2014.3.20

消費税の便乗値上げ問題と食品表示問題に関して質疑を行いました

3月18日、消費者問題に関する特別委員会にて質疑を行いました。

議事録

○山田太郎君

 みんなの党の山田太郎です。ありがとうございます。
 今年の予算ということで、政策的に二つ大きな問題、是非、消費者庁、指針を出してもらいたいなという問題について二点質疑させていただきたいと思います。一点が、消費税の便乗値上げ問題です。予算委員会でもちょっと取り上げたんですけれども、もう一度これを、四月一日からのことですから、やらせていただきたいと思っています。それから、食品表示の問題に関しても少し触れたいと思っております。
 去る二月七日の予算委員会の質疑で、これ、森大臣の方、便乗値上げに関してどのように把握されているかということで私の方が質問させていただきました。その中で、過去の消費税導入、平成九年の引上げ時においては便乗値上げ、確認されていませんという御答弁をいただいています。これが本当であれば大変結構なことでありますが、事前の担当課からの説明ですと、物価ダイヤルに平成九年四月一日に掛かってきた二十六件の電話と、物価レポートに物価上昇は一概に便乗値上げであるとは必ずしも言えませんと書いてあることを根拠としたと、こういうふうにも実は言っておるようです。
 次に、平成九年五月二十六日、衆議院の決算委員会の方でも同じような実は質疑がございまして、配付資料のように、当時の経企庁物価局長が、便乗値上げ的な行為はごく一部の業者に限られておりましてということで、ごく一部の業者に便乗値上げがあったということを実は認めた発言をしております。
 政府としては、転嫁対策については積極的に体制を整えているんですが、消費者の方を向いた便乗値上げに関してはどうなんだろうかなということ。もう四月一日から消費税は上がるわけでありますから、きちっとした物価の動向ということを消費者庁は捉えていかなければいけない。
 これ、当時、じゃ国民の側はどのように捉えたかということなんですけれども、消費税導入時の平成元年五月の総理府世論調査によりますと、便乗値上げを感じた人が六一・六%もいたと、こういうデータも出ております。さらに、平成九年九月の、消費税を三%から五%に上げるときには、これは朝日新聞の報道でありますが、東京都の消費生活モニターアンケートというものでは九割ぐらいいたと、こういう結果も出ているわけなんですね。
 消費者行政を預かる大臣として、この便乗値上げの問題どのように受け捉えられているのか、さらに、過去に便乗値上げということは確認されていないというふうに御認識されているのか、大臣の御答弁いただきたいと思います。

○国務大臣(森まさこ君)

 御指摘のあった平成九年当時の政府からの答弁でございますけれども、平成九年五月二十六日の決算委員会第三分科会におきまして、「便乗値上げ的な行為はごく一部の事業者に限られておりまして、全体としてはおおむね適正な転嫁が行われているものというふうに考えているところでございます。」という答弁が行われております。また、今御指摘のような新聞の報道があったことを承知しております。
 その一方で、平成九年十月に経済企画庁が公表した物価レポートにおいては、一部には消費税率の上昇に見合った幅以上の値上げしている品目があるが、これは季節的要因、原材料コスト、需給動向等の要因による上昇もあることから、一概に便乗値上げであるとは必ずしも言えないとした上で、当時の消費税率引上げ分については、全体として商品・サービス価格におおむね適正に転嫁されたと総括をしているところでございます。
 また、御指摘の東京都の調査におきましては、前回の消費税率引上げの半年後である平成九年九月に消費者に対して便乗値上げに関する感想、印象を尋ねているものと承知をしております。
 いずれにせよ、便乗値上げ防止に向けて、消費者庁としては、便乗値上げ情報・相談窓口の運営や、物価モニター調査による調査、監視など適切に対応してまいります。

○山田太郎君

 今、大臣の方から、消費者庁としては便乗値上げに対する対処をしていくと、こういうふうにおっしゃられたんですが、もう一つ、じゃ、消費者庁が行政指導をしようとすると、実は今のままではできないという欠陥も実は予算委員会の方では質疑させていただきました。
 これは総務省の方にお伺いしたいと思うんですが、行政手続法の第三十六条の指針を見ますと、同一の行政目的を実現するために複数の、いわゆる業者、者に対して行政指導をする場合には、あらかじめ指針を定めて、それを公表しなければいけないという仕組みになっております。つまり、きちっとした指針を消費者庁さんが作り、これを公表しなければ、実は直接消費者庁は行政指導ができないという法律上の立て付けになっておりまして、この辺り、そのとおりかどうか、総務省、お答えいただけますでしょうか。

