2013.12.19
12月18日、参議院農林水産委員会にて質疑を行いました
議事録(未定稿)
○山田太郎君
みんなの党の山田太郎でございます。
本日は、畜産物価格と密接な関係がありますTPP、それから農畜産業振興機構、ALICの問題について少し取り上げていきたいと思います。
まず、TPPに関する交渉の在り方についてお伺いしていきたいと思っておりますが、いわゆる聖域五項目、五百八十六品目というものが言われていますが、その内容は、前回も私の方が質問やりましたが、この委員会で秘密会議にして交渉を公開してくれないかとか、幾つかお願いしたんでありますけれども、ままならぬということであります。ただ、これだと、一体何が交渉の俎上にのっているのか分からないというままにTPP交渉の在り方を議論しなければなりません。かなりそれは議論としても無理があるだろうということで、できるだけその中身についてはっきりさせていきたいな、こんな考えで今回質疑させていただいております。
そこで、五百八十六品目の輪郭をつかもうということで、農水省さんにこの度、いろんな資料を提出していただきました。お手元の一枚目の資料を見ていただきたいと思いますが、タリフラインとそれから輸入がないタリフラインとを含めた資料を、実はいろんな資料を農水省さんから具体的に出していただいたものを我が事務所の方で編集いたしまして、今回皆さんの方に公開させていただいております。重要五項目と言われる品目それぞれありますが、関税額、それから輸入数量、それから輸入実績のない品目数を一覧にしてあるわけであります。これ二〇一〇の資料ということでありますが、これが最新だということもお伺いしております。
そこで、まずちょっと確認をさせていただきたいと思います。何人かの委員の方からも、今朝の日経なんかにこの情報が出ていたということがあります。私の方の事務所の方で今確認しましたら、日経の方の取材を受けて、記事の中身は別ですけれども、我が事務所の方からこの数字を公表したということでありますけれども、その内容についてもう一度政府の方にもはっきりさせておきたいんですが、輸入のないタリフラインの品目だけでも結構ですので、この確認のため御答弁いただけますでしょうか。
○大臣政務官(横山信一君)
輸入がないタリフライン数ということで、これはここの表に出ているとおりでございます。
○山田太郎君
まさに、五百八十六品目の中の四割が輸入実績なしということなんですね。
このじゃ輸入実績がない二百三十四品目なんですけれども、幾つか具体的な品目名を教えていただけないでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
輸入実績がないタリフラインの中には、関税割当てで管理している品目、特に枠外税率として高関税が適用されているもの、それから加工品、調製品のうち成分が僅かに違う類似のラインには輸入があるものなどがございます。
このようなタリフラインが具体的にどのようなものであるかについては、交渉における重要五品目の範囲に予断を与え、交渉上不利益となるというふうに考えておりまして、これまで同様、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○山田太郎君
では、輸入がない品目をこれほど多く聖域の五百八十六品目に入れたのはどうしてなんでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
この聖域の五百八十六品目というふうに今委員はお話しになりましたが、この五百八十六品目と、それからいわゆる御決議をいただいた五品目の聖域というものがどういう関係にあるのかというのは、その決議を我々は踏まえてやっていくということですので、我々としてそこについて申し述べる立場にないということを申し上げさせていただきたいと思います。
○山田太郎君
次に、西村副大臣にお伺いしたいと思います。
実は、この表を出すに当たって先ほどちょっと理事会ですったもんだありまして、出す出さないというところがあったんですが、自民党の議員の方々からも、この数字を初めて見るということで、いいのかというような議論もあったんですけれども、西村副大臣、この二〇一〇年の輸入実績がない品目がこの五百八十六品目の中に二百三十四あるということをいつお知りになったのか、教えていただけますでしょうか。
○副大臣(西村康稔君)
いつ知ったかということも含めて、お答えは差し控えたいと思います。
○山田太郎君
何でこんな質問をするかというと、影響のある品目の中身についてしっかり政府が検討しているかどうかということは、これは今回のTPPの推進派でも反対派でも非常に重要な論点だと思っております。
そういう意味で、せめても、その審議、審査、中身について、担当の西村副大臣、御見解をもう一度お伺いしたいんですけど、いかがでしょうか。
