわゆる追認許可を受けるのかどうかということなんですけれども、もうちょっとこの辺りについて御答弁いただけますでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 先ほどちょっと申し上げましたように、この手続等の是正指導を行った後に追認的に許可を行ったものが約九割でございますが、先ほど申し上げたように、やはりどうしても関係者がこの転用許可についての知識が不十分で手続上のミスがあったと、こういうことでございます。
 そうでない場合については、原状回復に向けて適切に対応していく必要があるんですが、今委員がおっしゃるように、転用許可についてこの手続面の知識が不十分であるということでこれでいいということにはならないと、こういうふうに思いますので、やはり適切な制度運用を図る上で、きちっとこの周知を図って、こういうような事案、すなわち知識が足りなかったために手続上のミスがあった、こういうような事案が減少するように努めてまいらなければいけないと思っております。

○山田太郎君

 もう一つ、そういう意味では農業委員会の存在があるわけでありまして、まさに農業委員会は農地の番人ということでもあります。
 そこで、農業委員会の担当者それから都道府県の担当者はどれぐらい人数がいて、違反転用の指導や是正に実際当たっているのかどうか、また、そうした職員の活動経費などは国費ではどれぐらいを見ているのか、その辺についても御答弁いただけますでしょうか。

○大臣政務官(横山信一君)

 農業委員会は地域の農地をパトロールする業務を行っております。その際に、違反転用事案を発見した場合には調査を行い、違反者等に対し指導を行っております。さらに、都道府県知事に対して、これらの報告を行っております。
 農業委員会は、この農地パトロールを始め農地法に基づく権利移動許可などの業務を行っておりますが、平成二十三年で、全国の千七百十三農業委員会の農業委員の総数は三万六千三十四人となっているところでございます。また、農業委員会に対する交付金等といたしまして、平成二十五年度では約六十七億円を予算措置しているところでございます。

○山田太郎君

 かなり多くの農業委員が全国にいるわけであります。
 違反転用に対する指導の状況というのをどういうふうに把握されているのかということで、先ほど少し大臣の方からも話がありましたが、私どもに農水省からいただいた報告ですと、平成二十一年、違反転用六千四百八十五件のうち原状回復がゼロ、平成二十二年は違反転用六千五百十九件のうち原状回復が十五件、平成二十三年は六千七百九十件のうち原状回復が十二件という、考えてみれば数が少ないような感じがいたしますが、この辺りも、大臣としてはどのような御感想をお持ちだか御答弁いただけますでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 今お話がありましたように農業委員会もこのパトロールをやると、こういうことでございまして、農業委員会におかれては、やはり地域の農地について熟知をしておられますから、しっかりとこの所有者等から事実関係の調査を行うとか、違反が是正されるように所有者等に指導を行う、都道府県知事に対して報告を行うと、こういうプロセスはあるわけでございますので、運用をきっちりとしていくということと、やっぱり何よりも、先ほど申し上げた元々のところの違反事例を少なくするとともに、そこが少なくなっていけば本当に実態的に違反になっているというところに更にこのリソースを割けるということになっていくと、こういうふうに思っておりますので、やはりきっちりとした運用をやっていかなければいけないと思っております。

○山田太郎君

 今回、違反転用の実態は私どもの事務所要求したことによって明らかになった部分があるんですが、是非、第一歩としては、今後、毎年違反転用の状況をきちっと集計して発表すると。また、その理由が何なのかということを是非農水省さんとしても把握して発表していくということをしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 大変大事な御指摘だと、こういうふうに思っております。やはり違反転用の発生防止それから是正を図っていく上で、全国的な状況を把握するための調査、これは非常に重要だというふうに考えておりますので、今後、調査方法等の在り方とともに、毎年調査結果を公表することについて検討してまいりたいと思います。

○山田太郎君

 ありがとうございました。
 是非、この違反転用の事案をやっぱり減らしていかないと、一方で農地を集積してつくっても、一方では転用されて農地が減ってしまうということになりかねませんので、是非よろしくお願いしたいと思っております。
 さて、その農地集積に当たっては、もう一つ、地籍調査というものも重要だというふうに思っております。実際、今、いろんな農地が誰のものだか分からなくなっていたりとか、きちっと地籍調査が把握されていないというケースも散見されます。今回の管理機構の中でもその地籍調査に関して分析するというようなあれも入っているようですけれども、実際、この辺りについて今後どのようにされていくのか、どんな把握をされているのか、御答弁いただければと思っております。

○副大臣(吉川貴盛君)

