2023.4.4

地方デジタル特別委員会〜AI政策について・デジタルアーカイブ政策について・条例による有害図書指定について〜(2023年3月29日)

〇山田太郎君 引き続きまして、山田の方から質疑させていただきたいと思います。

AI政策について

AIについてやりたいと思います。

本当にAIの進展目覚ましくて、本当に人類に大きな恩恵を被るというところもありますが、一方で、正の側面だけじゃなくて負の側面というものも昨今指摘されています。ちょっとその辺り、少し今日は質疑させていただきたいと思っています。

昨年発表されましたミッドジャーニーとかステーブルディフュージョン、もう本当に画像生成ということではもう大したものであります。チャットGPTも、先生方御案内のとおり、文章生成という意味では本当に人が作ったものと区別が付かないような、こういうものが出てまいりました。

ただ、やっぱりその負の側面として本当にこれで大丈夫なのかということが言われていますので、著作権に関する問題として少し触れていきたいんですが、例えば、画像生成AIとか音楽生成AI、文章生成AI、ジェネレーティブAIの発展によって、本当にAIの生成物の著作権物性とかですね、AI生成物による著作権侵害の成否ですよね、これがそれぞれ著作権法上の課題として出ていますが、まず政府はこれらの課題を今把握しているのかどうか、御見解いただきたいと思います。

〇政府参考人(川和宏君) お答えいたします。

お尋ねのAI生成物の著作物性や著作権侵害といった著作権法上の課題につきましては、御指摘がありましたように、最近における生成系AIの急速な進歩と普及によりまして、国内外で様々な議論が生じているというふうに承知しております。

現状におきましては、人間による創作的寄与がどの程度あれば著作物と認められるかと、そういった点が明確でないこと、また、AI生成物が大量に作成され市場に供給されることで著作権侵害が大量に発生するおそれや、自らの権利を他者に主張するいわゆる権利濫用が生じるおそれがあるといったことが指摘されております。

引き続き、こういった点にも留意しながら、有識者及び関係省庁としっかり連携しながら、AI技術の発展とそれに伴う具体的な課題の把握に努めてまいりたいというふうに思っております。

〇山田太郎君 そうなんですね。著作権法だと、文化の進展を目的としてその著作物の保護という点と利用のバランスを取らなければいけないということでありますが、仮にAIによってこの文化の発展が阻害されるということであれば対応を迫られるということもあるかというふうに思っております。

まさに非常に難しくて、かつてウィニーがありました。これは、技術を殺してはいけないという側面とそれによって出てくる問題点、本当に今厳しい判断をもしかしたら政府含めて我々立法府もしなければならないんじゃないかなと、こんなふうに思っております。

一方、政府も、二〇一九年以降、AI政策、AI戦略というのを作成してきています。その中で、AIに関する著作権法上の課題ということについて何か方向性を出されているのかどうか、この辺りもお伺いしたいと思います。

〇政府参考人(渡邊昇治君) AI戦略についてのお尋ねでございますけれども、二〇一九年以降、AI戦略に関する検討の中で著作権法上の課題に関する方向性は示しておりません。

〇山田太郎君 ということなんですね。

私も実は先ほどチャットGPTで、AIの課題は何と聞いてみたら、著作権法上の権利侵害の問題というのが出てきましたので、いわゆるAI自身もそういうふうに認識しているということであります。そういう意味で、本当にここを何とか議論していかなければいけないんじゃないかなと思います。

一方で、政府は、デジタル化、ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備ということで、実は二〇一八年に著作権法の改正を行っています。いわゆる著作権法の三十条の四というものがあります。これ、AIによる深層学習の権利者の利益を通常害さない類型、行為類型であるとしてこの権利制限規定が新設されたんですが、具体的にどのようなAI開発を適正とするために作った改正だったのか、お願いします。

