2013.2.22
2013年2月21日 参議院予算委員会における質問の様子
安倍総理大臣含む総勢8閣僚に対して質問をしました。質問内容が多岐にわたり、時間もギリギリでしたが初の予算委員会でも物怖じせずにやりきることができました。
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2013/02/21 参議院 予算委員会 みんなの党 山田太郎の質疑
【議事録】
183-参-予算委員会-005号 2013年02月21日(未定稿)
○委員長(石井一君)
ただいまから予算委員会を再開いたします。
平成二十四年度補正予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。山田太郎君。
○山田太郎君
みんなの党の山田太郎、本名でございます。どうかよろしくお願いします。
昨年十二月十四日に参議院議員となったばかりでございます。議員になる前は企業経営ですとか大学の教授等をずっとやっておりましたので、議員になりまして、非常に民間の常識と永田町、霞が関の常識のギャップに驚いている日々でございます。
さて、本日は、平成二十四年度補正予算について、関連質問も含めて質疑をさせていただきます。予算委は、今回私、初めてのデビューでございます。初物ということで御容赦いろいろいただければと存じます。どうかよろしくお願いします。
さて、早速質問に入らさせていただきます。
まず、補正予算案本体について幾つかお伺いいたします。
お手元の資料をお配りしましたが、この資料Aで御覧いただきますと、今回の補正予算案十兆円強のうち、独立行政法人などへの出資金が約八千億円計上されております。その中でも、国立大学法人出資金一千億円というのがございます。補正予算ですから、当然、緊急性の必要性がある事業に限って計上するのが筋だと思います。この国立大学法人出資金というのはどのように使われるのか、文部科学大臣、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(下村博文君)
お答えいたします。
今回の国立大学法人出資金は、研究力の高い国立大学が事業化を目的として産業界との共同研究を推進し、世界に通用する日本発の新しい価値や需要を創出しようとするものでございます。
本出資金の活用により、企業との共同研究が事業化に結び付いた場合には、所要経費や収益を回収することとなります。本出資金は、共同研究のための施設の整備や人件費を含む研究費に充てることとなります。
○山田太郎君
出資金は、補助金とか助成金と違いまして使用の用途の制限がございません。昨日、文科省の役人の方にお伺いしましたら、年度内に使い切ることは必要はないと、十年掛けて使っていくというふうにおっしゃられていましたが、本当でしょうか。
○国務大臣(下村博文君)
お答えいたします。
国立大学法人と民間企業との共同研究の実用化でございますので、その内容によっては年数が掛かるということになってくると思います。
○山田太郎君
官民共同開発の重要性というのは理解できるんですが、補正で措置すべき緊急性はどこにあるのかと。これ、来年度の例えば平成二十五年本予算では間に合わないのでしょうか、お答えください。
○国務大臣(下村博文君)
お答えいたします。
今回、世界に通用する日本発の新しい価値や需要を創造しようということの中で、今回の補正予算のコンセプトにおいても、このような形を投じることによって、これから景気・需要対策にも、喚起するものであるというふうに考えます。
○山田太郎君
出資金に関してはもう一つ、この資料を見ていただきたいんですが、日本原子力開発機構への出資金八百五十億円というのもございます。この使途を経済産業大臣、御説明ください。
○国務大臣(茂木敏充君)
福島第一原発の廃炉に関連した研究の費用であります。
私も、先日、福島第一原発四号機の中まで入ってあの状況を見てまいりました。相当困難な作業をしなければならないと思っております。そこの中で、放射性物質の分析、そして研究の施設、さらには高い放射能下でも使用できる遠隔操作ロボット等の開発、実証の設備を整備してまいりたいと考えております。
○山田太郎君
今大臣御答弁あったように、用途がはっきりしているんであれば基金である必要はないんじゃないでしょうか。御答弁ください。
○国務大臣(茂木敏充君)
基本的に、福島第一原発の廃炉、これを加速するためのものでありますが、こういった研究拠点、これが福島に形成されることによりまして、人材の育成さらにはイノベーションの促進を通じて福島の再生、経済の再生にも生かしてまいりたいと考えております。
○山田太郎君
