2015.1.29
酪農産業競争力強化に向けた提案、農畜産推進機構補助金等について質疑を行いました
1月14日、参議院農林水産委員会にて、質疑を行いました。
○山田太郎君 日本を元気にする会の山田太郎でございます。最初に一言、委員会の皆様に御挨拶を申し上げます。
今回、年末、新会派日本を元気にする会を立ち上げました。会派としてもこの質問が委員会、国会で一番最初の質問という記念すべきものになりますので、頑張ってやっていきたい、そう思っております。また、まだまだ日本、全国的に元気がないと。日本を元気にするべく提案型政党としてこれからやっていきたい、こういうふうにも思っておりますので、よろしくお願いします。
さて、まず、最後、トリでもありますので、ちょっとこんな話からいきたいと思いますが、大臣、この「銀の匙」という漫画御存じないでしょうか。読まれたことがあるかどうかお聞きしたかったんですけれども、これは実は荒川弘さんが原作の漫画でありまして、大変人気になりまして、映画化もされました。これの影響によって非常に若者たちが酪農に目を向けるきっかけにもなったすばらしい漫画でございます。
これは、実際、北海道の十勝にある帯広農業高校がモデルになったというふうにも言われておりますが、特にこの題名、ちょっとネタばれにはなってしまうんですが、なぜ「銀の匙」かといいますと、酪農は頑張って始めて維持さえすれば一生食いっぱぐれないと、酪農家の家で生まれて、それは銀のさじを一生持っているに等しいと、こういう思いで名前が付いてあるんですが、果たして、残念ながら日本の酪農はそういった銀のさじなのかどうか、これが今日問われている内容ではないかな、そんな思いを寄せて、今日いろいろ質疑させていただきたいというふうに思っております。
特に今日は、生乳に関して中心に少し議論を深めていきたいと思いますが、多くの質問、多くの委員の先生方に先にいろいろ聞かれちゃったものですから、いろいろすっ飛ばして、日豪EPA、明日から発効でございますので、この生乳産業に対する懸念点、大臣の認識、何人かの議員も聞いておりましたが、非常に重要なことだと思っておりますので、どんな影響が考えられるのか、それに対して具体的な対策、本年度の特に取組ですね、その辺り、簡単で結構ですからお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(西川公也君) 日豪EPA、あしたから効力が出るわけでありますけれども、そこで、牛肉の話は先ほど議論をいたしました。それから米は除外になっておりますし、主要なものとしてはやっぱり乳業になるかと思うんですね。
そこで、私どもは、抱き合わせと、こういうことで、生産について、日本が利用するものは日本の生乳を使っていただいたときにオーストラリアの製品を認めますと、こういう方式を取ってきました。そういう中で、関税が下がってきたときにどういう影響が出るかというのは、あした以降でありますが、これを見極めながらよく分析して対応を考えていきたいと、こう思います。
○山田太郎君 ただ、先ほどからいろんな議員からも指摘ありましたが、私は、それだとやっぱり生乳をやっていこうという非常にリスクが大きい、生乳業の場合には基本的になかなか付加価値を出しにくいというんですかね、メーカーがそのまま買取りということになりますから、メーカー自身の意思によって、生乳業者はどんなに頑張ってもいわゆるその変動を吸収できないという、いろんな農業ある中でも非常に弱い産業構造にある。
そんな中で、非常に経営環境が厳しい中で政府がこれから状況を見ながら手を打っていくということでは、確かに、離農、それから私も実は沖縄等を含めて生乳の現場をいろいろ回らせていただいたんですが、やっぱり、正直、銀のさじとはいっても子に継がせたくないという本音の意見をたくさん聞きまして、駄目なんじゃないかなと、こういうふうに思っているわけであります。
そんな中で、提案型政党ではありますので、余り政府を批判してばかりもいけないので、ちょっとこんなことで検討はしていただけないものかということなんですが、品質基準の検討というのを少し生乳に対しても見直したり考えてもいいんじゃないかな、こんなちょっと提案を少し今日はしてみたいと思っています。
EUの方は、生乳については、御存じのとおり、二十七か国で既に関税が撤廃されています。オランダのような国際競争力を持って効率化を図ったところもありますが、フィンランドなんかは非常に生乳に対して力を入れておりまして、細菌数とか細胞数が世界でも最も厳格な品質基準を取ることによって、完全に自由化された中でも高い生乳業の地位を占めていると、こういうことだと思います。
