2023.5.16

決算委員会〜こどもの死因究明の制度・裁判記録のデジタルアーカイブについて〜(2023年5月15日)※未定稿

こどもの死因究明の制度

〇山田太郎君 自由民主党の山田太郎でございます。

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今年の四月からこども家庭庁始まりました。これまでも、その子供政策の中でも子供の命を守っていくというのは非常に今重要だということでありますが、CDRですね、チャイルド・デス・レビューと、子供がどうして亡くなったのかということをしっかり検証していこうという仕組みは、実はこれまでも国会で議論されていたんですが、なかなか進まなかった経緯があります。決算委員会でありますので、そこをしっかり次につなげていくという質疑させていただきたいと思います。

CDRは、子供のための子供の死亡検証ということでありまして、自殺予防の推進ですとか虐待予防、それから不慮の事故の調査ですとか、救急医療の検証ですとか、小児科医療の質の向上ということで、特に欧米では四十年以上の実績と蓄積があります。ただ、日本では、どこで亡くなったかの対応もばらばらでありまして、所管省庁ですとか事故報告の様式、検証の在り方が非常に複雑でまちまちであります。

昨年の岸田総理の施政方針演説でも、この子供の死因究明を行うということで、CDRについてはやるのだということをしっかり位置付けていただきました。

そこで、二〇一八年に成立した成育基本法では初めてCDRが書き込まれました。この成立に当たっては、今日お越しの自見はなこ政務官にも尽力していただきましたが、その後、全国の自治体でモデル事業を行っているんですけれども、二〇二〇年度から行っているCDRのモデル事業で、当初の資料だと本格導入は二〇二二年とされていましたが、現在時点で少なくとも二年分の課題がそろっているはずなんですけど、結果の取りまとめの報告書が出ていないんですね。で、この報告書いつ公開されるのか、また、事業結果を踏まえて今後CDRをどのように、いつまでに推進していくのか、お答えいただければと思います。

○大臣政務官(自見はなこ君) お答えいたします。

予防のための子供の死亡検証、CDR体制整備モデル事業につきましては、二〇二〇年度に開始をいたしまして、二〇二二年度には八自治体において実施していただいているところであります。現在は三年間分の年度を経て四年目に入ったところであります。

これまでのモデル事業を通じまして、検証の関係者間におけるCDRの意義あるいは目的に関する共通の認識の形成ですとか、あるいは子供を失った遺族の方々への配慮、心理的支援の必要性などについて指摘がされているところであります。

そのため、昨年度から新たにグリーフケアの研修やCDRの意義やモデル事業等で得られた予防策等の普及啓発にも取り組んでいるところでもあります。

これまでの令和二年度と令和三年度の事業の報告につきましては、各都道府県で導き出された予防策を取りまとめた資料というものがございますので、その取りまとめた資料や研修資料というものを公表しております。今後も、情報が取りまとまり次第公表してまいりたいと考えております。

〇山田太郎君 各都道府県の予防策とか研修資料ではなくて、しっかりとした研修事業全体の報告書を国で出していただきたいと思います。

次は、都道府県のCDRモデルの事業の手引きということで、二〇二一年度の第二版ですね、これは第一版と違って、第二版から急に遺族の同意が必要となっていると、必要となったということであります。その理由についてはどうしてなのか、具体的に教えていただけますでしょうか。

○大臣政務官(自見はなこ君) お答えいたします。

都道府県チャイルド・デス・レビューモデル事業の手引き第二版におきましては、民間機関が、医療機関などを想定してございますけれども、が他の機関から要配慮個人情報を取得する場合におきましては、原則としてあらかじめ本人の同意を得る必要がある。この本人に関しましては、要配慮個人情報の当事者でありますので、この度は遺族ということを指しております。

また、警察等がCDRの事務局に調査等の結果の提供を行うときには、必ず事前に事務局又はワーキンググループ等において、遺族から当該情報提供に関する同意書を取得していく必要があるということを記載をさせていただいております。

加えまして、CDRの必要性や意義につきましてや、市民や関係者に十分浸透していないこと、また児童の死因など遺族の置かれた状況は様々であることから、二〇二一年度以降のCDモデル事業におきましては、現在のところ、原則、遺族の、まあ本人の同意を得るということとしたところであります。

こども家庭庁といたしましては、昨年度から開始しました啓発事業によりまして、一般の国民の皆様にもCDRの意義等についての理解を促してまいりたいと思っております。また、諸課題についての検討も同様に深めてまいりたいと考えております。