○副大臣(西村康稔君)
交渉の中身も含めてですし、我々がどういう検討をしているかということも含めて申し上げることは、これ交渉上不利になるおそれがありますので、お答えは差し控えたいと思います。
○山田太郎君
私自身は全てを出せと言っているわけではないので、幾つかの内容に関してどうなのかという見識でも、せめても国民の前に政府はどんなことを検討しているのかということをはっきりさせていただきたいので、こんな質問をさせていただきました。
ちょっと先に進みたいと思いますけれども、先ほどから出ていますように、十二月七日から十日のシンガポールのTPP閣僚会合に臨むに当たって、一ミリも譲らないと、こういうことを言葉で決意されました。輸入実績のないものまで守る必要があるのかどうかと、こんなところも是非、副大臣、お答えいただけますでしょうか。
○副大臣(西村康稔君)
政府としては、この交渉全体の中で、攻めるべきは攻め、守るべきは守る、この姿勢で交渉に臨んできております。その中で国益を最大化するということで交渉しているところであります。
具体的な内容は申し上げられませんけれども、先ほど林大臣からも答弁がありましたけれども、我々、衆参のこの農林水産委員会の決議、これはしっかり受け止めて交渉に当たっております。その決議を踏まえてしっかりと交渉していきたいと思います。
○山田太郎君
もう一つ、この農林水産委員会の中でも質疑してきましたが、TPPの交渉を速やかにまとめて国会に早く出していただきたいと、こんなことは申し上げているわけであります。ただ、年が越えて、次、一月下旬ぐらいに閣僚会議が開かれると。仮に来年の一月下旬に交渉が妥結すると、この協定締結、承認のための国会への提出というのはいつごろになるのかどうか。
実は、来年アメリカ中間選挙があって、それに対して、オバマ大統領、これを急いでいるというふうに言います。もしこれがどんどん遅れていくと、ほとんど国会での審議が難しくなってくるというかですね。で、この内容に関して、これは我々も当然、TPP交渉で関税が下がればその品目は影響を受けるということで、何らかの対策をしなければいけないという考えは一緒にしているんですけれども、その審議も十分にされないまま次々いろんなものが決まっていってしまっては大変なことになると思っているんですね。
そういう意味で、今後のスケジュールについて、是非、これも西村副大臣、教えていただけませんでしょうか。
○副大臣(西村康稔君)
交渉がいわゆるまとまるというか妥結をした後に、その文書について、まず英文でそれぞれの単語、どういう単語が同じ定義で使われているかどうかとか、そういういわゆる法律上の協定上の整理、文言上の整理、リーガルスクラブとかという言い方を英語ではしているようですけれども、これをやることになります。
さらに、我が国においては、それを日本語に直して、その上で法制局の審査も経て、まさに定義がちゃんとなされているか、文言としておかしくないかという、この整理に一定の時間が掛かりますので、その整理が終えた後に署名をするということになります。署名の後に国会に提出をして国会で御審議をいただくということになりますので、その段階で我々としてはしっかりと説明をして、国会での承認を得るべく丁寧に説明をするということになると思います。
○山田太郎君
与野党共にこれは国会議員として準備しなきゃいけません。仮に一月下旬に交渉が妥結したとして、具体的に我々国会の方にいつ渡ってきて、我々自身いつ知ることができるのか、それだけでも教えていただけませんでしょうか。通常国会に本当に間に合うのかどうか、これは是非大事なことなのでお願いします。
○副大臣(西村康稔君)
どのタイミングで妥結されるか、我々としてはできるだけ早期に妥結をということで、バリでの首脳会談でも、首脳会合でもそういう方向性は出ていますので、我々としても是非早期に妥結を目指して交渉したいと思いますけれども、これは相手のある話ですし、十二か国それぞれの立場がありますので、妥結した後に、そこから、繰り返しになりますが、そういう法律上の整理、英文、日本語、法制局、こうしたところでの整理がありますので一定の時間が掛かることは是非御理解をいただいて、その後に署名をして国会に提出をし、これを御審議いただくということになります。
○山田太郎君
妥結に関しては相手のあることだと思うんですが、妥結がした後は特に政府内部での作業だと思うんですが、どれぐらいで間に合わせるつもりなのかどうか、せめても、じゃ妥結をした後何か月以内ということ、もう秒読みだと思うんですね。本当に通常国会の中で議論するとなるとどういうタイミングなのか考えていただければと思うんですけれども、是非もう一度その点御答弁いただけないですか、妥結してからどれぐらいで我々は知ることができるのか。
○副大臣(西村康稔君)