今日の議論の中でも、たしか平木議員の方からもありました。要は、コストの面を見ても、やっぱり生産の構造の部分をしっかりもう見直していかないと、何か効率化ということだけでは難しいんではないかなと。私もそう思っておりまして、製品そのものが国際競争力を持つような形、もしかしたら生乳がそのまま出せるような仕組みづくりがもうちょっとあってもいいんではないかな、こんなふうに思うわけでありますが、そういった意味で、消費者目線で新たな品質基準の見直しが必要だと、こういうふうにも考えておるんですが、その辺り、少し大臣、どんな御感想と方向感を持っていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(西川公也君) 今、品質を高める、それと同時に価格が向上すると、こういうことを両方求めていったらどうかと、こういうふうに受け止めました。しかし、世の中の経済原理からして、品質が高くなって、これで安ければ購買力、競争力、高いと思うんですね。しかし、価格が高くなった場合、本当に両立するかというのは非常に難しいと、こう私は思っています。
それで、先ほども、細菌数でいえば三十万、ミリリッター当たり三十万の細菌数、未満という乳質基準を設定しておりますが、これを高くして、国際的にも非常に安全性だというセールスポイントができると思いますけれども、そのとき価格が高くなってしまう、そのときに本当に競争力持てるのかということを私どもも今検討しようと、こういうことにいたしましたということを申し上げておきます。
○山田太郎君 全ての牛乳がそういうことではないと思っておりまして、これ六次産業の議論にもつながると思うんですが、一次生産者である生乳業がどうやっていわゆる流通に振り回されないで付加価値を付けられるか、これはもう実は生乳業が生きていくためにはもしかしたら必要なことではないかなと。
現実的に、フィンランド、今大臣お話ありましたように、日本は細菌数の話でいくとミリリットル当たり三十万以下ということですが、フィンランドは十万未満、EU基準でも二十万以下なんですね。こういうものに比べて、もし日本の牛乳が品質上それほどでもないとなれば、いつまでたっても原材料であると、こういう位置付けには変わらないわけでありまして、その先にはなかなかこの生乳業が国際的にも、特に日豪EPA以降、要は国際的な流通が盛んになる中では生き残れないんじゃないかなと、私はそんなふうにも考えております。
さて、先に進めていきたいと思いますが、もう一つ、生乳の需要拡大といったところも重要だという問題認識を持っておりまして、今回お金を入れるということではあるんですが、それ以前に平成二十四年度の畜産経営力向上緊急支援リース事業、二百五十億もお金を突っ込んだと。やっぱり、政府、我々は国民の血税を使って生乳事業等を、あるいは畜産の事業を応援しているわけでありますから、これの効果がどうだったのか、こういったこともしっかり反省しながら次の政策につなげていく必要があるんではないかなというふうに思っております。
さんざんこの話は私は実は前党におったときに林大臣とやり取りをさせていただいておりまして、牛乳の需要が減っている中で生産量を上げても、それは価格が下がっちゃうだけなのでどうなのか、むしろ需要を上げるというところに対してお金を付けるべきなんじゃないかなと、こんな話をさんざんやらせていただいたわけであります。
そんな中でまずお聞きしたいんですが、大臣新たに替わられまして、数字も詳しい西川大臣だというふうに聞いておりますから、この畜産経営力向上緊急支援リース事業というものが果たしてどれぐらいの効果があったというふうに大臣考えていらっしゃるか、教えていただけますでしょうか。
○国務大臣(西川公也君) 私ども、二百五十億の予算で結局、民間リース会社十八社を対象になりましたが、機械の購入経費に対する補助として二百四十四億一千三百万円をこの補助事業で実施しました。農協等に対しては、導入した機械の検収費用等に対する補助、こういうことをやりましたが、畜産の事業たくさんある中で、非常にこれ機動性があってしっかり対応ができたと、こういうふうに受け止めております。
○山田太郎君 その場合、参考になるのが、この平成二十五年の行政事業レビューシートというものだと思います。今回取り寄せて拝見させていただいたんですが、結局、二百五十億円の中身というのは、実は今大臣がお答えした以上には書いておりませんで、ほぼ多くが農畜産振興機構、いわゆるALICに流れたと。その後、どういうふうに具体的にそれが使われ、どんなものになって、本当にこの日本の畜産業が良くなったのかということは、これだと全く分からないんですね。
そういう意味で、是非お願いしたいと思うんですが、やっぱりこれからいろんなお金を使っていって、特にお金を使うだけではありません、先ほども申し上げたように、日本の政策がきちっと農畜産業に効果があるんだと、こういうことであれば、ああ、じゃ、続けていこうかと、そういうふうにも思うわけでありまして、こんなちょっとざっくりしたような事業レビュー書では、これを見た途端に、何だ、機構にお金を渡しているだけで、その先は農水省さんとしては知らんぷりなのかと、こういうふうにもなりかねません。
