2015.8.10
質問してない事にも答えてくれた総理との質疑(8/10予算委員会)
8月10日、予算委員会で質疑を行いました。
【今日の質疑のポイント】
・海外では国家の威信をかけて取り組んでいる製造業復権プロジェクトだが、日本は予算がゼロとなっている点を指摘しました。
→総理からは曖昧ながら、進めていくという旨の答弁がありました。私からは年末に向けぜひ具体的な形にまとめていただけるようにお願いをしました。今後もきちんとチェックしたいと思います。
・インターネットは基本的人権であり、憲法違反の可能性が高いネットの検閲とブロッキングという手法は使うべきではないと思うがどうか?と質問しました。
→この質問にはきちんとした答弁はありませんでしたが、TPP非親告罪化について、私からは特に質問をしていないのに総理が答弁するハプニング(?)がありました!
総理のフライング答弁(抜粋)
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
そして、TPP交渉における著作権侵害の非親告罪化については、二次創作の萎縮などの懸念も踏まえ、権利保護と利用促進とのバランスを取りながら共通ルールの構築を目指し、交渉に当たっております。
○山田太郎君
TPPの非親告罪の話は質疑通告していたんですが、質問しなかったんですけれども、答えていただきまして、ありがとうございました。
189-参-予算委員会-019号 2015年08月10日(未定稿)
※未定稿です。確定版ではありません。ご注意下さい
○山田太郎君
日本を元気にする会・無所属会の山田太郎でございます。井上議員に引き続き、質疑させていただきたいと思っています。
実は、私は議員になる前は自ら起こしました会社で製造業専門のコンサルティング会社をやっておりました。その後、それを上場させたりとか、あるいは、アジアにいろんな日本の物づくりの会社を進出させるなど、二十年間現場でやってきた身であります。その観点から、今日はちょっと骨太の方針との関連で是非総理に対して質疑をさせていただきたいと思っております。
日本の大手の製造業は今最高の収益を上げているということですが、残念ながら、実態は海外で稼いで連結をして好業績だと、その利益はそのまま海外投資に向かっていて、なかなか国内の雇用、それから中小企業への還元にもつながっていないんじゃないか。現在、日本の貿易収支は赤字なわけでありますが、とはいうものの、産業別では製造業のみが黒字を稼いでいて、このもし製造業が失われてしまえば大変なことになってしまうと、こういう非常に私は危機感を持っております。
パネルをちょっと御覧いただきたいと思っております。(資料提示)
製造業は、他の産業と比べても国内の雇用を大変大きく支えているんですね。さらに、GDPに占める製造業の割合は他の産業と比べても高くて、他産業への波及効果、地域産業の維持、依然、製造業が日本の屋台骨を支えているというのは事実だと思います。
ところが、政府は、今後の五年間の成長戦略をまとめた、六月末に出された安倍政権で最も重要な指針、骨太の方針二〇一五の中で、製造業単体について触れている箇所の記述が全くないんですね。製造業は、今でも日本のGDP、そして雇用の二割を支えている極めて重要な産業です。総理はこの日本の製造業を伸ばしていくことを諦めてしまったのかどうか、お答えいただけないでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
私も製造業の出身でありまして、鉄鋼業界におりました。
そこで、いかに創意工夫が進められ、ラインにおいて言わば改善に取り組んでいくか、その中において競争力を確保し、そして世界の競争の中においても製造業においては日本は高い生産性を維持をしていると、このように思っておりますし、しかし、現在の段階において、その製造業、利益を上げていますが、古くなった設備を思い切って設備投資をしてそして生産性を高めていくということについては、残念ながらそこまでは行っていないという課題、問題意識を持っております。
その中におきまして、我々、政労使という仕組みとは別に、政と産業界において話合いを進めながら、設備投資が進んでいくようにお互いが努力をしていくようにしていきたいと、こう思っているわけであります。
骨太の方針では、民間企業投資を拡大し、絶え間なくイノベーションが起きるようにすることによって生産性を飛躍的に向上させることが日本経済の最重要課題の一つであるということをお示しをしましたが、これは製造業においても当然例外ではないわけであります。このため、成長志向の法人税改革や規制改革、TPP交渉の早期妥結など、事業環境を改善する取組をしっかりと進めていく方針であります。特に、中小製造企業については、ITや人材への投資を支援し、新たな物づくりやサービスの創出を促し、製造業の生産性の向上と高付加価値化につなげていくという方針を出しております。
そして、製造工程には依然として人手に頼ることが難しい部分が数多く残っておりまして、ロボットの活用は生産性を大幅に向上させるとともに、IoT等のデジタル化とも相まって、交通、医療、介護などの分野に新たな付加価値の提供を可能にするものであり、重点的に取り組んでいきます。
これらの総合的な取組によって製造業の競争力を更に強化をし、更なる成長と発展を実現していきたいと思います。
○山田太郎君
次に、ちょっと各国の取組を見ていきたいんですが、パネル等も見ていっていただけますでしょうか。
まず、アメリカなんですけれども、製造業の実は国内回帰と雇用創出、それからドイツでもインダストリー四・〇という形で製造業の最高プロジェクトが今進んでいます。金融で有名なGEも、今後キャピタル部門を縮小しまして二〇一八年には一〇%以下まで収益を下げるなど、実は脱金融、製造業回帰を進めているんですね。フォードも、二〇一一年以降、メキシコ工場をアメリカ国内に移すなど、一万五千人の雇用を生もうとしていると、こういうことなんだと思います。
このパネルの資料を見ていただきたいんですが、実はドイツでは、メルケル首相が政府主導でトップセールスマンとなりまして、インダストリー四・〇という巨大プロジェクトを国内の中小企業を巻き込んだ形で推進しています。インダストリー四・〇といいますのは、機械の第一次、石油の第二次、コンピューターの第三次に次ぐインターネットと物づくりを融合した第四次産業革命のことであります。このインダストリー四・〇はすさまじい勢いで日本にも迫っておりまして、日本の標準をも握ろうとしていると。