妥結した後に、今申し上げたとおり、法律上の整理がありますので、これは一定の期間が掛かります。少なくとも数か月は掛かると思いますし、今回、最終的にどのぐらいの条文になるか分かりませんけれども、大部になりますので、これは、どの段階で国会に提出をして御審議をお願いできるかというのは今の段階では申し上げることを差し控えたいと思います。
○山田太郎君
今の御答弁だと通常国会には当然間に合わないということでよろしいんでしょうか。
○副大臣(西村康稔君)
現段階で見通しを申し上げることは難しいわけであります。
○山田太郎君
ありがとうございました。
もう西村副大臣結構ですので、御退席いただければと思います。ありがとうございます。
さて、次は、ちょっとALICについても少しやりたいと思います。済みません、大変持ち時間が少ないものですから、もうちょっとやりたかったんですけれども、また次に本件譲りたいと思っております。
まず、ALICの中には、畜産勘定、たくさんの資金、埋蔵金がたまっていると。この辺については今年の一月に本委員会の閉中審査の方でも私の方から指摘させていただきました。まさに、牛肉関税を中心とした国からの交付金、補助金の余剰金を積み上げたということであります。
それで、これも資料を見ていただきたいんですが、過去五年間の畜産勘定保有資金の推移についてまとめたものがあります。金額だけ確認いただきたいと思いますが、平成二十三年で二千六百十七億、それから平成二十四年で三千三百二十六億ということであります。平成二十四年度末でこの保有資金は三千三百二十六億という巨額になっているわけですけれども、今年一月に指摘したよりも更に七百億円増えているんですよね。
もう一つ、お手元三枚目の表なんですけれども、見ていただくと、前年予算の剰余金を積み立てているということなんですが、是非これを、何とかしてこの積立てを国に返還して国民全体のために使えないのかなと、こんな思いでちょっと質疑を進めたいと思っています。
そこで、まず赤い字の七百二十一億円、例えば注目していただきたいんですが、これはセシウム関連対策予算費残額ということで伺っております。この七百二十一億円の内訳が、次の資料の四枚目、ちょっと資料が多くて申し訳ないんですけれども、次の資料の四枚目に挙げておりますが、運用益を除いた七百十九億七千五百万円についてどんな資金なのかということを実はまとめてあります。この中で一番上の肉用牛肥育経営緊急支援事業ですけれども、この事業というのは国の予備費からALICへ交付されたという予算でありまして、平成二十三年から二十四年での事業が行われましたけれども、これは被災農家に対しての支援金ということで、本来、東電からの賠償が得られたらそっくり返還すると、こういう性格のものなんですね。言わば積立て払いを支援事業をしているということであります。
ということで、後で返さなくてはいけないという制度の仕組みが敬遠されたのか、予備費の予算額が七百六十一億円に対して執行額が約百九十億円。執行された予算のうち、東電の賠償が行われたりして返還されたお金が約七十億円ということであります。平成二十四年度のこの支援事業に関する残額はそうすると六百四十二億円という大きな金額になっているわけですね。この六百四十二億円、本来であれば、予備費の交付要綱によりますと、事業で交付した金額の返還が全て終わったら全部一貫して国へ返すという定めになっておりますが、東電の賠償がなかなか進まないということを受けまして、被災農家にいわゆるお渡しした金額の全部が返ってくるのはいつになるか分からないと。
そこで、この六百四十二億円に今年の返還金を加えると約七百億円ぐらいになるということだと思います。早く国民のために使えるように速やかにこのお金返還していただけないかなと大臣にお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
肉用牛肥育経営緊急支援事業を実施するために予備費からALICに交付された資金のうち、今御指摘がありました二十四年度末で保有していた残高が六百四十二億円でございますが、その後、肥育農家から機構への返還が進みまして、二十五年十一月末現在では七百六億円になっております。この残高については平成二十六年度に国庫納付する方向で調整中でございます。
○山田太郎君
ありがとうございます。是非、国民が使えるお金として有効に使っていただきたいと思いますので、そのようにしていただければと思います。
それでは、三千三百二十六億円の話なんですが、七百億円は国に返していただけるということなので、更に進めていきますと、まずこの三千三百二十六億円の保有資金がどのように運用されているかということについてもちょっと見ていきたいと思っております。