〇政府参考人(中原裕彦君) お答え申し上げます。

平成三十年の著作権法改正におきましては、いわゆる柔軟な権利制限規定の一つとしまして、第三十条の四におきまして、情報解析の用に供する場合など、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない場合には、その必要と認められる限度において方法を問わず著作物を利用することが可能であるというふうに規定をされました。

この改正は、知的財産推進計画二〇一六におきまして柔軟性のある権利制限規定について必要な措置を講ずるというふうにされましたことなどを踏まえまして、文化審議会著作権分科会におきまして平成二十七年度から平成二十八年度にかけて行われました検討及びその報告書において示された方向性を踏まえたものでございます。

著作権分科会でのその当該検討に係る報告書におきましては、柔軟な権利制限規定に関する著作物利用のニーズとしまして、大量の情報の収集、蓄積、解析等々、これにより生まれた著作物を含み得る新たな知識、情報の出力を伴う、いわゆるサイバーフィジカルシステムが挙げられておりますこと。また、先ほど申し上げました知的財産推進計画二〇一六におきましてはAIによって自律的に生成される創作物といったものがその検討対象とされていたことなどから、審議会における議論の段階で想定されていたAIとしては、従来からAIの用途として挙げられておりました画像認識等の用途に用いられるAIのほか、生成系AIなどが想定されていたというふうに考えられます。

なお、AI、人工知能の開発に関しましてAIが学習するために著作物を含むデータを収集する行為等につきましては、平成三十年改正を踏まえて文化庁が作成しています著作権法三十条の四等に関する基本的な考え方においても、同条の享受を目的としない行為の具体例というものとしてその明示をさせていただいているところでございます。

〇山田太郎君 多分、今の答弁難し過ぎて何言っているか分からないと思うんですけれども、簡単に言うと、二〇一八年段階では、日本ではAIを育てなければいけないということで、そのときに、よくデータを食べさせると言うんですけれども、そのAIがいろいろ分析、研究するために必要なデータは著作権性があったとしても一定の条件下では使っていいですよと、こういう実は改正をしたというのは、簡単に言うと、三十条の四なんですね。

問題はですね、これ、インプットのところとしてはそういう形でAIを育てると、そういう意味では日本はもしかしたらAI先進国になる可能性があるということでありますが、問題はアウトプットのところなんですよね。出てきたアウトプットが実は誰かの著作物に例えば類似していて、特に依拠性がある場合には、当然、著作権法等違反になっちゃう可能性なんかもあるということでありまして、多分、その議論というのが実際、当時されていなかった。それはなぜかというと、昨今、生成系AIというのはこんなに進化すると思っていなかったから、取りあえず、食べさせて分析した結果を人間が分析した上でそれを使っていくという程度にとどまっていたんですが、そのままいわゆる画像であったりとか文章がこういう形で出てくると。出てくると、それが元々の著作者とほとんど同じじゃないかとかちょっと変えただけなんじゃないのと言われることがあって、今大変な問題になっているところでもあります。

一方で、この著作権法の三十条の四は、適正化されていないAIの開発というものについてもただし書がありまして、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし、著作権者の不利益、あっ、利益を不当に害することとなる場合というふうにこれは制限をしているんですけれども、どういった場合を想定しているのか御説明をこれ文化庁さんだと思うんですが、お願いします。

〇政府参考人(中原裕彦君) お答え申し上げます。

ただいま委員から御指摘のありました法三十条の四ただし書の、著作権者の利益を不当に害することとなる場合といったものについては、それに該当するかどうかといったものは、著作権者の著作物の利用市場と衝突するか、あるいは将来における著作物の潜在的市場を阻害するかという観点から、最終的には司法の場で個別具体的に判断されることになろうかというふうに考えられます。

具体的には、平成三十年改正前の旧法四十七条の七のただし書におきまして権利制限の対象外とされていました、情報解析を行う者の用に供するために作成されたデータベースの著作物を情報解析目的で複製する行為等は、当該データベースの著作物の販売に関する市場というものと衝突することになりまして、権利者の利益を不当に害することとなるため、この法三十条の四のただし書にも該当するというものであるというふうに考えております。

