2015.2.19

農薬によるミツバチ大量死の影響、農薬の認可、日本の農薬の使用状況等について質疑を行いました

2月10日、決算委員会にて、質疑を行いました。

(未定稿)
○山田太郎君 日本を元気にする会・無所属会の山田太郎でございます。
 本日は平成二十五年度の決算関連ということで、これまでの農政と、それから厚生労働行政における農薬の問題を少し取り上げたいというふうに思っております。
 お手元に、早速なんですが、ちょっと資料をお配りさせていただいていますので、資料一というのを見ていただきたいんですが、実はこれ、農薬を原因とする蜜蜂の大量死と、こういう現象を写真で撮っているものであります。
 実はこれは、農水省の独立行政法人農業・食料産業技術総合研究機構が実際にそのホームページの中で平成二十六年七月十八日に公開、プレスリリースしたものであります。まさに巣箱の前で蜜蜂の死骸が大量に積み上がっているところでありまして、これを巣門前の蜜蜂のへい死というふうに呼ぶそうであります。そういう専門の言葉すらあると。プレスリリースによれば、蜜蜂が収集した花だんごからもネオニコチノイド系の農薬が検出されまして、周辺の水田における同農薬の散布が原因の可能性が高いと実は断定をしております。
 このネオニコチノイド系の農薬に関しましては、お隣の国韓国又はEUにおいても実は安全性に問題があるとして使用制限をして、今調査を行っていると。ただ、日本はそういった制限が実はありません。そういった意味で、本当に人間にも影響がないのか、こういったことがやっぱり懸念されておりまして、昨今、蜜蜂と農薬、また農薬と人間との関係ということが少し話題になっております。
 一方、私の手元の中には実は岐阜県の蜜蜂養蜂農家さんからの資料がありまして、ある養蜂農家がかなりなこれによる損害を得ていると。平成二十三年に五百万匹、平成二十四年は百万匹、二十五年は四百六十万匹が死滅して、三年間で一千四百万以上の損害があったと、こういう報告も実はいただいております。
 こういう状況下において、西川農水大臣にお伺いしたいんですが、このような全国の蜜蜂大量死とネオニコチノイド農薬の因果関係に関してどう認識されているか、お答えください。

○国務大臣(西川公也君) 我が国では、欧米で報告されているような女王蜂や幼虫だけを残して働き蜂がいなくなるいわゆる蜂群崩壊症候群はこれまでのところ報告はされておりません。平成二十五年度から実施している被害事例調査では、蜜蜂被害は水稲のカメムシ防除に使用した殺虫剤を直接浴びたことが原因の可能性があることが明らかになりました。
 このことを踏まえまして、当面の対策として、蜜蜂が殺虫剤を浴びないように農家と養蜂家の間で情報を共有し、巣箱の設置を避けるなどの対策を講じるよう指導するとともに、二十六年度の被害状況を調査しているところであります。ネオニコチノイド系農薬は水稲のカメムシ防除のために重要であり、他の殺虫剤に比べ人や水生生物に対する毒性が弱いことなどから、現時点では蜜蜂の被害ができるだけ生じないように使用していくことが適当と考えております。
 引き続き、蜜蜂の被害事例調査あるいは試験研究機関による研究を実施し、それらの情報を踏まえて指導の見直しを行うとともに、必要に応じ農薬の使用方法の変更も検討してまいりたいと考えております。