昨日、財務省に問い合わせましたところ、今回の補正予算ではたくさんの基金が予算措置されていることが分かりました。これ、資料Bの方を見ていただきたいんですが、財務大臣から、予算措置が行われる基金の各省別の金額と総額をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(麻生太郎君)
これ、いただきましたこの資料とほぼ同じというか、同じものなんですが、今、内訳を申し上げますと、内閣府計上分が九十億円、総務省計上分が三十二億円、厚生労働省計上分が五千八百三十五億円、農林水産省の計上分が二千六百八億円、経済産業省計上分が五千九百十五億円、国土交通省計上分が四百二十八億円、環境省計上分が百五十億円でして、合わせて一兆五千五十八億円であります。また、復興特会においては八百六十億円であって、その全てが復興庁の計上となっておると思います。
○山田太郎君
今回、十兆の補正予算を組んでおきながら、いつ使われるか分からないような基金が一兆五千億円あると。
こういう形で補正予算の膨らませ方をするというのは、もしかしたら麻生財務大臣が総理大臣のときの平成二十一年補正予算作成時に多用された手法なんではないかと、こんなふうにも思っています。当時、麻生総理大臣の方は四兆円規模の基金があったということであります。
今回、麻生大臣は、この補正予算の作成に関して、各省に出資金や基金という形で予算を計上するようリーダーシップを図られたんでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君)
私のときのことを言われましたんで、私が政権を担当したときの分に関しましては御記憶、あっ、当選していないか、新聞なんかで御記憶があるかもしれませんが、あの年は、リーマン・ショックは全治三年ということを、最初からこの復興復旧には全治三年掛かるということを申し上げたんですが、それに合わせまして比較的長期のいわゆる基金事業に予算を投入したということであります。
当時の状況において必要な対応だったと思っておりますが、今回の場合は、少なくとも、いわゆる十五か月予算という形で申し上げておりますので、二十五年度末までに少なくとも事業が実施又は開始されるものに限って予算を計上させていただいておるということでありまして、経済の先行き懸念というものに対応して、我々としては効果が期待できるものだと考えております。
○山田太郎君
今の御答弁ですと、平成二十五年度内に基金は、今回充てたものに関しては執行されるという理解でよろしいんでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君)
基本的には全て、完了できるものというのはいろいろ場所によったりその箇所によって違うかもしれませんけれども、確実に着工若しくはそれに手を着けるという形になると思っております。
○山田太郎君
ありがとうございました。
ところで、今回の補正予算のGDPや雇用への影響は、また資料を見ていただきたいんですが、Cのとおりというふうにお伺いしております。GDP二%の押し上げ、それから雇用創出効果六十万人の根拠なんですが、これを経済財政担当大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(甘利明君)
GDP二%の具体的な計算といたしましては、公共事業などの政府の支出につきましては直接のGDP増加額、それから設備投資補助金などの企業への移転支出につきましては民間需要の増加額を合計しております。また、雇用創出効果六十万人程度につきましては、需要項目ごとに試算をしましたGDP押し上げ効果を基にしまして、産業連関表等を踏まえて機械的に算出したものであります。
○山田太郎君
今の雇用創出の基になりました重要な産業連関表についてなんですが、これは何年度の産業構造を基に作られたものなんでしょうか。
○国務大臣(甘利明君)
この産業連関表は、総務省の平成十七年、つまり二〇〇五年の産業連関表を使用いたしております。
○山田太郎君
非常に驚きだと思うんですね。二〇〇五年といえばリーマン・ショックの前でありますし、今から八年も前のものでございます。
これまで産業構造が随分変わったという今、このGDP二%押し上げによる雇用創出六十万人の根拠が本当に有効性があるのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(甘利明君)
実は、最新のものを常に使用することにいたしまして、現時点での私どもが使い得る最新のものでございます。総務省で更にバージョンアップというかアップデートしたものがあれば、それを使うということになります。
○山田太郎君