 農地のまず台帳につきましてお答え申し上げますけれども、農業委員会の業務の執行に関する基礎的な資料として整備をしているものでありまして、もう委員御承知のとおりであろうかと思いますが、農地の所有者それから借受け者の氏名、住所等が記載されております。さらに、農地の所在、地番、地目、地籍、そして賃借権等の設定状況等が記載をされているところでございます。
 今、九割の農業委員会におきましてはこれについて電算処理システムを導入しておりまして、またさらに四割の農業委員会におきましては電子地図情報システムも導入をしているところでもございます。電子地図情報システムまで整備できるとなりますと、耕作者別の経営農地を色分けで示したり、あるいはまた、耕作放棄地を色分けで示したりすることができるようになります。
 農地利用の効率化及び高度化等を進めるための地域での話合いを円滑に進めていくためにも役立つと考えられておりまして、このために今回農地台帳を法定化をしまして、地図システムを含めて公表するとしているところでございます。

○山田太郎君

 もう一つ質問をしたかったのは現状なんですね。現状、今そういった、じゃ、把握を努めるということで、電算化は結構なことでありますが、現実的に農地は今きちっと地籍調査としてどれぐらいが済んでいるのか、どれぐらいがまだいわゆる所有者等不明な状態になっているのか、その辺り、是非数字があったら教えていただきたいというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

○副大臣(吉川貴盛君)

 数字で示して教えてくれということでありましたが、農地の地籍調査の七割まで分かっているということであります。

○山田太郎君

 今後、中間管理機構のこれを進めていくに当たっては、そうしたら、まだ分かっていないというか、今分かっていない現状の三割に関して、これを一〇〇%に近づけていく準備をされるのか、又は、もう分かっていないということになってしまうと、どういう処置、いわゆる国が召し上げる等も含めていろんなことが考えられると思うんですけれども、この地籍調査、今後どういうふうになっていくのか、ちょっと具体的に教えていただけますでしょうか。

○副大臣(吉川貴盛君)

 この地籍調査は、土地の境界の確定を目的としているものでございまして、農地の利用集積のためのものではないことから、地籍調査の進展の有無が農地流動化に支障となるものではないと、このように存じております。

○山田太郎君

 そうすると、ちょっと話が違ってきちゃうんですけれども、私の質問は、これから中間管理機構が耕作放棄地等も含めて農地を集積していくということであります。耕作放棄地の中には、かなりな数のいわゆる所有者不明、又は誰が所有になっているのか複雑な状況になっていたりとか、正しく登記されていない問題ということもたくさんあるかと思っております。その辺りの実態がどのようになっているのか、それが進まなければ、特に耕作放棄地を本当に今回整理していこうということは非常に難しいというふうに考えているわけなんですね。その辺りを今回どのように考えているのか、どのように把握されているのか、どのように進めていこうとされるのかということを是非お伺いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 今副大臣から答弁させていただきましたように、この地籍調査とそれから農地基本台帳というのは性格が異なっておりまして、地籍調査というのは、国土調査法に基づいて、市町村又は土地改良区がやっておりまして、この土地の所有者の氏名、住所、土地の所在、境界確定ということで、登記所に送付されて登記に反映される、固定資産税課税台帳に反映されると、こういうことであります。
 一方、農地の基本台帳は、農業委員会の交付金の事業実施要領に基づいて農業委員会において整備をいたしまして、実はこの地籍調査結果の農業委員会への送付はないということで、これはつながっていないということでございます。
 したがって、ここにあるこの農地基本台帳を整備することによって、先ほど御答弁をさせていただいたように、この集積化については支障がないと、こういうふうに考えておりますので、この基本台帳の整備を基に集積化を進めていきたいと、こういうふうに考えております。

○山田太郎君

 ごめんなさい、しつこいようなんですけれども、それでは、農地台帳の整備状況というのは、先ほどの七割ということなんでしょうか。農地台帳の整備状況についてお伺いさせていただければと思います。

○国務大臣(林芳正君)

 農地台帳は整っております。先ほど、あれは地籍調査の方がどれぐらいかという御質問だということで、七割という数字をお示ししたということでございます。

○山田太郎君

 ありがとうございます。
 ちょっと農地の地籍の関係に関しては今後も重要だというふうに考えておりますので、引き続きやっていきたいと思います。
 いずれにしても、今回の法案は大変に日本の農政の一つ転換を図るというような内容であります。ただ、いわゆる減反、生産調整の政策機能、それからこの背景にある、今回の機構の背景にあるいわゆる補助金を出して政策誘導をしていくと、それがどのように使われていくのかということでの全体の整合性、それからこの中間機構が本当に農業の自立又は生産力向上につながるものなのかどうか、その辺り、それからそれを整備するためにはそもそもの農地の転用違反の問題、それからその地籍の内容、全て総合的に考えていかないと多分うまくいかないということになりますし、もしこれで今回、バグるようなことがありますと、また猫の目農政というような形でもって大変なことになりますので、そのことをちょっと、今後もこの委員会で注力しながら質疑を続けていければなというふうに思っております。
 私の方からは、質疑は今日はこれぐらいにしたいと思います。ありがとうございました。