○山田太郎君 この問題は決して蜜蜂の死の問題だけではないと、人間に対する影響もあるのではないかという危惧があると思っているんですね。
 そんな中で、実は農水省さんも、昨年の十一月十八日、私が同じような質問を大臣にさせていただいたんですが、平成二十五年四月二十六日に実は住宅地等における農薬使用に関してという通達が出ています。
 このときの私の質問では、この通達は出しっ放しではなくて、どれぐらい周知徹底がされているかということをきちっと調べてくださいということに対していろんなお答えをいただいています。もう一方、このネオニコチノイド系農薬の危険に関して、実は岐阜県の各務原市の市議の杉山元則市議という方が議会で質問をしたら、その質問をしただけで問責をされてしまったというぐらいな事件等も現場では起こっておりまして、こういうふうに私が聞きましたら、その二つのことに関しては前向きにきちっと調べて私の事務所に報告をいただくということだったんですが、報告はポストに何らかのこういうところに設置の場所をつくったという紙だけが入れられていたという状況でありまして、私の認識としてはいまだ御報告をいただいていないという状況なんですが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(西川公也君) しっかり報告をするようにと、こういうことを指示しておきましたが、きっと事務所の留守等の関係でうまく連絡がつながらなかったかと思いますので、再度指示をいたします。
 それで、この住宅地の農薬使用でありますが、農水省では平成二十五年四月に環境省とともに都道府県に対し通知を発出しました。学校、公園、住宅地周辺等において農薬を使用する者が守るべき事項の周知や周辺住民等からの相談窓口の設置などを指導してきたところであります。その結果、全ての都道府県で相談窓口の設置は行われたと、設置されたというところであります。また、各都道府県では農薬使用者に対して農薬の適正使用に関する指導を行っており、私の住む栃木県ではゴルフ場関係者、造園業者を対象とした農薬使用の研修会を新たに開催していると、こういう報告もありました。
 農林水産省としましては、住宅地等における農薬使用については、都道府県担当者のブロック会議等で取組の更なる推進を指導してまいります。
 各務原もお答えいたしますか。よろしいですか。

○山田太郎君 はい、簡単に。

○国務大臣(西川公也君) 各務原の問題でありますが、本件は市議会において議決されたものであると承知しております。地方議会における決議でありますので、国の立場として所見を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。

○山田太郎君 今の大臣の答弁だと、窓口機関をつくったから周知徹底されていると。これがいわゆる今政府の農薬に対する考え方なのかということは、私は大変驚きなんですね。
 実は農林水産省さんは、自らこの蜜蜂被害の問題は重大だと多分考えたんでしょう。平成二十六年五月三十日に消費・安全局農産安全管理課長の名前で、もう一つの調査を三年間にわたってやるということをやっているんですよ。その中の中間報告が一年についてだけまとめられまして、六十九件のいわゆる被害報告というか報告事例がありまして、その中でも、実は農水省さんがもうはっきり書いているんですが、二〇%は農薬使用者側から住民への説明等がなかったと、あるいは説明をしたんだけれどということに関しても、そのうちの三〇%は住民は認識していなかったとはっきり報告書の方ではうたっているわけですよね。
 こういう状況下の中で、実際には周知徹底はされていないんじゃないかというようなことを知った上で、単にいわゆる事務所と窓口を置いたということだけでは、決して農水省さんがこの以前出した通達を現場できちっと守らせているとは思えないんですね。もう一度、大臣、お答えください。

○国務大臣(西川公也君) 今の報告の件は、二十五年六月の農水省の蜜蜂被害事例調査中間取りまとめかと思います。
 それで、今御指摘がありましたように、中間の取りまとめをやったと。調査の結果、六十九件の被害事例が報告された、こういう報告書でありまして、二〇%で農薬使用者側から養蜂家への農薬使用時期等の情報提供が行われていませんでしたという報告があったと。さらに、その中でも三〇%の養蜂家が情報提供を受けていないと回答していると。これを、私どもの報告書でありますので、これは養蜂家にとっては大切なことでありますので、更に周知徹底が図れるように私どもの職員を督励してまいります。