○副大臣(上川陽子君)

 ただいま行政手続法の第三十六条ということで規定内容を御説明いただきましたけれども、この規定の趣旨でございますが、一般的に申し上げますと、単発的な行政指導ではなくて複数の者に対して同種の行政指導がまた数回行われることが予見されるときに、この当該行政指導を行うこととなる行政機関が自らこのような指針を定めることが求められているものというふうに考えております。

○山田太郎君

 定義をいただきましたが、つまり、このままでいくと、要は何をもって便乗値上げかということ又は便乗値上げがあった場合に消費者庁自身が実は行政指導、指摘もできないと、こういうことになりかねません。
 そこで、大臣の方にもお伺いしたいんですが、こういった行政指針というのを今作られているのかどうか、もし、ないとするんであれば用意されるおつもりはないのかどうか、この辺りの方向性、聞きたいと思います。よろしくお願いします。

○国務大臣(森まさこ君)

 今総務省の方から説明があったとおり、行政手続法第三十六条において、一定の条件に該当する複数の者に対して行政指導をしようとするときには行政機関はあらかじめ事案に応じて行政指導指針を定めなければならないとされているところでございます。
 消費税の導入、引上げに伴う便乗値上げは、平成元年の消費税導入時及び平成九年の消費税率引上げ時には、先ほどの御質問に答弁をしたとおりの総括がされております。また、現時点において、今般の消費税率引上げに向けての便乗値上げの動きも確認をされておりません。このため、現時点においては便乗値上げについて具体的な行政指導の内容、方法等を類型化をするということが困難でございます。仮に便乗値上げの事例が多数出てきた場合、そして類型的な事案に対処する必要性が生じた場合には、行政指導指針を策定するなど、適切な対応を検討してまいりたいと思います。

○山田太郎君

 申し訳ないんですけど、大臣の答弁だと、まるで前回の国民のアンケートは国民の感覚が間違っているというふうに言っているかのように思われます。
 行政ですから、先回り先回りをして、私としては、しっかり本来指針を作って、指針を作るだけの話ですから、これを公表して、変な形での物価上昇というふうにならないということが、消費者の方に寄り添う行政庁としてはあっていいのかなと。今、見ていますと、確かに転嫁問題というのは各省庁が一生懸命、多分下請等の対応ということでやっているんでしょうけれども、消費者に寄り添った行政をやるには、この便乗値上げという問題、しっかり対応していただきたいと思います。
 改めて、もう一度大臣の方にお伺いしますが、この問題、四月一日からもう消費税上げるのに二週間しかありません、行政指針を作られるお気持ちはないのかあるのか、もう一度だけお聞かせいただけますでしょうか。

○国務大臣(森まさこ君)

 御指摘のアンケートというものは東京都において調査をしたものというふうに承知をしておりますけれども、国の方で必要性を認めた場合には、行政指導指針を作るなど、適切な対応をしてまいりたいと思います。

○山田太郎君

 ちょっと水掛け論になっていますので、また引き続きやっていきたいと思います。
 二点目の、もう一つ消費者庁が方針を決めていただきたいというのは、例の食品表示問題の件であります。昨年随分と話題になりましたこの問題でありますが、消費者庁さん、メニュー、料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方というガイドラインを作りまして、五百十五件の意見が寄せられたということであります。ガイドラインを作るということでありますが、これ、いつまでに作られるんでしょうか。

○国務大臣(森まさこ君)

 ガイドラインの原案に対して、平成二十五年十二月十九日から平成二十六年一月二十七日までパブリックコメントを実施しまして、五百十五件の御意見を頂戴いたしました。
 事業者の予見可能性を高める観点から、できる限り早く取りまとめたいと考えておりますけれども、パブリックコメントにおいていただいた御意見、その他にもいただいている団体等との意見交換等、これもしっかりと検討していくことも重要でありますことから、現在、いただいた御意見について検討を加えているところでございまして、時期としましては三月中ないし、遅くとも四月早々には公表したいというふうに考えているところでございます。