そのため、AI開発に際しまして、その情報解析の用途で販売されているデータベースの著作物をAIの学習用データとして複製する等の行為は、同条このただし書に該当しまして、権利制限の対象とはならないというふうに考えております。

〇山田太郎君 多分これも分かりにくくて、何を言っているのかなということだと思います。私も党で長く著作権等を担当させていただいていて、これはどういうことを言っているかというと、AIに食べさせたデータセットというのがありますと、それについては重要なので権利を認めましょうと。これを勝手に誰かがコピーして使っちゃいけないよ、ちゃんと有償でもって譲りなさいねということを言っているのが今の部分なんですね。

結局、これも集めたデータセットをどうするのかという議論だけにとどまっている内容でありまして、実は吐き出したものというのがどうなのかというのは本当にまだまだ議論されていないと。それが、先ほど答弁でありましたが、司法に委ねるといっても司法も困っちゃうと思うんですよね。

まず、立法として、我々、国民の意見とか実体の社会を背負っている中で、吐き出されたものがほとんど誰かと一緒のものが作られてしまって、それはいわゆる三十条の四に守られているのだからオッケーだということになるのかどうかと。著作権法の解釈によれば、まあ類似性というのは当たり前ですよね、似ているから文句を言うわけなんですけど、問題は依拠性があるか。つまり、元のものが何かから作られたかどうかということが一つポイントとなって議論されるわけであります。

ただ、このいわゆる人工知能の難しさというのは、中にブラックボックスのように入れてしまうと、吐き出されたものは必ずしも何かに依拠していたかどうかというひも付けが分からないわけですから、その証明が非常に、似ているというだけで依拠性があるかどうかというのは難しいということになるわけですね。

しかも、この三十条の四というのは厄介でありまして、この解釈をめぐって、結局三十条の四で守られるのであれば、仮に依拠性があったとしても除外されるのかどうかということは、ちゃんとここ議論しておかなければならないというふうに思っておりますので、私は、司法によってこれから判断されるというのはちょっと乱暴でありまして、立法こそ、我々がきちっと議論をするという必要があるのではないかなというふうに思っております。

そういう意味で、まさにデジタルに対する著作権法ですね、従来の著作権法が全く想定していなかった世界に今入ってきてしまっていますから、デジタル著作権法のようなものを作る必要があるのかなというふうに思っています。

御案内のとおり、日本はいわゆるドイツ法と言われるものを中心に著作権法作っています。世界は英米法、要はフェアユースということで、それぞれどういうことが起こるか分からないから、少しずつ判例で積み立てていわゆる決めていこうということがなかなか日本は難しいわけであります。そうなってくると、我々立法府自身がこれをしっかり議論する必要があると、私はこういうふうに思っております。

もう一つ、ほかの論点もあるんですが、例えば昨年のミッドジャーニーとかチャットGPTの発表によって、本当に画像や文章が人が作ったものなのかAIが作ったのか分からないということがあります。

例えば、AI生成物について、AIの利用者が著作者として著作権法七十五条以下の登録というのはできるんですが、この登録というのをまさにできるのかどうか。もう一つは、国会図書館法二十四条以下の納本制度に当たるのかどうか。これはどういうことかというと、いわゆるそのAIがどんどんどんどん今文章を吐き出して、AIで小説が作られちゃっているわけですよね。これが納本制度の対象に当たるのかどうか。

いろいろ課題や問題も生じてくると思いますが、文化庁さん、それから国立国会図書館さん、御回答をお願いします。

〇政府参考人(中原裕彦君) お答え申し上げます。

著作権法におきましては、著作権関係の法律事実の公示や著作権が移転した場合のその取引の安全を確保する観点から、実名の登録や第一発行年月日の登録などの制度を設けております。これらの登録は、著作権者の実名や最初に発行された年月日等の登録原因に関する書類を審査の上、登録を行うものでありまして、著作物そのものを登録の上、保護するという制度ではございません。このため、御質問を頂戴しました件については、これらの登録原因に関する事実をその提出書類で確認した上で審査を行うということになろうかと存じます。