そうすると、この六十万人の雇用創出は根拠が希薄ということでよろしいんでしょうか。
○国務大臣(甘利明君)
希薄ということではないと思います。それは最新のものがあれば多少の誤差は生ずるかとも思いますけれども、全く的外れではないと思います。
○山田太郎君
このCの分析によりますと、民間セクターの企業設備における押し上げ効果は、実は何と〇・三%しかないんですね。その他公共事業で一・二%、その他政府の直接支払等としてできていると。そうなりますと、民間経済への波及効果というのは極めて限定的なんじゃないかと、こんなふうに危惧をしております。
今回の補正で十兆円もの緊急対策費を使っておいて、予算を使い切ったら六十万人の雇用も終わってしまうということなんじゃないでしょうか。
○国務大臣(甘利明君)
あくまでも、この補正の直接効果であります。
もちろん、この種の経済対策が終わってしまって、それで次につながらないというのは、民需主導の経済効果につながっていかないというところでありますから、そこは委員の御懸念は私も共有をさせていただいておりまして、そこが経済成長戦略の大事なところでありまして、これはあくまでも種火を付けるということでありますから、本体のまきに火が付いていくような方途をしっかり組んでいく、そこは御指摘のとおり肝要なところでございます。
○山田太郎君
そうすると、根拠は希薄だけれどもやってみにゃ分からぬと、こういう経済対策だということでよろしいんでしょうか。
○国務大臣(甘利明君)
それはちょっと言い過ぎじゃないかと思うんですけれども。そういう御指摘が当たらないように全力を尽くしたいと思います。
○山田太郎君
よろしくお願いします。
さて、補正予算の内容についてはいろいろとまだ疑問が尽きないところなんですが、この補正予算の後ろに控えていますアベノミクスについて少しお伺いしたいと思います。
今のところ円安とかそれから株高で好況感が醸し出されてはいるんですが、経済産業大臣、一番大事な賃金、雇用への影響はいつごろ出てくるとお考えでしょうか。
○国務大臣(茂木敏充君)
賃金の増加を図っていくためには、企業がまず収益を上げて経済のパイ全体が大きくなっていくと。同時に、やっぱり経営者のデフレマインド、これが変わって、その収益が給与であったりとか設備投資に回ると、こういったことが必要だと思っております。
その意味からも、先週の十二日に経済三団体の代表の皆さんと意見交換をさせていただきまして、総理から、業績が改善している企業においては、報酬の引上げ、取り組んでほしい、こういうお願いを申し上げたところであります。経済界からも、業績の改善している企業は対応できるところから取り組んでいくと、こういうお答えをいただいております。なかなか一斉にということになりませんけれど、企業ごとに一時金という形を取ったり、夏のボーナス、こういうこともあると思っております。
午前中の質疑でもローソンの例も出ておりましたけれど、ローソン、何か午前中の質疑ですと社員が三千人というお話でしたけど、正確には五千五百人はいらっしゃいます。そして、管理職に対して給与の引上げということでありましたけれど、実態は、二十代の後半から四十代の前半、子育て世代を対象にした給与の引上げをローソンは行っていると、こういうことであります。
○山田太郎君
ということは、アベノミクスの出口は総理のお願いベースなのかと、こういうことだと思いますけれども、これ、厚生労働大臣にもお伺いしたいと思います。
総理自ら経済界の代表に賃上げの要求をされたということなんですが、春闘ですから、賃金を上げた方がいいとか雇用を増やした方がいいとか、厚労大臣の方からの御発言はないんでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君)
春闘の集中回答日が近づいてきておるということもございます。労使交渉によって賃金の方を決めていくわけでございまして、今非常にセンシティブな時期でもございますので、直接春闘に対して私からどうのこうのと言うつもりはございません。ただ、私も先ほど茂木大臣のおっしゃっておられた会議には出席をいたしておりまして、そういう意味では、総理がおっしゃられたことは私も思いは同じでございます。
ただ、やはりそのためにはいろんな意味で三本の矢、これをしっかりと実行していく中で、この国の経済が良くなっていかなきゃならない。企業が利益が出るのみならず、将来に向かって利益が出ていくであろうというような、そんな期待感の持てるような経済環境をつくっていく、これが我々の仕事でございますので、しっかりと頑張ってまいりたいと思います。
○山田太郎君