中身をもうちょっと、今後この委員会でも結構ですし、私どもの方の事務所にも教えていただいて、幅広く国民に、こういったものがどういう効果があって、だから我々日本国としても畜産業を物すごく頑張って応援しているよと、こういうふうに力強く言っていただきたいんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(西川公也君) 確かにこれ、ALICの方へ行って、そこから畜産業者に、畜産関係の関連業界にこれが補助をすると、こういうことでありますが、確かに、私どもとしてはこのレビューシートでも途中まで行きましたと、ここまでの報告しかしておりませんので、これを精査して委員の皆さんにお届けをしたいと、こう考えております。
○山田太郎君 是非よろしくお願いします。
先日、農水省さんの現場からレビューもいただいて、私自身、二百五十億、どういう効果があったんですかということに関しては、いや、人件費等云々というふうに言っていましたが、私も元々経営者やっておりまして、数字を見ていくと、この委員会でも先ほどから議論あったように、実は、特に畜産であれば、もう半分が飼料費というか餌代なんですよね。そこに対して効果がないとなかなか、人件費等の部分に関して効いてきたとしても、やっぱり全体の経営としてはプラスにはならないのかなと、そんな単純な視点から疑問に思っておりまして質疑させていただきました。大臣の方からは詳しく教えていただけるということですので、期待していますので、よろしくお願いします。
さて次は、今回ちょっと生乳にこだわって、こういうときですから少し需要拡大という辺りを見ていきたいと思いますが、実はちょっと、配るまでもないと思ったので、こんなパネルを作ってきたので御覧いただきたいんですけれども、(資料提示)これは何かというと、酪農大国であるニュージーランドが、実は生乳の自動販売機というのがありまして、日本だと考えられないというか、生乳というのは殺菌をしていないものでありますから、そんなものを自動販売機で売っちゃって大丈夫なのかということなんですが、これが先ほどちょっと大臣と質疑させていただきました、要は質を上げていく現場の工夫ということでありまして、他国でもこうやって頑張っていると。
生乳は非常に、本来持つビタミンですとか酵素ですとかプロバイオティクスとかが加熱で失われないために非常に栄養価も高いということ、動脈硬化や心臓発作にも影響が、そういうのに心配がないということでありまして、つまり工夫次第によっては、他国では一生懸命、生乳業、いろんな基準を変えたり、いろんな工夫をしたりしてやっぱりやっているんですよね。
先ほどもありましたけれども、北海道では一社だけが特別牛乳としてこういう形で生乳を販売しているというのは小川委員の方からも少しあったと思います。高くても好きだから買ってくると、こうおっしゃっていましたけれども、やっぱりそういうファンを増やしていくことによって生産拡大、付加価値の工夫、これ全部の生乳業者がやることは無理だと思いますけれども、そこに産業の光というものは見えてくるというふうに思うんですね。
私は、やっぱりそうやって産業が自立しながら強くなっていくこと、もちろんこういう緊急事態においては補給金を出していくということは産業の根底を壊さないためにも重要だと思いますが、逆に、貿易の自由化の背景にある我々の畜産業の生き残りということを考えるのであれば、強い畜産業にやっぱりなっていかなければいけない。しかも、欧米と違ってなかなか、特にアメリカと違って、大規模な畜産業では我が国はない、家庭中心。先ほどのニュージーランドのこの自動販売機の発想も、家族中心の小さな農家が始めながらこうやって成功したパターンだと、こういうふうに伺っております。
是非この辺り、今後、政策の何か視点の違いというか、価値観というか、今までの官僚の方々にあるような観点じゃないところでのこの産業に対する見方、その辺り、是非大臣にお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(西川公也君) 私、就任しましてから、農林水産省、良質なものを作るのは非常にうまい省だと思うんですね。しかし、販売にかけてどうだろうかと。これは、売って産業というのは成り立つわけでありますが、決して販売がうまいという省ではないと、こういうことを職員の皆さんの訓示の中でも申し上げました。
それで、目指すはどうすると。目指すは、九州と同じ面積しかないあのオランダが、結局輸出では世界第二位の国なんですね。ここを徹底的に勉強しようよと、こういうことでやっておりまして、オランダを、モデルにありますので、それらを学びながら、本当に競争力のある日本の農林水産業にしたいと、こう考えております。