○国立国会図書館長(吉永元信君) お答えいたします。

国立国会図書館法に基づく出版物の納本制度及び電子書籍、電子雑誌等の収集制度につきましては、その作成にAIが用いられたかどうかにかかわらず、法規に定められた外形的な要件に該当する場合に収集対象となり、当該資料を発行した公的機関及び、又は民間の出版社、発行者に納入又は提供する義務が生じるものとなります。

〇山田太郎君 この答弁も、実はAIが持つ重大な問題を含んでいるわけであります。

簡単に言うと、登録できるかどうかというのはそのときだと言いますけれども、ただ、日本の著作権法では、AIで吐き出したものに著作性があるかどうかということを議論していないんですね。もう一つ、仮になかった、実はアメリカは先日、著作権局が画像生成AIを利用して作成されたグラフィックノベルの画像は著作権による保護を受けないというふうに宣言はしているんですが、じゃ、ちょっとでもいじってしまったら人間の手が加わるわけであります。そうすると、それ自身合わせて著作権が発生するのではないかということにもなるわけなんですよね。

一方で、それにもかかわらず、もし七十五条でもって登録されてしまうと、やはり権利の主張と、それ自身は排他性を伴わないということではありますけれども、やっぱり著作性があるのではないかというふうに第三者からは見れるわけでありまして、大変これは大きな課題。背景によっては、著作権法というのは刑事罰まで付いている強い法律でありますので、大変重要な論点だと思います。

一方で、図書館さんの方はどういう話だったかというと、実は、図書館が集めている納本制度というのは必ずしも著作権性、著作性があるかどうかは関係ありませんと。いわゆる出版という形で出ているのであれば、それは納本の対象だということを認めているわけなんですよね。そうすると、出版物ということになるとその納本義務が生じちゃうんですが、実は私自身、これはちょっと疑問がありまして、まさにAIが吐き出したものを無条件にそれを認めてしまうと、そもそも納本制度の目的である、出版物を現在と未来の読者のために国民共有の文化資産として長く保存し、日本国民の知的活動の記録として後世に継承するという本来論に合うのかどうかということも問われるというふうに思っています。

一方で、今どういうことが起こっているかというと、JASRACさんみたいな、のようないわゆる権利、著作権管理団体では、同一の主体からおよそ人間がこのペースでは作れないというような数のいろんな楽曲であったりだとか、あるいはAIで今どんどん本や著作物が作られることによって、もうその対応に苦慮しているという話も実は聞いています。

仮にAIの生成物が紙書籍として出版されると、納品出版物代償代ということで、これ、実はデジタルの場合には小売価格の五割プラス送料というのが払われることになりまして、AI生成物によって国会図書館の収集庫はいっぱいになってしまうかもしれないと、しかも、お金の負担も発生するかもしれないという、大変、今急いでこれは議論しておかないと厳しい状態になるのではないかなということにもなるかというふうに思っています。

そして、二〇一九年以降、実はAI戦略に関しても策定はしてきたということではありますけれども、こういったことを正面切って議論されてこなかったのではないかという懸念がありますので、これは至急、関係各省一緒になって議論していただきたいというふうにも思っています。

これまでの日本のAI政策というのは、科学技術のこのイノベーション政策、もちろんこれは私も大事だと思います。大事だからこそ、二〇一八年のいわゆる、どちらかというとAIを促進するための著作権法三十条の四ということは国としても担保したんだと思いますが、知的財産とか権利の問題ということに関しては政策がまあ不十分じゃなかったというふうに思っておりますし、著作権を始めとする知的財産に関するルールメーキングということを含めて、総合的なAI政策を継続的に議論する政府部局の設置が必要なんじゃないかなというふうに思っています。