何となく今のお話だと、厚労大臣、ちょっと消極的なんじゃないかなと思いますが、明確に、賃金を上げるとか雇用を増やすという働きかけを厚労大臣としてはしないものなんでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君)
総理が、お願いベースだというようなお話がございましたけれども、経済団体に対してそのような要請をされた、これは大変大きな意味があると私は思いますよ。
給料を上げろと、これは幾ら政府が言ってもそう簡単に上がるものではなくて、労使間の交渉の中で決まってくるものでありますから、これ資本主義経済でございますし、そういう意味からいたしますと、何か政府が規制で給料を上げさせるようにするなんということはまずもってできないことでございまして、そこはどうか御理解をいただきたいというふうに思います。
○山田太郎君
分かりました。
そうしたら、ちょっとTPPの話についてお伺いしたいと思います。
みんなの党は、TPPは交渉参加に前向きであります。こういうことを言うと、なかなか国会では、どこから矢が飛んでくるか分からないような状況ではあるんですけれども。
今日、いろいろ報道もなされていました。総理の例外品目に対する交渉は自信があるというようなこともあったんですが、この例外、つまり聖域ある関税撤廃であれば交渉は参加するということでよろしいんでしょうか。農林水産大臣、また経済産業大臣、両大臣お答えください。
○国務大臣(林芳正君)
お答えいたします。
TPPにつきましては、我が党、自民党の公約で示した聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対というのが基本的な考え方でございます。したがって、今お尋ねのように、仮に聖域なき関税撤廃が前提でないと確認されたとしても、それで直ちに交渉参加するということではないというふうに考えております。
この交渉に参加するかどうかについては、これまでの関係国との協議の内容、それから参加した場合の影響を精査、分析して、与党での議論も十分に踏まえた上で検討していくことが必要だと考えております。
○国務大臣(茂木敏充君)
林農林水産大臣と同じ考えです。
○山田太郎君
関税における例外をどうするかという交渉を含めて、交渉中に、もし意見の隔たりが大きいようであればTPP離脱するというのが、これはこれでいいと思いますが、それ自身は可能なんでしょうか。外務大臣、お答えください。
○国務大臣(岸田文雄君)
交渉に参加する場合に、まず協定が我が国の国益に沿ったものになるよう最大限努力すること、これは当然ですが、その上で、交渉の結果、仮に国際協定が我が国の国益にそぐわないものとなる場合、協定に加わらないという判断をすること、これは論理的にあり得ると考えています。
前例としましては、交渉に参加し批准しなかった例として、古くは国際連盟規約のアメリカ、最近では一九九八年の京都議定書のアメリカ。また、交渉に参加しながら、その後、署名、締結を行っていない例、我が国にも二〇〇二年に一例ございます。
○山田太郎君
TPPが離脱できるということであれば、交渉参加は何の問題もないと思うんですね。交渉参加を直ちにするというお考えはないんでしょうか、外務大臣。
○国務大臣(岸田文雄君)
今、我が国においては、二国間協議、また情報収集の協議等を通じまして情報収集に全力を挙げています。そして、それに基づいて、その情報を精査する、さらにはその影響について分析する、こうしたことを行いながら国益にかなう最善の道を探っている、現状、この段階にあります。
○山田太郎君
TPP参加に、もし交渉参加に踏み切れば、すぐに原産地規則の問題になるかと思っています。今、日本にも存在しますEPA、FTAでも、かなりこの原産地規則が様々な基準によってスパゲッティ状態になっているということであります。
特に、このままTPPに参加しますと、米国を中心にしたNAFTAの加工基準に寄ってしまうのではないかと、こんなことを実は、私もヒアリングしているんですが、経団連、日本貿易会、その他機械工業会、非常に心配して注目しているところでございます。また、TPPも、使い勝手が悪ければ関税低減の効果はなくなってしまうと思っています。
そういった意味で、この原産地規則の政府内部での検討、どの程度進んでいるのか、例えば役所ではどこが担当するのか、又はその検討の状況を是非教えていただきたいんですが、これは経済産業大臣、それから農林水産大臣、統括しています外務大臣、お答えください。
○国務大臣(茂木敏充君)