○山田太郎君

 この問題、それぞれの食品メーカー等も待っている問題です。仕事上も大変影響を受けますので、是非早く作っていただきたいと思います。
 その中でなんですけれども、十二月十九日に一旦ガイドラインを示されて、それをパブリックコメントを掛けたということですが、その中で、サーモントラウト、ニジマスとサケはこれは違うということで、サーモントラウトを使ったサケ弁当は駄目だと当初はなっていたんですが、実はこれ森大臣、大臣の会見によりますと、ニジマスをサケと表示してもよいと、こういうふうに実は変わりました。これは業界団体からの強い要望があったというふうに聞いておりますが。
 それでは、業界団体からの要望があれば、どんどんオーケーになっていくのかと。消費者の担当者に聞いたら、実はこれはまだ決まっていない話だというふうにおっしゃっているんですけれども、一体どのようにどう決めていくのかということがちょっと分からないんですね。あくまでも、何をもってオーケーで何をもっていけないかということが、どういうふうに、この急いで今作っていらっしゃるガイドラインで決めていかれるのか、その辺り、大臣の方から御答弁いただけますでしょうか。

○国務大臣(森まさこ君)

 今、御質問で、一旦ガイドラインを示されたというふうにおっしゃった点は、ガイドラインの原案でございますので御確認いただければと思います。ガイドラインの原案を作りまして、それをパブリックコメントに掛けました。
 そこで様々な御意見をいただいたわけでございますが、報道等もありまして、実はサケ弁当についてはガイドラインには記載がないのでございますけれども、その点、少々誤解があったようでございまして、サーモントラウトとサーモンについては、今般の偽装表示事件の中に事案があったので、その点について原案に書かれておりました。それをサケ弁当というふうに特定をしてガイドラインに記載をしているわけではないんですけれども、そのような誤解がありましたので、私は国会答弁の中で、シャケ弁当についてはガイドライン原案に書いてあるわけではございませんというふうに確認をした上で、いずれにせよ、皆様の消費者としての感覚、意見等も参考にしつつ、分かりやすいガイドラインを作ってまいりますというふうに御答弁を申し上げております。
 皆様の御意見をしっかりと参考にいたしまして、食品偽装表示に該当する場合のガイドラインを策定をしてお示しをしてまいりたいと思います。

○山田太郎君

 偽装か偽装じゃないかというのは非常に微妙なところがありまして、ひとつ、ばかばかしいと言っちゃすごく怒られるんですが、丁寧にやらなきゃいけないところだと思うんですね。
 例えば、手ごねハンバーグがこれが機械練りだったらどうなのかとか、炭火コーヒーが電気焙煎だったらどうなのかとか、オレンジジュースと書いてあるミカンジュースはどうなっちゃうのかとか、エンガワと書いてあるヒラメは、ヒラメじゃなくてオヒョウとかカラスガレイだそうでございまして、回転ずしさんなんかはどういうふうに今後表示していけばいいか分からないということであります。ブリも天然とハマチの養殖とそれぞれどういうふうに切り分けていくのか。どのように決めていくのか、その辺も分からないままガイドラインが突如三月、四月に出るのか、この辺りも少し大臣の方、中身の議論、いろいろ教えていただけないでしょうか。

○国務大臣(森まさこ君)

 今様々な具体例のお示しがございました。本ガイドラインは、今般、偽装表示問題で挙げられました事例等を取り上げつつ、メニュー、料理等の食品表示に係る食品表示法の考え方を整理し、事業者の予見可能性を高めること等を目的として作成をしているものでございます。
 これまでも過去の処分例というのはございまして、それを御覧をいただけますと、この法が定めております表示が著しく優良であると消費者に誤認を与える場合というものがどういうものかという一定の例示にはなると思いますけれども、その過去の処分例だけではなくて、ガイドラインをしっかりお示しをしようということで今作成をしているところでございます。
 これについては、パブリックコメントでいただいた御意見や消費者団体、事業者団体との意見交換でいただいた御意見等も参考に作成も進めてまいりますが、個別のお問合せをいただいてもできる限りお答えをしてまいりますので、お迷いになるような今お示ししたような事案についてはお問合せをいただければというふうに思います。

○委員長(行田邦子君)

 質疑終了時刻が参りましたので、質疑をおまとめください。

○山田太郎君

 時間になりました。今のような答弁ですと個別に消費者庁に電話掛かりまくりだと思いますので、できればきちっとガイドラインを作っていただいてはっきりした方がいいなと。大変な、消費者、混乱になると思いますし、是非ここのところ、消費者行政よろしくお願いしたいと思います。
 これで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。