今見ていただいたとおり、これ、内閣府さんとか知財事務局、CSTIさんも関係してくるでしょう。著作権課も関係してくると思います。もしかしたら、一部実行部隊としてデジタル庁も関係してくるかと思います。これ、相互にそれぞれ考えを合わせていかないと政策つくれないと思いますが、こういった政府部局の設置が必要と思いますけれども、これ、政府の見解いただきたいと思います。

〇政府参考人(渡邊昇治君) 政府部局の設置につきましてお答え申し上げます。

大変恐縮ながら、非常に複雑な問題でございますので、今日この時点で明確なお答えをすることはできないんですけれども、今委員御指摘のとおり、このAI技術の進歩あるいはその普及の広がりということを予想しますと、政策の立案あるいは推進の体制につきまして関係省庁とともに考えていく必要があるというふうに認識をしております。

〇山田太郎君 じゃ、是非お願いしたいと思います。少なくとも党の方ではその検討部隊、今立ち上げようとしていますので、政府の方も是非歩調を合わせてお願いしたいと思っています。

デジタルアーカイブ政策について

次に、デジタルアーカイブ戦略、ちょっと関連するところについてもお話し、質疑させていただきたいと思っています。

今ちょっと負の側面ばかりが議論してしまったんですけれども、本当の意味でビッグデータを学習用データとして用いるということになるのであれば、データの逆に蓄積というのが必要なんですね。英語環境に比べて日本語環境というのはそのデータセットというのがプアなんじゃないかなとか、まあいろいろ言われていたりもします。その意味で、データをどうやってアーカイブしていくのかということは今後のいわゆるAI戦略においても非常に重要だと。世界中で何かAIでたたいたときに、日本の情報はほとんど出ないということになってしまうとまずいというふうに思っております。

そういう意味で、デジタルアーカイブ推進というのは国のデータ戦略の私は今後柱の一つというふうになってくると思いますが、現在の包括的データ戦略、これデジ庁さんの方でも重点計画の中でまとめられているのかどうかということを含めてお聞きしたいと思います。

〇政府参考人(楠正憲君) お答え申し上げます。

デジタルアーカイブの推進につきましては、重点計画及び重点計画の別紙である包括的データ戦略いずれにも現時点では位置付けられていないところでございます。

一方で、AIの利活用のためには十分な量と質のデータを学習させることというのが非常に重要であるというふうに認識をしております。これらデジタルアーカイブを学習用データとできるように、議論を踏まえて、関係府省庁と連携して検討してまいりたいというふうに考えております。

〇山田太郎君 そうなんですね。実は私がデジタル庁の政務官やっていたときも重点計画作るところに参画させていただいたんですが、当時、そこがこんなにポイントになるというふうに実は想定していなかったんで、それから一年たって、やっぱりそのデータセットを含めて、どういうふうに包括データ戦略、これは負の側面もプラスの側面も含めて議論していく必要があるというふうに思っています。

一方で、今日質疑に参加していただいた文化庁さんとか著作権課さん、それから国会図書館さんなんかも、やっぱりそのアーカイブの多くのデータを持っていたりとか、権利に関してつかさどっているところでありますので、その意味で、これ、デジタル庁のこの議論の中で、著作権課さんとか国立国会図書館さんから出向を含めて一緒にやっていただきたいというふうに思いますが、この辺りもデジタル庁さんとしての見解を伺いたいと思います。

〇政府参考人(冨安泰一郎君) お答えいたします。

デジタル庁におきましては、現在、委員御指摘の文化庁著作権課さんやあるいは国会図書館電子情報部さんからの出向者はいらっしゃいませんけれども、先生おっしゃいましたように、御指摘の点を踏まえつつ、やっぱり連携の在り方なのかと思いますけれども、そこは関係省庁とよく議論し、検討してまいりたいと思います。