〇山田太郎君 実は、これ第一版では、モデル事業の手引きにおいて、医療機関から個人情報を取得し、収集することは、同法に規定する公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合の例外事由に該当するため、同法上は家族等の遺族の同意が不要と考えられるとちゃんと書いてあったんですね。これに基づいて、滋賀県ですとか香川県がかなり積極的な、全件の子供の死因究明を実は進めていったわけであります。

残念ながら、第二版によって、デグレーションというか、このいわゆる遺族の同意というものがネックになってしまって、あるいは何をもって遺族の同意なのか、遺族とはどこまでなのか分からないということで、非常に停滞をしているのではないかと。

ところで、個人情報保護法も、ちょっと確認したいので、お手元の資料配らせていただきましたが、見ていただきたいと思うんですが、この個人情報の保護に関する法律、いわゆる個人情報保護法でありますけれども、この二十条の適正な取得の中に、三番、公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合というのに関してはいわゆる取れるんだと。それから、五番の学術研究機関等である場合ということで、まさにCDRをやるというのはこの場合なのであるということを第一版ではしっかりと定義付けていたわけであります。

この要は情報をしっかり、死亡の情報を全てきちっと把握、捕捉をして、ただ、それを公表するかどうかというのは守秘義務とかいろんな理由がありますから、いわゆる入口論と出口論を分けて議論するべきなのであって、入口のところから同意がなければ取れないということであれば、例えば虐待のケースであったりだとか、あるいは子供が亡くなった経緯においてどうしても遺族が気になった場合には同意が得られないあるいは同意が得にくいということが多発して、CDRは現実的に進まないのではないかというふうに思っています。この辺り、政務官、いかがでしょうか。

○大臣政務官(自見はなこ君) お答えいたします。

二〇一七年でございますけれども、成育基本法の法律が制定される前でありますが、第百九十三回国会におきまして児童福祉法の改正があった際でございますが、このときに附帯決議の中で、虐待死の予防に資するよう、あらゆる子供の死亡事例について死因を究明するチャイルド・デス・レビューの制度を検討することということを決議をいただきまして、今でもそれは行政の連続性として当然ながら大変重たく、あらゆる子供の死亡事例ということで受け止めております。

そういったことに端を発しまして、その後の成育基本法ですとか死因究明等推進基本計画、あるいはそれに対する立法などでも立法事実も積み重ねていただいたところでございまして、そういったことを背景といたしまして、現在、CDRに対する取組におきましては、研究事業、モデル事業あるいは体制整備事業という大きく三つの事業が走っているところでございます。その三つの柱の中におきましても、モデル事業は現在八自治体ということでありますが、今現在の様々なモデル事業を行ってくださっている自治体の関係者の皆様から様々な具体的なお声を聞きながら事例の蓄積を行っており、引き続き課題の洗い出しなどにも精力的に取り組むと、こういうフェーズでございます。

ですから、現在、繰り返しになって恐縮でありますが、現段階としては、二〇二一年以降のCDRのモデル事業におきましては、原則本人同意、遺族の同意を得ていることでございますが、引き続き諸課題の洗い出しというものをしっかり行いつつ、検討を深めてまいりたいと存じます。

〇山田太郎君 非常に前向きな答弁いただいたと思います。

今後、CDRの在り方に関して、いわゆる遺族の同意というのがどういうものなのか、なぜ必要なのか、改めて考えていただいて、重要なのは、今後この国では原則子供は死なないのだということをしっかり子供政策として貫いていただきたいというふうに思っています。

一方、例えばなんですけれども、水辺の事故などで、必ずしも子供の死の情報に遺族の情報が含まれない場合でもどうして同意が必要なのかなと。また逆に、遺族が希望しても死因の情報が分からないケースなんというものもできてきています。

実は、これはまさに自見政務官とも一緒にやりましたチルドレンファーストの子ども勉強会の中でも取り上げました吉川慎之介ちゃんの事件なんかがそうでありました。二〇一二年の七月に、お泊まり保育で保育中に水遊びをしていたと。ただ、その事故があった後、溺死以外の詳しい死因が分からなくて、親御さんは県に対して事故調査、事故調の設置を要望したんですけれども、県の方は私立幼稚園だから指導権限はないと、こうなったわけであります。文科省自身は自治体の対応が全てですということになりました。ライフジャケットを着けているという意味で、消費者庁の方は、対応だったんですが、川遊びは消費者サービスには当たらないのだということで、結局たらい回しをされました。