ちょっと次の資料をまた見ていただきたいんですけれども、この三千五百億円近くのお金ですね、資本金の三百億円が加わった数字でありまして、平成二十四年度の運用益は約七億円だということであります。収益率は〇・二%になるということです。一方、これ財務省の方にも確認させていただきましたが、同じ三千五百億円を国庫に例えば返して運用すると、資料に書いておきましたが、〇・七%で運用できるということですから、年間二十五億円の収益が出ているということなんですね。ALICさんが運用すると毎年十八億円近い差額が国全体で生じるということになってしまいます。一方で、国の借金の元本返済に充てれば、国債の利子の発生を抑制するという効果も期待できるわけであります。
国全体のことをこれ考えましたら、三千三百二十六億円の全部を返せというふうには言いませんけれども、是非この保有金を今後減らしていくということが重要なんではないかなというふうに考えています。その辺に関して是非大臣の御見解をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
この農畜産業振興機構、ALICでございますが、十九年度の整理合理化計画とそれから二十二年度の独法の事務事業見直しの方針を受けまして、国からの交付金の交付額の抑制等によって保有資金残高の縮減を今まで図ってまいりました。畜産経営安定対策や畜産業振興事業のほかに、不測の事態に迅速かつ適切に対応するための緊急対策の実施に要する資金を適正な規模で保有をしなければならないと考えております。
今委員が御指摘のように、緊急対策が必要となった場合に、その都度、改めて予備費若しくは補正予算等で手当てをするという対応を取ったらどうかと、こういうことでございましたが、畜産経営、今日は畜産に関する審議ということでございますが、やはり日常的に多額の運転資金が必要である一方で、口蹄疫それからBSE等悪性伝染病の発生や飼料価格の高騰、枝肉価格の大幅な変動といった緊急対策が突然に必要になる潜在的リスクが常にあるわけでございます。先ほどもどなたかの御指摘にあったように、つい三年前にも宮崎でああいうこともあったと、こういうことでございます。
こういう緊急対策というのは、予備費や補正予算が措置されるまでの間にも機動的に実施される必要があるということでございまして、これまでも、先ほど申し上げましたように、年度の途中で数百億円の規模でこういう緊急対策が必要となった経緯があったということを踏まえますと、やはり今の適正な規模で保有をしておくことが必要であると、こういうふうに考えておるところでございます。
○山田太郎君
これについては一月にも同じ御質問をしたんですけれども、BSE対策で年間幾ら掛かったかということで、マックス八百億円、緊急対策に充てたということだったと思います。そういう事象から考えても、ちょっと三千三百億というのは持ち過ぎではないかと。
これは全く金利が掛からないのであれば、そういう形でお金をプールしておくということもありなのかなと思いますが、これ確実に金利が掛かっていきます。特に、政府の予算を私、民間出身で見ていますと、余り金利が掛かるということを考えて作っていないような嫌いがありますので、是非そういった概念を入れて、不必要なものについては返還する。又は、今回のちょっとセシウムに対する緊急対策の執行状況の表があるんですが、これもきちっと一般会計予備費から支出するということで措置されているわけですから、このような形でもって、是非必要額以上のお金をプールすることがなく、とにかく国全体ではキャッシュが足りませんから、お金が足りませんので、是非ちょっと、その辺を大臣、今後見直していくということを答弁いただきたいのですけど、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
おっしゃったような趣旨で無駄に積んでおくということはよろしくないということは当然でございますので、不断の見直しはしていきたいと、こういうふうに思っております。
なお、この三千三百三十億円のうちで、実は千七百六十億円分が固定資産、それから二十四年度の補正予算の未使用額、それから予備費との残額等で、実は対策の財源として見込めないものでございまして、実際には、この千五百七十億が先ほど申し上げたような対策費の財源として使えると、こういう状況もございますので、そういうことを踏まえて、今委員からの御指摘も踏まえて適切に対応してまいりたいと思っております。
○山田太郎君
ありがとうございます。
質疑時間が来ました。先ほどのTPPの話も是非早く審議をしなければ、結局ツケが回ってくるのは現場の農家だと思います。農水省が特にTPP担当者に関して情報を出させると、それで我々、国会が国民と一緒になって議論ができるということを求めていただければと思っています。これは、TPP推進の賛成派も反対派もありません。まず、情報がなければ議論もできないという状況に今国会は陥っておりますので、是非、その点、よろしくお願いしたいと思います。
私の質問はこれにしたいと思います。ありがとうございました。