〇山田太郎君 ということで、担当部署もいろいろありますと、それからデジタル庁さんも実行部隊としてその辺りをどういうふうにベースメントしていくのか、いろんな議論があると思います。

そういう意味で、デジタルアーカイブ推進振興法というんですかね、多分基本法というのもこうなってくると必要だというふうに思っておりますが、政府としてですね、というのは、アーカイブを進めていこうと思うと、それなりの部局が必要だったりとか、あるいは責任も必要になります、セキュリティーの問題も必要になります。何といっても予算も掛かってきます。そういう意味では、きちっと基本法を整備した上で部局も立ち上げていく必要があると思いますが、この辺り是非お願いしたい、必要だと思っておりますが、内閣府さんの御見解いただきたいと思います。

〇政府参考人(川和宏君) お答えいたします。

私ども内閣府知財事務局におきましては、関係府省庁とともに、これまでデジタルアーカイブジャパンの取組を進めてまいりました。これは、文化、学術的コンテンツのデジタル化によるアーカイブの構築、保存、そしてその活用の促進を主軸とするものでございます。

また、最近、デジタルアーカイブ関係者の中で、これらデジタルコンテンツのアーカイブ化にとどまらず、より広範なデータの利活用等の在り方を含めた議論が行われておりまして、その法的基盤として、御指摘のありましたようなデジタルアーカイブ振興法の制定を目指した活動があるというふうに私ども承知しております。

これからのデジタル社会におきましては、コンテンツも含めた広範なデータが社会インフラとして整備されることについて関係者の間で広く共通理解が図られ、社会全体で機運が高まっていくということが今後重要になってくるというふうに考えております。

また、具体的な内容につきましても、引き続き幅広い関係者による議論が行われるものと期待しておりまして、私どもとしてもその議論にしっかりと参画してまいりたいというふうに考えております。

〇山田太郎君 そうなんですよね。これまで本当に個別法で頑張って対応してきたと思うんですけれども、改めて、この新しいAI、それからアーカイビング、デジタルアーカイビングの重要性について考えたときに、多分基本となるところは一緒だと思いますので、是非その辺りを政府としても検討していただければと思っています。

条例による有害図書指定について

最後の条例による有害図書指定、図書類指定制度等について、ちょっとデジタルの観点からもお伺いしていきたいと思います。

実は、様々な自治体で青少年健全育成を目的とする条例が制定されていまして、その中にいわゆる有害図書指定制度というのがあるんですね。いわゆる性的な描写とか暴力描写で青少年の健全な成長が阻害されるというふうに判断された書物を有害図書指定として十八歳未満の者への販売を罰則で禁止すると、こういうようなものであります。

有害図書という名目、名称のほか、不健全図書というふうにも使われておりますが、ちょっと勘違いしないでいただきたいのは、いわゆる刑法百七十五条で言うところのいわゆる犯罪性があるわいせつだとか児童ポルノとは別なんですよね。あくまでも合法であるけれども、これは一切コクレイ法では取引が禁止されていない適法な図書であるということも考えていただきたいんですが、ただ、昨今、条例の改正なんかで、自治体以外の業者がインターネット販売でも有害図書類を十八歳未満の者へ販売することを禁止するということを明示する自治体も出てきていまして、この県では買える、この県では買えない、だけれども、この県ではネットで買えるようにしてはいけないから、ほかの県では買えるはずなのにもかかわらず全体では売れなくなると、こういった事態を起こしているということであります。

実は、この類似の問題としては、デジタル庁が設置のときに、関連法の議論の中で二千個問題というのがありました。各自治体でそれぞればらばらな、禁止されていない法律の取引について、インターネット空間を含めて全部が違法となってしまうような状況、各条例によって制限されるということは新たな二千個問題を生み出してデジタル社会の形成を阻害する可能性もあるんではないかと、こういうふうに思っています。