○山田太郎君 これは養蜂農家だけの問題じゃなくて、各住民、地域もこんなような状況なのではないかということは危惧されますので、今大臣、前向きな答弁いただきましたので、しっかり周知徹底を数字を持ってやっていただきたいと、設置窓口だけの問題ではないと思いますので、お願いします。
 二点目なんですが、またちょっとお手元の資料を見ながらやりたいと思います。
 このネオニコチノイド系農薬の一つであるクロチアニジンの農薬の使用拡大申請、つまりクロチアニジンに関してその適用を緩和していこうと、こういう話について少し質疑をしたいんですが。
 ちょっとこの表を見ると複雑なんですが、簡単に言いますと、農水省さんの方から厚労省さんに対してそのいわゆる緩和等の基準の変更というか申請がなされて、農水省さんは、これ内閣府の方にある食品安全委員会の方にリスク評価をさせて、それを戻して厚労省さんの方が通達許可をしていく、消費者庁さんからも意見を、あれば回答を求めると、こんなような、いろんな団体が農薬に関してああでもないこうでもないということを政府の中で議論されると思うんですが、その中でちょっと今回、このクロチアニジンに関して農水省さんの方からまさに厚労省さんの方に適用拡大の申請が出されている最中であります。一度パブコメをやって、今二回目のパブコメと。一度目のパブコメが相当反響が大きかったということで、二回目のパブコメになっています。
 いろんな内容、時間がないので一端を述べさせていただきますと、お米に関しては、今まで〇・七ppmだった量を一・〇に緩和すると。これEUでは〇・五ということなので、相当、濃度が倍だと。それから、ホウレンソウ類、葉っぱ類に関しては、何と三から四〇ppmに増やそうと。これEUの二十倍という規定にまで緩和しようと、こういうことなんですね。それで、実はかなりそれの緩和が住民の間からも、研究者、専門家の間からも不安視されまして、大丈夫かと、こういう声が寄せられているわけであります。
 そんな中で、審査の方法というのは実は二つありまして、簡単に言いますと、ADIというものとARfDというものがあります。ADIというのは何かというと、その人が生涯、毎日その物質を摂取し続けたとしても大丈夫かというチェックを行う検査であります。もう一つがARfDというんですが、これはたくさん一度に食べた場合大丈夫かと。この二つのチェックをするということで通過するはずなんですが、これまで実はARfD、一回たくさん食べたことによって大丈夫かというチェックは項目に入っていなかったんですね。このことは平成二十六年の六月から盛り込まれたということであります。
 そこでお聞きしたいんですが、今までこのクロチアニジンの申請に対してARfDの評価はなぜ行わなかったのか、どうして平成二十六年六月から実施に至ったのか、その辺り、厚労副大臣来ていただいていると思いますので、お答えいただけますでしょうか。

○副大臣(永岡桂子君) 山田委員にお答えいたします。
 食品中の農薬の残留基準値につきましては、食品安全委員会が科学的根拠に基づきまして定めております慢性毒性に関する指標でございます、委員おっしゃいますようにADIに基づきまして設定をしてきたところでございます。
 他方、国際食品規格等を作成しておりますコーデックス委員会、また欧米におきましては、農薬の慢性毒性に加えまして、急性毒性も考慮をした上で残留基準値を設定してきております。
 このような国際的な動向も踏まえまして、我が国といたしましてもARfDを考慮いたしました残留基準値の設定を導入することといたしました。具体的には、食品安全委員会におきまして、平成二十六年の六月以降、昨年でございますが、ARfDの設定を開始いたしまして、また、厚生労働省では平成二十六年十二月以降、ARfDを考慮をいたしました残留基準値の設定に向けた作業を進めてきたところでございます。
 今後とも引き続きまして、農林水産省や食品安全委員会と協力いたしまして、順次必要な対応を進めてまいりたいと考えております。

○山田太郎君 皆さん、もう一つ表を見ていただきたいんですが、これはOECD加盟国の農薬使用量の国際比較ということで、まさに副大臣おっしゃられましたけれども、世界的に見ても日本の農薬の単位当たりの使用量って物すごく多いんですね。韓国の次だというふうに言われておりまして、私も調べてみて、言い方は悪いですが、これは中国並みかというふうに、はっきり、日本のもうちょっと現場は安心、安全なんじゃないかなと思っていたんですが、ちょっと心配になってきたということでお伺いしたいんです。
 今副大臣お答えいただいたんですけれども、厚労省さんの方に現場でお伺いしましたら、残留基準の設定の手続は進められているんだけれども、八十七品目今申請中で、そのうち実は六十八品目はARfDを評価していないと。このままでいくとARfDを評価せずに通過して世の中に出てしまうと、こういうことになりかねないと思うんですが、どうして申請中のこの六十八品目に関してARfDをやろうとされないのか、お答えいただけますでしょうか。