刑事訴訟法四十七条の壁もありまして、結局、四年後、元園長が業務上過失致死罪の罪で起訴された後、初めて我が子がどうして亡くなったのかということを知るという、まさに自らの子の話も、同意どころか、いわゆる知りたくても知れないというものがあるわけであります。

これ、しっかり見直しをしていくべきなんじゃないかというふうに思っておりますけれども、なぜ、そういった遺族の同意が必要と、必ずしもないのではないのかという事案、又は遺族が情報を欲しいと言ったとしても得られないケースがあるのか、これも政務官、お答えいただけますでしょうか。

○大臣政務官(自見はなこ君) お答えいたします。

水辺の事故などについて、必ずしも子供の死の情報に遺族の情報が含まれないということの場合でも同意が必要なのかという御質問だと思います。

まず、お答えをいたします。

予防のための子どもの死亡検証体制整備モデル事業におきましては、効果的な予防策を導き出すという観点から、子供の死亡に直接関係する医学的な要因に加えまして、これ全般の話でもございますが、養育の環境の要因ですとか環境要因というものも含めて多角的に情報収集、検証を行うこととしております。

御指摘のような事例につきましては、多角的な情報収集や検証を行う上で、死亡した子供自身の情報のみならず、既往歴あるいは家族背景等遺族等に関する情報を取り扱う場合があり、現時点におきましては遺族等への配慮の観点から慎重な情報の収集と管理が必要であると考えております。

また、委員から御質問がございましたフィードバック等々についてでございます。

ここにつきましては、グリーフケアといった観点ですとか、その後、遺族とどのように関わるかということも、我々のモデル事業の中で取り組んでくださっている自治体関係者からは非常に重要なテーマだということの認識の共有もいたしておりますので、委員の御意見もしっかりと踏まえながら、慎重な、かつしっかりとした議論を今後も深めてまいりたいと思っております。

〇山田太郎君 今の場合の、遺族とも子供の死因が関係あるということですが、まさに関係あるケースというのは多いと思うんですよね。

そもそも遺族が加害者であるとか、不適切指導、養育みたいなもので亡くなっちゃったケース、それから自殺の場合、やっぱり遺族の同意というのは非常に取りにくいんだというふうに思っております。

ただ、子供の死亡をこれ以上繰り返さないということのためにも、もちろん個人情報への十分な配慮は必要ですけれども、先ほども申し上げたように、情報の入口論と出口論というのをしっかり分けて、全件はいわゆる保護、調査するが、出す使い方によっては限ったりとか、そのきちっと配慮をしていくということにするべきなんではないかと思いますけれども、改めてこの辺りの見解も伺いたいと思います。

○大臣政務官(自見はなこ君) お答えをいたします。

子供の死因究明自身は、予防のための子供の死亡検証という、予防のためのという言葉が付いております。

委員からも御指摘いただいているとおりでありまして、ここにつきましてはあらゆる死因ということでございまして、厚生労働省として公表しております予防のための子どもの死亡検証体制整備事業の概要におきましては、例えば睡眠中に亡くなった赤ちゃん、子供たちの事故の対応、防止ですとか、あるいは交通事故、水辺の事故、周産期の死亡の予防、あるいはマルトリートメントや自殺予防といった観点から、予防策の特徴として、まず今現在公表されているところでもございます。あらゆる死因ということで事例として御紹介をさせていただきました。

その中で、委員の問題意識にもございますけれども、子供の死亡事例に関する情報の中には非常に機微なものというものも当然ながら含まれているというふうに認識をしております。体制整備に向けた検討というものを引き続き行っていく過程でございますけれども、現在は、繰り返しますが、そこについては同意が必要ということになってございますが、引き続き個人情報の在り方につきましても個人情報保護委員会等関係機関と連携しつつ検討してまいりたいと思ってございます。

また、加えて、委員からもお話の中でございましたが、既に、それぞれの今までの行政の中で、虐待ですとかあるいは自殺というものにおきましては既存の制度というもので検証も行われているところでもあります。

また、こども家庭庁は、子供の自殺につきましても、議連の求めも、超党派の議連の求めにも応じる形で、しっかりと担当者を置いて対応するということも小倉大臣からも発表させていただいております。

こういった既存の制度の中での検証等も行われているところでもございますが、改めて、CDR全体をどのように進めていくのか、既存の検証等との在り方も決めまして、体制整備に向けた検討が必要だと考えてございます。

