2014.12.13

総選挙直前!!議員の視点で見る衆議院選挙(20141213)

■衆議院総選挙
明日、12月14日に日本の未来を占う、衆議院選挙の投開票が行われます。それに先立ち、選挙の色々な仕組みや問題点、現職議員である私の目から見た今回の衆院選を解説させて頂きたいと思います。

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※衆議院HPより

■無所属議員と政党所属議員の大きな違い
「みんなの党」が解党したことで、私も先日から無所属議員となりましたが、基本的に無所属議員というのは、選挙において非常に苦しい戦いを強いられることになります。

衆議院選挙は、「小選挙区制」と「比例代表制」という2つの異なる方法で議員を選出します。

衆議院定数480人のうち、300人が小選挙区で選ばれ、残りの180人が比例代表で選ばれることになります。比例代表は、各政党の得票数で議席を決めていくため、政党に所属している議員の場合、小選挙区で当選できなかった場合でも、比例代表に重複して立候補しておくことで、復活当選出来る可能性があります。無所属議員には、この比例代表で復活出来るチャンスが無いため、小選挙区で勝つしか議席を取る方法はありません。

政党に所属していると、他にも有利な面が多くあり、例えば選挙期間前の政治活動期間中に、(恐らくやるはずのない日時で!)世間的にも顔が知られている党代表などとの街頭演説会の二連ポスターを貼ることが出来たり、選挙運動用の車を、自分と政党(確認団体車といいます)の2台で運用できたり、政党でも選挙公報を作ったり等、様々な恩恵を受けることが出来ます。

今回の衆院選では、私が応援している「元・みんなの党」議員にも多くの無所属議員がいますので、逆境に負けずに頑張ってもらいたいと思います。

■死に票が大量に生まれる小選挙区
選挙制度そのものにも、様々な課題が残っています。

リクルート事件以降、問題を起こした議員でも、中選挙区制であれば、再選してしまう可能性が高いという理由から、また、二大政党制への政治体制の転換を指向したことから、中選挙区制に代えて、現在の小選挙区制が採用されました。しかし、この小選挙区制によって、また別の問題が浮き彫りになってきています。

小選挙区の場合、選挙区ごとの得票数によって議席が争われるため、たとえ10万票の投票を得た議員でも、同じ選挙区で11万票の候補者がいれば、その10万票はいわゆる「死に票」となってしまいます。逆に5万票の投票しか得なかった場合でも、その選挙区で他の候補者よりも得票数で上回ることが出来れば、当選することが出来るため、前回の衆院選では、自民党は全有権者の20%程の獲得票(小選挙区25%、比例代表16%)で、6割以上の議席を獲得するといった事態になりました。

小選挙区制に関しては、自民党の友党である公明党・山口代表でさえも、「小選挙区制で民意を反映させるのは難しい」と言っています。小選挙区制では、政権交代が起きる可能性や、問題のある議員が淘汰されるということがある反面、「新人から3期続いた衆議院議員は5%も居ない」と言われるほど議員の入れ替わりが激しいため、継続的な政治活動や実現に時間がかかる政治活動は難しいのが現状です。

■政党のための政治活動
小選挙区制度の場合、1党から1人しか立候補しませんので、人で選ぶよりも政党で選ぶというようになりやすくなります。所属する政党の力が選挙の結果に強く影響するため、逆に言えば「政党に気に入られなければ、立候補すらできず、すなわち、当選できない」ということになります。

また、政党には「党議拘束」という、党としての方針や意見を所属議員に強制する面もあります。審議される法案などについて、所属する党の方針とは違う意見を持っていたとしても、それが党議拘束によって封殺されてしまったり、逆に党議拘束を守らなかったために、離党などの厳しい処分をされてしまったりするケースが多々あります。

そもそも政党という存在自体、憲法にも他の法律にもきちんと定められていない存在となっています。それにも関わらず、政党の力が強く政治に影響するのが、日本の政党政治です。

選挙とは、日本の将来を決める非常に大事なものです。しかしながら、様々な選挙のシステムや政党の存在、他にも一票の格差や選挙資金問題など、非常に難しい問題を多く抱えたものでもあります。

国会議員とは、本来、国民一人一人と真摯に向き合い、理念を掲げて国政に挑むものです。
私は皆さん一人一人の代表であるという気持ちを忘れずに、これからも国政に励んでいきます。

ここからは国会議員から見た「注目の候補者・注目の選挙区」をご紹介します!!

