2014.12.12

ここがヘンだよ公職選挙法(20141212)

■公職選挙法
前回の安倍政権で、公職選挙法(以下、公選法)や政治資金規正法に関わる様々な問題が浮上したことが影響したのか、今回の衆院選では、各政党とも公選法に抵触しないように、慎重に選挙活動をしているように感じます。
この公選法という法律には、実は「ヘンな部分」が多々あり、私としては改正が必要だと考えています。実際に公選法とはどのような法律なのでしょうか。

■選挙運動の制限
選挙活動期間(今回の衆院選だと12/2の公示以降)になると、候補者が街頭演説をしているのを見かけることがあると思いますが、例えばそこに名前を書いた旗を立てて置いておいた場合、公選法違反となります。ですから、最近は旗には「増税反対」などのフレーズを書いていることが多いようです(厳密にはこれもアウトですが)。しかし、これでは演説をしている候補者の名前は、候補者本人がかけているタスキや、街頭演説の標旗(公選法上、個人演説会を路上で行っているというものの証)でしか確認ができません(遠くから見たらわかりません)。その代わり、そういった旗を選挙カーに取り付けている場合は、違反とはなりません。私は、普通に路上に置く旗程度であれば、問題ないような気がしますが…。
また、のぼり旗を掲げて商店街などを練り歩く(通称・桃太郎)も違反になります 。また、よく選挙になると選挙カーで名前の連呼ばかりで、政策を話さない候補者が多いとご指摘を受けますが、移動中の選挙カーで、政策を話すことは基本的にNGとなります。

■お茶はセーフでもコーヒーはアウト
公選法違反と言うと、「献金」「買収」などをイメージする方も多いのではないでしょうか。しかし、現金だけが違反の対象ではありません。
例えば、選挙事務所で「コップに入れたお茶」を振る舞うのは問題無いですが、「ペットボトルのままのお茶」を振る舞った場合は、買収とみなされかねず公選法違反です。また、「お茶」は問題無いですが、「コーヒー」は違反になります。他にも、せんべいは良いがサンドイッチは駄目、まんじゅうは良いがケーキは駄目、など非常に理解が難しい内容になっています。公選法が成立したのが昭和25年とかなり昔のため、当時の判断基準がそのまま残っていることが原因です。
また、逆に有権者が「コーヒーをください」と、候補者に対して要求した場合も、公選法違反になりますので、選挙事務所に出入りする方は注意が必要です。もちろん、選挙事務所へのお茶や饅頭・せんべいなど以外は差し入れも禁止です。


■LINEはセーフでもメールは・・・
近頃解禁されたネット選挙ですが、ここにも様々な公選法の「理解できない」規制が適用されています。

支援者がメールで投票の依頼をした場合、これは公選法違反になります。しかし、TwitterやLINE、Facebookなどはセーフです。「メールはなりすましの可能性がある」という理由ですが、LINEやFacebookの方がアカウントの乗っ取りや偽装などが問題視されているのではないでしょうか。
また、候補者が選挙区の人に年賀状を自ら出したり、当選翌日に駅前でお礼を言う、といった行為も公選法違反です。ただし、これもTwitterやFacebook、メールでの対応であればセーフです。
基本的に「内容」よりも「形式」を問題視しているのが公選法です。

■公選法は早急に見直すべき
前述したように、公選法にははっきり言って「くだらない」レベルの取り決めが多々存在しており、現状に合わせて改正しなければ、意味のない法律となっています。
公選法の改正案については、以前議員立法での提出を目指したことがあるのですが、見事に自民党から蹴られてしまいました。これには理由があり、自民党というのはあまり街宣活動などはやらずに、決まった団体周りや電話での呼びかけなど、選挙活動がある程度定まっています。第三極議員や無所属議員などは、そういったやり方を持っておらず、少しでも多くの無党派層からの支持を得るために、街宣活動などを頑張るしかありません。ですから、自民党からしてみれば、(意味がわからないとしても)現行法で街頭演説を制限してもらった方がありがたいのです。

国民の民意を反映し、日本の将来を決めるのが選挙です。この一番大切な国民的行事を規定している法律が、このような内容で良い訳がありません。私は早急な改正が必要だと思います。

※このようにいろいろと細かい公職選挙法です。私も勘違いしている点があるかもしれませんので、その際はご指摘ください。