〇山田太郎君 もう一つ、二〇二一年度の第二版では、都道府県のCDRのモデル事業として、手引きとして、司法解剖の結果はCDRの対象外というふうになっているんですが、この辺りもどうしてそういうふうになったのか、具体的に教えていただければと思います。

○大臣政務官(自見はなこ君) お答えいたします。

御指摘のCDRモデル事業の第二版手引きにつきましては、事業初年度における取組状況等を踏まえまして必要な見直しを行ったところでございます。

捜査に関する情報の取得につきましては、第一版の手引きには記載していませんでしたが、刑事訴訟法第四十七条及び第百九十六条の趣旨に鑑みまして、関係者の名誉、プライバシー等を保護し、捜査、裁判に対する不当な影響等を防止する観点から、本事業の対象外とする旨を示したところであります。

あわせて、解剖によって得られる情報に関しまして、行政解剖の結果につきましては本事業の対象となり得るとする一方で、司法解剖の結果につきましては、捜査情報に該当するということから本事業の対象としないということを現時点で示したものになっております。

〇山田太郎君 ちょっといろいろおかしいなと思っているのは、第一版のとき、一応私も個人情報保護法を担当する政務官としてこの議論していまして、個人情報保護法上はいけるということで整理をされたので第一版があり、かつ、実際には滋賀県なんかでは、二〇二〇年のモデルで、第一版の手引きを基に、二〇一八年から二〇二四年までで十八歳未満の者百三十一名全ての検案について調査をしています。検察、警察も非常に協力的に行われていまして、司法解剖したものの全てが事件として扱われるわけではないということ、それから、刑訴法上も四十七条は、たしか訴訟に関する書類は、公判の開廷前にはこれを公にしてはならないと書いてありますが、一方で、ただし、公益上の必要その他の事由があって相当と認められる場合はこの限りではないというふうに定めてあります。

やはり、子供の命を守るための国の施策としては、まさに公益上の必要があって相当と認められる場合に該当するはずでありますし、そういった内容をもって第一版まではしっかり滋賀県とか香川県とかやっていたわけですよね。CDRを総理もやると言っているわけでありますし、デグレーションする必要はないというふうに思っております。

私自身は、今日、藤法務大臣来ていただいていますので、是非、法務省からも、CDRのためであれば公判前であっても司法解剖の結果を使用することができるのだということをしっかりケースとして通知していただきたいというふうに思っておりますけれども、法務大臣のお考えいただけますでしょうか。

〇国務大臣(斉藤健君) まず、御指摘のCDR、すなわちチャイルド・デス・レビューは、あらゆる子供の死を検証し、再発防止策を検討するものとして必要性が指摘されており、死因究明等推進基本法の附則等においてもその仕組み等について国として検討を加えることとされ、現在、試行的にモデル事業が実施されるなど、その体制構築、検討が進められています。

法務省としても、子供の死を検証し、再発防止策を講じていくことの重要性は十分認識しています。個人的にも、私の地元は千葉県野田市でありまして、あの悲惨な虐待死の事件が起こったところでありますので、ずっと強い関心を持っております。

一方、刑事訴訟法第四十七条本文は、訴訟関係書類の公判開廷前における非公開の原則を定めた上、御指摘のように、同条ただし書において、公益上の必要その他の事由があって相当と認められる場合はこの限りでないと規定しているわけです。

そのため、刑事手続により得られた情報の外部への提供につきましては、関係者の名誉、プライバシーや今後の捜査、公判への影響といった個々の事案ごと、これ様々であります、個々の事案ごとの必要性を十分考慮する必要があり、お尋ねのCDRについても提供後の情報の取扱いに関する枠組み、こういったものを踏まえた慎重な検討を要すると考えています。

ただ、CDRの枠組みにつきましては現在まだ検討中ということでありますので、お尋ねの通達の発出等につきましては現時点でお答えするということは困難でありますが、法務省としては、今後、刑事訴訟法第四十七条の趣旨、CDRの必要性、重要性及びその枠組みに関する検討の状況も踏まえ、こども家庭庁等の関係省庁とも十分連携して必要な対応を講じていきたいと考えています。

〇山田太郎君 ありがとうございました。

実は、今の大臣の答弁は歴史的だというふうに思っておりまして、これまでCDRの件に関しては、一部からはかたくなに四十七条が、刑訴法四十七条があるために出せないのだということでありましたが、必ずしもそうではないと、これからしっかりこども家庭庁とともに重要性を鑑みて検討していくということになりました。