原産地規則の件でありますけれど、政府としては、今、交渉中の条文案、そして各国の提案そのものを入手しているわけではございませんが、関係国と協議等、原産地規則を含め、TPPに関する情報収集を行っております。原産地規則につきましては、全体の取りまとめは外務省、そして経済産業省が工業製品に係る規則について、そしてまた農林水産省が農水産物についての規則について、こういった役割分担で検討を進めているところであります。
産業界からは、TPPに限らず、様々なFTA、そしてまたEPA、こういった経済連携協定に関しまして、広域的で使いやすい、そして統一された原産地規則にするべき、こういったニーズを受けております。
○国務大臣(林芳正君)
お答えいたします。
TPPについては先ほど申し上げたような原則がございますので、この交渉の進め方を議論する段階ではないと思っておりますが、一般論として、今、経済産業大臣からもございました農林水産品についてでございますが、原則として、材料が全て当該EPA締約国産である場合は同国を原産国と認めるといったことや、その証明方法としては、信頼性を適切に担保する観点から、日本商工会議所さんが証明書を発給する第三者証明を採用している、これが大体今までやってきた過去のEPAでございますが、一部のEPAについては、認定された輸出者の自己証明の制度の併用もあるわけでございますので、仮定の話でございますが、今後、EPA交渉、TPPに限らず、こういうような過去のEPAにおける経緯を踏まえて対応していくことになろうかと思います。
○国務大臣(岸田文雄君)
TPP交渉につきましては、先ほど申し上げたように、今、情報収集に全力を挙げ、今、精査、分析に努めているところですが、これまでに得られた情報によりますならば、この原産地規則につきましては、現状では交渉参加国が締結しているFTAごとに異なる原産地規則が存在するため、このTPP交渉の中で交渉参加国間で統一された原産地規則を新たに策定すべく交渉が行われている、このように承知しております。
○山田太郎君
各大臣にお答えいただいたんですが、では日本の国益を守るために日本としてのTPPの原産地規則の在り方ということを検討していないんでしょうか。
○委員長(石井一君)
どなたに。
○山田太郎君
外務大臣。
○国務大臣(岸田文雄君)
経済産業大臣そして農水大臣それぞれから答弁がありましたが、それについて、そうした努力をどのようにまとめていくのか、この必要性があるのか、TPP交渉との絡みでどうあるべきなのか。これは実情をしっかり把握しながら対応を考えていくべきものだと思っています。
○山田太郎君
是非、安倍総理はどういう結論を出して帰ってこられるか分からないですけれども、交渉参加ということになりましたら非常に重要な問題ですので、早急に対応していただければと思っています。
さて、自動車を育成するために農業を犠牲にしないと先日総理の方から答弁があったんですが、実は、自動車産業は、二〇一〇年、TPP参加国に二千二百億もの実は関税を払っております。私の事務所の方で計算したんですが、自動車上位十社の純利益を合計してみますと二兆三千億円でございまして、何とこの関税額は一八・二%にも当たるんですね。ちなみに、国内では、自動車は大切な産業でございまして、五百四十五万人の雇用を守っております。
十社の売上合計が実は四十七兆円ですので、実は利益は、自動車産業の上位十社の合計の純利益は二・六%です。アメリカの乗用車の関税は今二・五%ですから、これだけ見てもこの関税がとても産業にとって重いということを理解していただければと思っています。
そんな中で、この産業界の状況にあって、更に関税の撤廃に努めていく必要性について経済産業大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(茂木敏充君)
御指摘の自動車について申し上げますと、今TPP参加国十一か国のうち、例えばアメリカは自動車で二・五%、トラックは二五%の関税、ベトナムは自動車で七八%、トラックで六八%ということでありまして、自動車若しくはトラック、さらには自動車及びトラックに関税の掛かっている国はTPP参加国十一か国中八か国になるわけであります。
昨年、日本がそれら十一か国に支払っております関税の合計額四千七百億円になります。そのうちの半分近くが御指摘いただきましたように自動車の関税ということでありまして、仮にこういった関税措置が撤廃されますと、我が国の関連企業の競争力の強化、ひいては輸出の拡大、こういったものにつながり、アジア太平洋地域の成長を取り込む一つのきっかけになっていくと考えておりますが、いずれにしましても、このTPPにつきましては、自民党の政権公約、そして自民、公明の連立政権合意、さらには自民党の外交・経済連携調査会の基本方針等々を踏まえまして、これまでの交渉の経過そして影響等々を勘案しながら国益にかなう最善の道を求めてまいります。