アメリカではまさにインダストリアル・インターネット、フランスでは今年の五月からインダストリー・オブ・ザ・フューチャー、中国でも中国製造二〇二五、インターネットプラスと、単純組立ての製造業から脱却して物づくりの付加価値を付ける製造強国としての地位を築こうとしています。これらは、個別の企業への補助金とか支援などの取組ではなくて、政府主導で中小企業を含めた製造業全体の付加価値を付ける、まさに国の威信と存亡を懸けた戦略をやっているわけなんであります。
今総理の方からも、確かにロボットについての言及はありました。民間主導でロボット革命イニシアティブ協議会というのを少しやっているということを聞いておりますが、残念ながら二〇一五年の関連予算はゼロということでありまして、胸を張って言われたこのロボットも、実は産業用ロボットの出荷台数については、何と二〇一三年に既に中国に抜かれていると。そしてさらに、今年度末には稼働台数も抜かれるという予測が実は出ています。ソフトバンクの先端AIロボット、皆さん御存じだと思いますが、ペッパー君、あれも中国の鴻海の煙台工場で作られているということからも分かるように、日本が本来得意としているロボットですら中国の猛追を受けているんですね。
何でこんな事態になっちゃったのかなということなんですが、日本はやはり個別のものに注目したIoT、インターネット・オブ・シングスにとどまっていて、産業界挙げての標準化、それからPLM、マスターデータの改革など製造業の国家戦略がないからなのではないかと、こういうふうに危惧しているわけであります。
今年の三月の九日にメルケル首相との共同会見でも、総理は日本でもインダストリアル四・〇を進めていく決意と発表されていますが、具体的に、じゃどう進めていくのかと。日本も政府主導でこれら諸外国並みの来年度の予算、それから戦略を構築されるのか、骨太にもないということなんですけれども、いかがか、総理に是非お答えいただけますでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
製造業におけるITの活用は日本が世界の中でも進んでいるというふうに認識をしています。今般の世界の動きを受け、海外企業と協力する点、そして日本の強みを更に高めていく点について国としてもしっかりと支援をしていきたいと、こう思っているわけでございます。
今、産業用ロボットについて御指摘がございました。
産業用ロボット、大変日本はかつては進んでいたんですが、しかし、その後しばらく注目されていなかった。安倍政権においては再びここにスポットライトを浴びせまして、この産業用ロボットを、今や廉価で中小企業も使えるものも出てきているわけでございますから、そうしたものを活用しながら、農業やあるいは介護といった分野でも活用が可能となってきたわけでありますから、ロボット革命を起こしていくという決意でこの取組をスタートしたばかりでございまして、まだ残念ながらその効果は出てきていないわけでありますが、必ずや二年後、三年後には出てくるものと期待をしております。
また、IoTを活用していくということについてもしっかりと力を入れていきたいと、こう思っております。
○山田太郎君
是非、原発輸出とか武器提供に熱心だということを言われないようにこの辺り頑張って、特に年末までに骨太の具体性をまとめられるということなので、よろしくお願いします。
さて、残された時間、表現の自由ということで一つ、インターネットは基本的人権だというところを少し質疑させていただきたいと思いますが、表現の自由と通信の秘密、憲法二十一条なんですが、それに違反されているのではないかという事例が日本でも多くあるのではないかなというふうにちょっと危惧しております。
先日衆議院で通過しました通信傍受法においては、警察による電話やメールなどの傍受の範囲が拡大されました。昨年改正されました児童ポルノ禁止法でも、プロバイダーにサーバーのパトロールと通信の監視をする努力義務が付きました。青少年インターネット環境整備法や、自民党の方から法案化された、一度提出されました青少年健全育成基本法についても、青少年の知る権利を奪うかのごとく積極的にプロバイダーなどによるブロッキングを促しているのではないかというふうに懸念しています。
ヨーロッパでは、インターネットは基本的人権として使われています。日本もそういうふうにするべきじゃないかなというふうに思っています。
先日、総理が本部長を務める知的財産戦略本部において、著作権違反サイトについての通信の検疫やブロッキングを検討することが推進計画に載っていたんですね。ただ、CODAがしっかり言っていれば、海外、中国サイトにおいても一〇〇%ほぼ削除されているということなので、わざわざ憲法違反の可能性の高いネットの検閲、遮断という手法は使うべきではない、私はこういうふうに思っております。
是非、この辺り、総理が本部長をやられております知的財産戦略本部における会議の中で、この表現の自由や通信の秘密を最大に制限するネットの検疫やブロッキングを最初からするべきではない、こう思いますが、総理の見解をお聞かせいただけますでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君)
御指摘の表現の自由や通信の秘密は、日本国憲法で保障された基本的人権の一つであり、それを尊重するべきであるということは言うまでもないと思います。
一方、例として挙げられた児童ポルノは、厳正に取り締まるべき犯罪行為であります。関係業界の協力を得ながら取締りを強化するため、平成二十六年六月、議員立法によって御指摘の努力義務が創設されたものと承知をしています。
そして、TPP交渉における著作権侵害の非親告罪化については、二次創作の萎縮などの懸念も踏まえ、権利保護と利用促進とのバランスを取りながら共通ルールの構築を目指し、交渉に当たっております。
○山田太郎君
時間が来ました。
TPPの非親告罪の話は質疑通告していたんですが、質問しなかったんですけれども、答えていただきまして、ありがとうございました。
以上で終わります。ありがとうございます。