○副大臣(永岡桂子君) 御質問ありがとうございます。
 クロチアニジンにつきましては、当時、農薬について我が国におきましてARfDを考慮した残留基準の設定について導入の準備がおおむね整ってきたところでございました。パブリックコメントにおきまして寄せられました御意見の中にこのクロチアニジンの急性的な影響を懸念するものも含まれていたことから、パブリックコメントの意見なども踏まえまして、ARfDを設定することを含めて食品安全委員会に再評価を依頼したものでございます。
 一方、農薬の残留基準につきましては、これまで、一日摂取許容量、ADIでございますね、に照らしまして子供や妊婦を含めまして国民の健康に影響が出ないよう設定しておりまして、特に健康被害が生じているとは考えておりませんけれども、いずれにいたしましても、現在、厚生労働省におきまして残留基準の改正の検討作業を行っているほかの農薬の再評価につきましては、その必要も含めまして適切に判断をしてまいりたいと考えております。

○山田太郎君 全然質問に答えていただいていないんですけれども、もう時間がないので、二つ端的にお答えください。
 まず、残っちゃっている六十八品目、今はやっていると言っているわけですよ。六十八品目に関しては、ある時点からなので通過しちゃっていると言っているわけですよ。世の中に出る前にこの六十八品目についてもARfDをやったらどうかというのが御提案というか、これ当然だと思うんですね。
 もう一つ大事なことを質問したいと思います。既に出てしまっている農薬です。これに関してもこれからARfDを、いわゆる危険性だとか緊急性のものを比べてやる意思はあるのかどうか。私はやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○副大臣(永岡桂子君) 現在、残留基準が設定されております農薬は約六百五十品目程度ございます。一度に全ての農薬につきましてARfDを考慮した残留基準を見直すということは大変困難でございますので、関係府省と協力いたしまして、優先順位を検討しながら進めていく方針で検討しております。具体的な進め方につきましては現在検討中でございまして、関係いたします審議会の意見も聴いた上で適切に進めてまいります。

○山田太郎君 何か要領を得ないですけれども、やるのかやらないのかということについてはやるという認識でよろしいのでしょうか。
 それともう一つお聞きしたいんですが、最終的に今いろんな機関が、今日はもう、済みません、時間がなくなっちゃって平さんには御質問できないかもしれませんが、関係府省がやっぱり多いんですね。そんな中で、最終的には、農薬に関しては政府は一体どこが責任を持って最終的に許認可をして国民に対して安心、安全を保障しているのか、その辺りも含めて、まず厚労副大臣、並びに平先生も来ていただいていますのでお答えいただければと思いますが、よろしくお願いします。

○副大臣(永岡桂子君) 先生がおっしゃいます六十八の品目の農薬につきましては検討中でございます。
 以上です。

○副大臣(平将明君) 食品安全委員会の担当の内閣府副大臣でございます。山田先生、御無沙汰しております。
 食品安全委員会はリスクの評価ということを担当しておりますので、先ほど御指摘いただいた部分についてもADI、ARfDについては我々としてはしっかりとリスク評価をしている、それに基づいて運用していただければ人には影響がないというのが我々の考え方でございます。

○山田太郎君 もう時間になりましたので、最後、締めさせていただきたいと思うんですけれども、実はこの問題、EUでは欧州食品安全機関、EFSAなんかもかなり人間の脳に対して影響があるという警告を出しておりまして、特にその論文になったのが、東京都医学総合研究所という、日本発なんですね。そこの研究が逆に重要視されまして欧州の方では禁止というか制限される、日本ではすっこ抜けているというのが現実でありまして、こういう状態を放置しておいたら、日本の食の安全、それから海外に対しても日本の農作物の信頼がなくなると思います。
 もう時間過ぎていますが、端的に、この問題をお聞きになって、せっかくなので、西川大臣、最後、締めの御感想と、これからの農政に農薬どう考えていくのか、お答えいただけますでしょうか。

○委員長(小坂憲次君) 短めにお願いします。

○国務大臣(西川公也君) 農林水産省としましては、農薬の登録制度を所管する立場から、厚生労働省より追加データの提出依頼等があれば協力しながら、一緒になって農薬の安全のために協議をしながら連携して対応してまいりたいと、こう考えております。

○山田太郎君 時間になりました。引き続きこの問題はやっていきたいと思います。
 どうもありがとうございました。