■注目の「支持政党なし」党
今回の衆院選で、面白い政党が出ているので、少しご紹介したいと思います。

政党名は「支持政党なし」という無党派層をダイレクトに(?)狙ったネーミングです。(北海道では選挙の投票の際、支持している政党が無いということで、比例代表の政党名のところに「支持政党なし」と書くと、白票扱いではなく、この党に一票入ることになります)以前にも「安楽死党」などを結成し話題となった佐野秀光氏が代表の政党で、北海道の比例代表に出ています。政党の掲載順も、最後に持ってくるなど、細かい演出も用意されており、果たしてどこまで得票数を伸ばすのか、私も色々な意味で注目しています。

■重複立候補しない選挙に強い候補者たち
前半でも解説しましたが、政党に所属している議員の場合、小選挙区で落選した場合でも、比例代表に立候補していれば復活当選できる可能性があるわけですが、あえてこの比例代表に立候補せず、小選挙区一本で勝負している政党所属の候補者もいます。

一般的に、政党党首というのは比例代表に出ないと言われています。自民党の安部総理や、維新の党の江田代表など、比例代表に重複立候補せずに衆院選に臨みます。逆に民主党党首の海江田さんは重複立候補しています。前回の選挙でも比例復活での当選ですので、当然といえば当然ですが。。党首以外にも、民主党の細野豪志さんや、私とも何度か国会で論戦を繰り広げた小泉進次郎さんなど、背水の陣で今回の選挙に臨む強者もいます。

■色々な仕掛けがある比例代表
小選挙区一本で選挙に臨む議員もいれば、逆に比例代表にしか出ない議員もいます。
比例代表には各政党に「名簿順位」というものがあり、その順位が高い順に比例代表で当選していくことになります。名簿順位が一位で、比例代表にしか出ない議員というのは、その政党がどうしても今回の選挙で通したいなどの思惑があります。(比例代表で政党が一議席でも獲得できれば、名簿順位単独1位の候補は自動的に当選確実となるためです)

しかし、比例代表の一位というのは簡単に当選出来る分、他の候補者との禍根が生まれてしまう可能性もあります。例えば、民主党の北海道の比例代表名簿一位は、北海道で絶大な人気を誇る新党大地所属の現職議員です。北海道で人気のある、新党大地の北海道全域での票獲得を民主党が狙った名簿順位一位ですので、もしこの候補が小選挙区で通らずに比例代表で通った場合、民主党の比例代表の枠が一つ減りますから、北海道選出の他の民主党議員から非難を浴びる可能性もあります。

■選挙とお金
選挙には誰でも出られるというわけではなく、供託金というものを支払わなければいけません。
小選挙区に出るには300万円、重複して比例代表にも出る場合には更に300万円必要となります。小選挙区の場合、有効投票総数の10分の1以上の得票が得られなければ、供託金は没収されてしまいます。これは、お遊びでむやみに選挙に出られないように設けられている制度です。

因みに、私が参院選に出た時に選挙にかかった費用は、トータルで2000万円程かかりました。内訳としては街宣車や看板、ポスターや人件費などで、毎日多額の金額がかかった記憶があります。

政治とお金と言えば、先日問題になった小渕優子さんですが、報道されている内容が事実であれば、明らかに公職選挙法に違反していると思います。もし小渕さんがこのまま見逃されてしまうようなことがあれば、政治資金規正法や公職選挙法ははっきり言って何の意味も持たなくなってしまうと思います。小渕さんは今回の衆院選に立候補していますが、その結果には注目です。

一口に選挙と言っても、様々な選挙制度、各政党の思惑、候補者一人一人の思いが激しくぶつかり合っています。今回の衆院選は、果たしてどのような結末を迎えるのでしょうか。

■候補者の選択肢
今回の選挙では野党統一候補といって、与党に対抗するために民主党と維新の党とでお互いが統一の候補を一人を出し、協力し合う選挙区がいくつもあります。私は、今回の選挙に限って言えば、これは失敗だったと思っています。選挙協力しても、支持政党の候補者が立っていない場合、棄権が増えたり、さらには自民党等への投票に流れてしまい、結果的に選挙区でも比例でも票が減ってしまうからです。(この点は別途、「候補者のジレンマ」として紹介したいと思っています)

また、熊本4区(天草など)では、立候補者が次世代の党と共産党のみの二人という選挙区になっています。これは、次世代の党の候補者が自民党出身で県連と良好な関係を築いているためですが、自公も民主もいないという選挙区は極めて異常と言わざるをえません。

このように、有権者にとって十分な選択肢が与えられていないと感じられるこの選挙ですが、私からのお願いは是非、選挙に行ってください。そして、日本の将来について少しでも考える1日としてもらえればと思います。

■選挙特番
明日は、ニコニコ生放送で選挙特集を行う予定です。是非ご覧下さい。

前代未聞!現職国会議員がテレビの選挙特番を斬る
▼あの有名司会者よりも、業界の裏話に迫る!
▼無所属議員だからこそできる各党滅多斬り!!
https://taroyamada.jp/sp
12/14(日) 19:45~ 山田太郎のさんちゃんねる(ニコ生)
※是非、タイムシフト予約をお願いします

いつも、マスコミに斬られている現職国会議員がニコ生で逆襲します。

誰よりも国会や政治のことを知っている現職の国会議員だからこそ、その裏側について、マスコミが言えないタブーも、業界団体や宗教団体を気にして話せない裏話も、党や同僚の目が気になり話せない本音も、どんどん暴露しちゃいます!!