2022.5.24
デジタル最先端 山形県!惺山(せいざん)高等学校と山形市立商業高校を視察 地域発教育DXの好事例!!
5月15日、山形県山形市にある惺山高等学校と山形市立商業高等学校のICT教育を視察しました。惺山高校は、昨年100周年を迎えた伝統ある高校で、この4月から新名称に生まれ変わりました。新型コロナが流行する以前の4年前から、ICT×新教育をかかげ、「デジタルを用いた新教育とはなんなのか?」を追求していたそうです。入学とともにChromebookを1人1台プレゼントし、オンライン授業や探求型学習、日常の課題提出までオンラインを支えるツールとして大きな役割を果たしていました。Adobe illustrator・PremiereやVR授業、アプリ開発など、最新のICTコンテンツを採用し、最先端の技術が習得できるよう環境が整えられています。WIFIなどの通信費用も完全無料で生徒の経済的支援も同時に行っていました。
写真)高橋先生から校務システムについて説明を受けているところ
高橋先生に伺うと、この4年間では大変な試行錯誤があったと言います。ハードの面では、900台のPCを同時につないだ時のWIFI環境をどうつくるか、生徒目線でいかにソフトを使いやすくするか(生徒は使いづらいものはすぐに使わなくなるそう)、先生方のリテラシーの問題等ひとつずつクリアしていった4年間だったそうです。
私が特に感動した点は、校務システムです。BLENDという惺山高校が全国の高校で初めて採用した教務システムが使われており、成績や帳票管理、保護者共有等が一元化されたものです。独自にカスタマイズすることで、Chromebookを出席簿として利用し、完全ペーパーレス化を実現しています。スタディログ(eポートフォリオ)も惺山高校オリジナルで、受験時の出願や面接に向けた準備を計画的に行うことができるそうです。セキュリティの権限管理もしっかりと行われていました。保護者との欠席のやりとりも承認ボタンひとつで出生簿に反映させることができ、教員・保護者とも相当な負担軽減につながったそうです。組織としては、校長先生の直轄でみらいプロジェクトを立ち上げ、様々な先進高校に視察行き、トップ・ミドルダウンで進めているため、意思決定も早く、なかなか変わらないな現場の改革が実現できたそうです。
次に、ICTルームにてIT(e-sports!)部を視察させてもらいました。部員は60名(一学年377名)と大変人気のある部活動です。
写真)IT(e-sports!)部の様子
部員のみなさんが熱心にオンラインゲームを練習している様子が大変印象的でした。生徒の皆さんからは、「住んでいる県によってはインターネットを使う時間が規制されたりしている。そういう地域ではe-sportsの練習もできない。時間制限ではなく、メリハリが大事だと思う。国での規制は進まないようにして欲しい。」という要望も寄せられました。若者がe-sportsに取り組んでいけるような環境もしっかりと整備していきます。
次に視察したのは、この4月に新校舎がスタートして山形市立商業高等学校(山商)です。山商は、最新のICT学習環境が整えられており大変驚きました。加えて特筆すべき点は、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)を採用し、約105億円で15年間の維持管理されている点です。15年間の維持管理や食堂や売店、スポーツジムの運営も民間が担っています。例えば、スポーツジムを民間が運営することで、学校側としては、最新の機器や細やかなメンテナンスやサービスが提供できますし、運営会社側としては、データ取れたり宣伝にもつながるメリットがあります。私は、PFIの担当政務官でもありますので、改めて、国でもしっかりと推進していく必要があると感じました。
▲全教室に電子黒板とインフォメーションモニターを兼ねる65型のインタラクティブディスプレイが設置されている。
▲アクティブラーニング室ではグループワークも可能。
▲体育館はバスケットボールコート3面の広さ。ちょうど練習をしていたバトミントン部の様子を校長先生がiPhoneで撮影、すぐに体育館の大スクリーンに飛ばして撮影した動画を見ることができる。
▲食堂は遠隔から券売機で購入できる。食堂兼ラーニングコモンズは、昼食時は食堂として利用でき、授業中や放課後はアクティブラーニングや自主学習の場として利用できる。
写真)山形市立商業高等学校小林勝喜 校長先生と私(山田太郎)
山形のデジタル最先端教育を間近で見ることができる大変有意義な視察となりました。現場の知見を国の政策にしっかりと反映していくともに、好事例として全国に展開して参ります。