これ本当に大事なことでありまして、結局、CDRをやる一つの大きな理由に子供の事故もあるわけですよね。事故があるということは当事者がいるわけですから、過失責任を問うケースが事実上ほとんどなわけであります。ちょっとでも捜査という形で資料を集めてみたりとか、又は、不起訴処分というのがまた厄介でありまして、不起訴処分がそのまま取り消さないでそのまま不起訴処分状態になっていると、いわゆる捜査等は続行しているという状況になるので、いつまでたっても、先ほどの吉川慎之介ちゃんのケースじゃないですけれども、遺族すらその我が子の死因が全く分からないというとんでもない話になるわけであります。

そういった意味で、このCDR、そして、逆に言うと、遺族のためにもです、逆に言うと、この刑訴法の四十七条の解釈、それからCDRに資する問題に関してはしっかり対応していただきたいと思いますが、法務大臣からは前向きな答弁いただきましたけれども、こども家庭庁としても、自見政務官、いかがでしょうか。

○大臣政務官(自見はなこ君) お答えいたします。

先ほども申し上げたとおり、現在のCDRのモデル事業におきましては、捜査情報を対象外としておりますが、CDRに関係してくださっております一部の有識者の先生方から、死亡検証の際に捜査情報を活用することでより効果的な予防策を提案できる可能性があるといった指摘があることも承知をしております。

引き続き、モデル事業を通じて把握されました課題等を丁寧に検証いたしまして、その上で、警察庁、そして法務省などの関係省庁とも論点整理を行い、連携しながら、法的整理を含めた体制整備に向けた検討をしっかりと進めてまいりたいと存じます。

〇山田太郎君 この問題に関しては、最後、個人情報保護法、それから刑訴法四十七条、その他実務上のあらゆる問題が関わってきます。

私は、このCDRに関しては立法化を進めるというのは一つの選択肢だと思います。あらゆる死因に対して対応すべきというのが国会の意思でもありますから、その立法化に向けて是非検討をお願いしたいと思いますし、モデルケースはあくまでもモデルケースということで、これから本格的に刑訴法、それから個人情報保護法、CDRの運用について考えていくということは藤法務大臣からも自見政務官からもいただいていますので、このCDRに関する立法化に関して私は是非提案したいと思いますが、政務官、いかがですか。

○大臣政務官(自見はなこ君) こども家庭庁は、CDRの検討も含めまして、子供政策に関する新規の政策課題に取り組むこととされておりまして、そのリーダーシップが期待されているということも委員からのエールの御質問からも感じたところでもございます。

モデル事業も現在四年目になってございますので、令和五年度のCDRモデル事業におきましては、予防のための子供の死亡検証の好事例を収集し、横展開することや国民への普及啓発ということも引き続き続けていくことも重要と考えております。

我々といたしましては、このモデル事業を通じて把握された課題等を検証し、各省庁、関係省庁とも連携しながら、立法の必要性の有無も含めまして、CDRの体制整備に向けた検討をしっかりと丁寧に進めてまいりたいと存じます。

〇山田太郎君 立法化についても触れていただきましたので、大変私は歴史的な答弁になったんじゃないかなと思っています。しっかり、このCDR、本当に子供たちのために進めていければというふうに思っております。

裁判記録等のデジタルアーカイブについて

次に、裁判記録等のデジタルアーカイブについて質疑進めていきたいと思います。

民事裁判記録のうち、判決の原本については永久保存とされていたんですけれども、一九九二年の二月に最高裁の事件記録等保存規程の附則第三条が削除されたということで、確定後五十年を経過した判決の原本は原則として全て破棄されるということになりましたが、なぜこの三項が削除されたのか、どのような手続で決定をしたのか、教えていただけますでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。

委員から御指摘をいただきましたとおり、平成四年の事件記録等保存規程の改正におきまして、附則三項を削ったことにより、本則に従い、判決原本の保存期間を五十年に改めたところでございます。

その理由につきましては、まず、当時、各庁において保存事務の問題が生じていたということがございます。すなわち、各庁とも保存開始から五十年を経過した判決原本が相当な分量になっており、しかも、古いものについては変色や汚損が甚だしく、紙質も相当劣化しているなど、管理、保存に相当の手間や費用を要しておりました。また、当時の利用の実績を見ましても、保存開始から五十年を経過した判決原本につきましては閲覧、謄写等の申請はほとんどなく、その後の裁判等での利用もほとんどされていないという状況がございました。このほか、昭和六十三年一月に刑事確定訴訟記録法が施行され、刑事事件の裁判書きの保存期間が全て有期となったこととの均衡なども踏まえ、改正に至ったものでございます。