そういった意味で、条例によるインターネット空間の規制を認めるとデジタル社会の混乱を招きますので、日本社会の利益の阻害となるので極力認めるべきではないというふうに思いますけれども、この辺り、かつての二千個問題の改正も含めて、デジタル庁さんの方の御見解いただきたいと思います。

〇国務大臣(河野太郎君) 今議員が御指摘をいただきました、それぞれの自治体が条例で様々なインターネット上の規制をするということは、本来デジタルというのは地理的な制限を超えていろんなことができるというこの特性を阻害することにもなりかねないというふうに思っております。

国と地方との関係も含め、こういう問題でまた二千個問題と同じようなことにならないように、そこはデジタル庁としてもしっかりと見てまいりたいというふうに思っております。

〇山田太郎君 ありがとうございます。

本当に、この県、自治体ではこういうものが買える、買えない、そういったことが起こると大変な混乱があるかと思います。

もちろん、有害図書指定、不健全図書指定、いろんな御意見あると思いますが、私自身は、子供たちが清濁のみ併せて大人になる過程として、見ているもの、あるいはそれが十八歳未満に関してはしっかり区分陳列をするのだということで十分やってきたわけでありまして、ただそれがネットでおいてどういうふうな扱いになるのかというのは、実はすごく難しい。

あるいは、ある県では条例でこういうものが販売できない。これは有害図書指定だけではありません。いろんな、例えばボウガンの制限なんかも実はある県で行われたりします。それはそれで趣旨はよく分かるんですが、国全体でやらないと、こういう県はこういうものが買えない、こういう県はこういうものが買えるということになりますと、結局ネットでは、じゃ、売って、その県で誰かが買ったとしたら罰則が付いているとなると、販売業者はやってられないということになりますから、結局売れなくなってしまうわけですね。そうすると、各自治体のいわゆる在り方が全て全国のものに波及をしてしまうという問題が実際起こっていまして、これ自身も新たなこのデジタル社会における対応を迫られている問題だと思いますので、デジタル庁さんを始めとして、しっかりその問題も検討していっていただきたいと、こういうふうに思っております。

最後に、冒頭から申し上げました、この本当にAIの問題は、実は急速に、去年の末ぐらいから、特に生成系というんですかね、こういったものが出てくることによって、我々自身も想像しなかったような、プラスの側面もありますけれども、今すぐ手当てをしていかないと厳しい側面もあるのではないかと思っています。

私の事務所の方にも、今、毎日のように、特に若者たちから、私の絵がそのもの取られたと。実際にその絵を自分で描いたものと誰かがAIによって描いたものがネットにさらされているものを比較して持ってきて、これを比べてくださいと。ちょっと著作権法の問題もありますのでここでなかなか提示できないんですが、ほとんど同じで、構図も一緒で、一部色だったりだとか持っているものが違うと。これは明らかにいわゆる類似性もあって依拠性もあるんだろうなというふうに思いますが、ただこの依拠性の問題も、結局AIを通ってくると、実際にシステムがやったのだということになると意図しているのかどうかということも問われる。でも、結果論としては依拠性を感じざるを得ない。あるいは、AIをせいにして、もうその作家の絵だけを食わせて出せば、当然依拠性はあったというふうにも取れるわけでありまして、大変難しい問題でありますけれども、このいわゆるAIをこれから成長、推進、発展させるためにも、日本は率先してこの問題を是非取り上げて扱ってもらいたいというふうに思っていますし、一方で、この問題が単なる科学技術促進の側面だけではなくて、我々の文化を守っていくと。若者、子供たちにとっても大切なものが失われてしまうのかもしれないという危機を本当に若い人たちは持っていたりします。

そういう意味で、この問題、国挙げて司法に任せて判断を委ねるのではなくて、我々自身が立法府として、是非、率先してこの問題を、すばらしいAIの、ある意味で大国にするためにも取り組んでいければというふうに思っております。

本日はどうもありがとうございました。

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