ニュージーランドの例はLL牛乳だと思うんですね。日本人がLLを飲んでくれるかどうかも含めて、これは業界の皆さんにお伝えをしていきたいと、こう思います。
○山田太郎君 ありがとうございます。
そうしたら、残された時間、ちょっとALICについて少しやりたいと思っています。
今回、ALIC、農畜産振興機構、非常に大事な役割を果たすというふうに思っております。ただ、経年、私も前の党から引き続き、埋蔵金というか、やっぱりこの団体にたくさんのお金がたまっていると。平成二十二年度が一千八百九十四億を始めとして、二十三年度が二千六百十七億、二十四年度が三千三百二十五億で、二十五年度末でも三千四百五十億と、だんだん増えているんですね。
会計検査院の方は、平成二十二年八月の調査に、報告に基づいて、支出額と比較して多額の資金を長期保有している状況となっていると。調整資金及び畜産業振興基金の資金保有が適正な水準を超えることがないように留意するという、こういう意見を付けているわけであります。
会計検査院にお伺いしたいんですが、二十四、二十五の調査、追跡はその後どうなっているのか。膨れ上がった入口は牛関基金というふうにも言われていますけれども、その辺り御説明いただけますでしょうか。
○説明員(斎藤信一郎君) お答えいたします。
会計検査院では、ただいま先生おっしゃった報告の後も、機構が保有する調整資金及び畜産業振興資金について、資金の規模や必要性等の見直しが事業の進捗状況や社会経済情勢の変化に応じて適時適切に実施されているかなどに着眼をして検査を行ってまいりました。
そして、平成二十五年度決算検査報告では、国からの交付金を財源とした畜産業振興資金について、使途に制限があり有効に活用できない交付金の未使用額等を速やかに国庫に納付させていない事態について指摘し、農林水産省は、会計検査院の指摘に基づき、これらの未使用額等を国庫に納付させる等の措置を講じたところでございます。
本件については、国会での御議論も踏まえて、今後も適切に検査を実施してまいります。
○山田太郎君 最後の質問になっちゃうかもしれませんので、大臣にお答えいただきたいんですが、私はこのお金、三千四百億円の基金、できれば国庫にできるだけ返していただきたいなと、こう思っています。実は、財務省の金利が〇・七で、ALICさんが運用していて〇・二なので、金利差だけで〇・五ありまして、三千四百億を丸々返すと一年間十七億円というお金が浮くんですね。仮に、じゃ幾ら返すかという話で、実はこれも、前回相当、林大臣とはやり取りをしまして、緊急対策費用としてBSE対策で過去八百億円の支出が一気に最大だったとおっしゃっていたので、じゃ、まあ八百億から一千億円ぐらいあったらいいんじゃないのというようなことを言いまして、一応その段においては七百三十一億円を平成二十六年四月までに国庫に返していただいた、こういった経緯もあります。
これも、数字に詳しい西川大臣でございますので、私は、国民のお金がうまく使われていないとよろしくないですし、提案型としても、別にALICを責めるわけじゃないんですが、多分彼らも心配だからこそため込んじゃうと思うんですけれども、これは、前回財務省も呼んできて、予備費の中からも緊急であれば一日、二日で出すことができるんだと、こういう答弁もいただきながらやった経緯もあります。
是非、この辺り、一つ一つの独法の見直しということもこれから安倍政権としての行革の在り方だと、こういうふうに信じておりますので、この辺り、西川大臣に、どのようにお考えになって今後対処されていくのか、できればお金を返していただいて金利分だけでも稼げれば、私の議員の給与等、それからいろいろ批判等もあります政党助成金の問題に関してもしっかり国民に説明が付くかなと思っておりますので、よろしく答弁いただけないでしょうか。
○国務大臣(西川公也君) 御指摘をいただきましたALICの資金でありますけれど、私どもが措置をしてもらった額があるわけでありますが、これ申し上げておきますけど、平成十三年度、BSEの発生時、措置額千五百三十二億でした。うち保有資金から一千八十五億出したと、こういう状況でありまして、これが一番大きかったのでありますけれど、いつこの法定伝染病といいますか、家畜伝染病が来るか分かりません。そういう中で、全くなくなるというのは不安でならないと、こう思いますし、ただでさえ畜産振興のお金が足りない時期でありますので、過度の保有は避けて、できる限り政策的な支援策に使えるように、私はそういう方針でやっていきたいと、こう考えております。
○山田太郎君 時間になりました。
初めての会派の質疑ということになりました。
是非、そういった意味で効率的に使っていただく。決して、ただ国庫に返せということではありません。そうなれば、ほかにも使えるということになるわけですから、そんな観点で是非考えていただければいいと思います。
今日はありがとうございました。