このような最高裁判所の規程の制定や改正につきましては、最高裁判所の裁判官会議の議によるものとされているところでございます。

なお、判決原本につきましては、その後、日弁連等の各種団体からの要望もございまして、先ほど申し上げました五十年の保存期間が満了したものについても廃棄をせず、国立大学に順次移管を行いました。これらの判決原本につきましては、その後、国立大学から国立公文書館に段階的に移管されたものと承知しております。

また、現在におきましては、保存期間が満了した民事事件の判決原本等につきましては、平成二十一年八月五日の内閣総理大臣、最高裁判所長官申合せ等に基づきまして、順次国立公文書館に移管することとなっております。

〇山田太郎君 この期間が終了した原本については国立公文書館に移管されるということなんですけれども、それを担保しているのは申合せということで、大変不確実で心もとないと思っているんですね。

最高裁判所は、民事判決記録について保存期間が設けられている理由については、当事者等の共通の資料として利用されるもので、通常の利用に必要な期間を超えて保持し続ける必要がないと説明しているんですけど、私は、民主主義の根幹を抱える意味では、判決というのは国民共有の知的資源だと思っておりますし、判例というのは極めて重要な国民の財産だというふうに私自身思っております。しっかり、そういう観点から、法律でこれを定めるべきではないかというふうに思っておりますが、法務大臣の見解を伺いたいと思います。

あわせて、劣化等が原因となっておりますので、デジタルへの対応ということも必要だと思っております。これも、最後、法務大臣の方から、今後そういった判決文等のアーカイブの必要性、その辺りについても御見解をいただければというふうに思います。

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〇国務大臣(斉藤健君) 裁判記録につきましては、関係者の名誉、プライバシーの保護の観点を踏まえた適切な取扱い、これが必要であるわけでありますが、その中には、現行の保存期間が経過してもなお歴史的な価値が高い資料や調査研究のための重要な参考資料として保存されるべきものもあるというふうに認識しています。

もっとも、民事訴訟等の事件記録の保管につきましては、保管主体である裁判所の内部的な司法事務処理に関する事項に当たることから、最高裁判所規則で定められているというところであります。

最高裁判所においては、最高裁判所規則の中で、歴史的な価値が高い資料や調査研究のための重要な参考資料となるべきものは保存期間満了後も保存することとしており、まあ今御説明がありましたが、さらに、民事訴訟等の事件記録の保管の在り方については、現在、外部の有識者の意見を聴取しつつ検討が行われているというふうに承知をしております。

また、裁判所のウェブサイトへの裁判例の公表、これにつきましては、裁判例情報への国民の迅速かつ容易なアクセスを可能とするとの観点から、裁判所が定めた一定の基準に基づき、各庁の判断の下で行われているものと承知しておりまして、その自律的な判断に委ねられるべきものと認識をしています。

法務大臣としては、事件記録の管理や裁判例の公表について適切な運用が確保されるよう、引き続き裁判所の取組を見守っていきたいと考えています。

それから、デジタル化についての御質問もありました。

現在、法務省におきましては、刑事手続において情報通信技術を活用するため、刑事手続において取り扱う書類について電子的方法により作成、管理、利用するとともに、オンラインにより発受することなどについて、法整備の在り方、システム構築を始めとしたIT基盤整備の在り方を言わば車の両輪として検討を進めています。

このうち、法整備については、昨年六月、法務大臣から法制審議会に対し、情報通信技術の進展等に対応するための刑事法の整備に関する諮問がなされたところでありまして、現在、法制審議会刑事法部会において調査審議中であります。

刑事手続で取り扱う書類については、その電子化が実現した後における刑事確定訴訟記録の保管の在り方、これも問題になるわけですが、並行してこの調査審議の状況を注視しながら検討を進めているところでございます。

〇山田太郎君 時間になりました。

まず、刑事記録、それから民事裁判の記録ですね、デジタル化はレクではゼロ%と。最高裁の判決については高い水準でウェブサイト公開されているが、下級裁判所の判決というのはほとんど公開されていないと。地震等の災害等についても対応していく必要があるかと思っています。是非デジタル化もよろしくお願いしたいと思います。

私の質疑、以上にしたいと思います。ありがとうございました。