○山田太郎君
そうしたら、時間がないので、TPPと農政の話を少し行きたいと思います。
農産物の高価格維持というのは、消費者にとっても余りプラスにならないと思っています。関税等もやめて農家への直接払いをするような政策は農家にも消費者にもプラスになるんじゃないかと考えていますが、これは特に国民全体の福祉という観点から、官房長官、お答えください。
○国務大臣(菅義偉君)
国内生産者の経営努力では埋めることができないこの内外の競争条件の格差がある中で、関税は国内生産を維持する機能を果たしているということでありますし、関税を撤廃をした場合は、生産者の経営を直撃をして国内生産の減少や自給率の低下を招くおそれがあるということを私たち常に念頭に置かなきゃならないというふうに思います。
そうした中で、この関税撤廃の適否については、こうした事情を踏まえながら、国民的議論を行いながら慎重に検討をしていく必要があるんではないかなというふうに思っています。
○山田太郎君
産業力強化会議で、一月二十三日に行われたところでも、民間議員の中から農地拡大についての施策ということで株式会社が農地を自由に取得できるようにした方がいいという意見が相次いでいたようですが、これに関して、農林水産大臣、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
株式会社の農業参入につきましては、平成二十一年に平成の農地改革ということで農地法を改正させていただきまして、リース方式は既に完全に自由化をされております。
法改正前のペースに比べまして五倍のペースで、改正後三年間で千七十一の法人が既に参入をしております。一方で、この二十一年の農地法改正前に参入した四百三十六法人、これは特区で一部リースを認めてからということでございますが、四百三十六のうち七十九法人が既に撤退をしております。
この定着をしない懸念というものがあって、農地を取得されて入ってきて、そして先ほどのようにやめてしまって耕作放棄が起こった場合に、取得であるとなかなか原状回復が難しいんですが、リースであればリース契約を解除して原状回復を図るということが容易であるということでございますので、そういう理由もあってリースの方で完全参入をしていただいて、所有権取得の方は現状でやっていると、こういう状況でございます。
○山田太郎君
そうすると、農林水産大臣は、もうちょっと自由に進めるということに関してはしないと、又はそういう考えはないということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
今申し上げましたように、メリットとデメリットがそれぞれの政策ございますので、現状はかなりのペースで進んでいると。それから、いろんなアンケートを取ってみましても、今のこのリース方式で非常に参入がスムーズになっているという意見が多くを占めておるようでございますので、しばらくこの状況でこの会社等の参入を進めたいと、こういうふうに考えております。
○山田太郎君
減反についてもちょっとお伺いしたいと思います。
減反補助金で今二千億円、減反条件の戸別所得で四千億円、合計六千億円のお金が使われています。自給率向上とか農業振興のことを考えると、減反は矛盾した政策とも思います。いっそのこと減反をやめるとか見直すということはお考えにないんでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
我が国の主食用のお米、これはちょうど私が生まれたころですが、昭和三十六、七年で、三十七年がピークで百十八キロ、一人当たりの消費していたのが、今ちょうど半分でございます。それで……(発言する者あり)はい。したがって、米の消費が減少する中で、やっぱりいろんな大豆や小麦等にバランスよくこうやっていただくということで、今、メリット措置で、これは農家の判断に基づいてやっていただいているということでございますので、こうした取組を通じて食料供給を支える農林水産業の発展、向上に尽くしてまいりたいと思います。
○山田太郎君
時間が来ています。
産業界の振興と農業の振興、ウイン・ウインの関係で一気に進めていきたいということが大事じゃないかと思って、最後の訴えをしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
本当にありがとうございました。
○委員長(石井一君)
以上で山田太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
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