2024.4.22

消費者問題に関する特別委員会〜SNSにおけるなりすまし広告対策について・迷惑メール対策について〜(2024年4月12日)

〇山田太郎君 自由民主党の山田太郎でございます。

SNSなりすまし広告対策について

SNSの成り済まし広告対策等についてちょっと質疑していきたいと思います。

SNS等で企業や有名人に成り済ました広告の問題というのが結構深刻化していると思うんですね。先日、自民党の方でも、前澤友作さん、堀江貴文さんらが投資勧誘に使われたということで、部会なんかで議論がありました。これ、景品表示法などの消費者庁が所管する法令の観点から違法性はないのかどうか、あるいは、消費者庁としてこれらの問題に対して、この消費者被害に対してどう把握されているのか、教えていただきたいと思います。

〇政府参考人(真渕博君) お答え申し上げます。

景品表示法におきましては、事業者が行う表示であって、自己の供給する商品又は役務の内容について実際のものよりも著しく優良であると示す表示ですとか、商品又は役務の取引条件について実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示を禁止しております。

委員御指摘の企業や有名人に成り済ましたいわゆる詐欺広告につきましては、事業者ではない者による自己の供給する商品、役務が存在しない広告でありますため、同法の規制対象となるものではないと考えております。

また、消費者被害についてのお尋ねありましたけれども、SNS関連の消費生活相談件数につきましては、近年増加傾向にございます。SNSなどを通じたもうけ話に関する消費生活相談の中には、著名人や有名人の成り済ましと考えられる事例もございます。このため、消費者庁においても必要な注意喚起を実施してきたところでございます。

ただし、これらは詐欺事案であること、相手が不明であるために消費生活相談員による助言やあっせんで被害を回復することが難しい事案でございますので、消費者被害の未然防止が重要となってまいります。そのため、今後も関係省庁とも連携しながら、引き続き注意喚起に取り組んでまいりたいと考えております。

〇山田太郎君 それでは、詐欺だということなので、これ警察庁にお伺いしたいんですが、当該事案がSNS等に表示されたユーザーが見られた段階で、これ例えば詐欺未遂だったという場合にも検挙可能かどうかということを教えていただきたいのと、あるいは、当該広告で不法な利益を得ようとした者が海外にいる場合、検挙可能かということ、そして、実はこれ詐欺かどうか分からない、実は愉快犯かもしれないということになると、詐欺が成立するのかどうか、その辺りも教えてください。

〇政府参考人(猪原誠司君) お答えをいたします。

犯罪の成否につきましては、個別具体の事案の事実関係に即しまして法と証拠に基づき判断されるものであり、一概にお答えすることは困難であります。

その上で、一般論として申し上げますと、詐欺未遂が成立するためには詐欺の実行の着手がなされていることが必要であり、お尋ねのような場合につきましても、個別具体の事案の事実関係に即しまして詐欺の実行の着手がなされたと認められるか否かが判断されることとなり、詐欺未遂で問擬することも実行の着手がなされたと認められる場合には可能と承知しております。また、警察では、被疑者の犯行拠点が外国に所在する場合には、外国当局との国際捜査共助を推進するなど、連携して摘発を進めているところであり、引き続き、外国当局とより一層緊密に連携し、積極的な摘発に努めてまいりたいと考えております。

また、詐欺罪につきましてはやはり詐欺の行為というのが必要でございますので、それがない場合には詐欺罪は成立しないということになろうかと存じます。

〇山田太郎君 つまり、これは詐欺ならば要は未遂としても取り締まれるんだけど、問題は、その実行着手があるかどうかって非常に微妙だということなんですね。いわゆる不法領得の意思がない場合というのは、これは検挙ができないということになります。ある意味で愉快犯みたいな、特にお金を取り立てるというよりも、いたずらでやったようなものというものについては対応できないということなんですね。

これ、ちょっと、結構法律上いろいろ私も調べてみていろんなところ聞いたんですが、不競法でも駄目、金商法というのは金融業者がやったかどうかということなので駄目、出資法は二十人以上いるかどうか分からないと駄目。これ、肖像権、パブリシティー権は完全に違反しているんですが、これは刑事処罰の対象ではありませんので、実際にはこれで取り締まるということは難しいということで、まさに法律の抜け穴なんじゃないかというふうに思っています。

これ、一般消費者に対する自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるということですから、是非消費者庁としても、こういう問題、立法の措置まで含めて対応していただきたいなと思っています。そうでないと、消費者は何も信用して、いわゆる物が買えない、選べないということにもなりかねませんので、この辺り、自見大臣、お願いしたいと思うんですが、いかがですか。

〇国務大臣(自見はなこ君) お答え申し上げます。

成り済まし広告事案の中でも詐欺、詐欺未遂での検挙ができない場合においても一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるという点は、委員御指摘のとおりであると考えてございます。また、SNS関連の消費生活相談件数も近年増加しておりまして、これへの対応の強化は非常に重要だと認識をしてございます。

他方、先ほど政府参考人が答弁をさせていただきましたとおり、当庁が所管をいたします景品表示法による対応は困難となってございます。また、詐欺事案であること、相手が不明であるために消費生活相談員による助言やあっせんで被害を回復するということが難しい事案であるというところから、消費者被害の未然防止が重要であると考えてございます。

このため、消費者庁におきましては、各地の消費生活センター等を通じまして相談を受け付けるとともに、これらの情報も踏まえまして、無登録業者とのFX、外国為替証拠金取引、あるいはSNSなどを通じた投資や副業といったもうけ話などの注意喚起を実施したところでございます。こうした対応に当たっては、詐欺事案への対応、SNSを運用するプラットフォーム事業者に対する取引等が必要なことから、関係省庁とも緊密に連携しながら取り組んでまいりたいと存じます。

〇山田太郎君 ということで、これもう本当に立法するかどうかという瀬戸際ですので、是非お願いしたいと思います。

迷惑メール対策について

次に、迷惑メールというのについても質疑していきたいんですが、もう皆さんも迷惑メールいろいろ受けたと思います。これ、実は調べてみますと、びっくりしたのが、全メールのうちの四割が今迷惑メールということでありまして、サーバー負荷もすごいことになっているわけですよね。そういう意味で、これ、迷惑メールを何とかしなきゃいけないということだと思います。この中にはフィッシングメールみたいなものもあります。

ちょっと時間がなくなってしまったので一つ飛ばして、もう警察庁に直接聞きたいと思いますが、例えば、これらをいろいろ規律、規制している法律があります。二〇一二年にはフィッシングメールの送信を禁止するための不正法、アクセス禁止法の改正も行われましたし、あるいは二〇〇二年には特定電子メール法の制定、迷惑メールを規制するための特商法の改正なんかも行われているんですが、それぞれ、不正アクセス禁止法によって検挙された人数、それから特定電子メール法並びに特商法で違反して検挙された人数、教えていただきたいんですが、お願いします。

〇政府参考人(佐野朋毅君) お答え申し上げます。

不正アクセス禁止法に規定されているフィッシングメールの送信禁止違反の検挙人員は、御指摘の改正が行われた平成二十四年以降で一人でございます。また、特定電子メール法違反の検挙人員につきましては、法の制定された平成十四年以降三十三人、特定商取引法違反の検挙人員については、御指摘の改正が行われた平成二十二年以降十人となっております。

〇山田太郎君 非常に、不正アクセス禁止法なんかでは十数年たって検挙一名とか、これだけ、四割が迷惑メールかもしれないという中で、特定電子メールでは、十年以上たっていますが、三十三件ということで、ほとんど検挙されないということだと思います。この中に、フィッシングメールの、フィッシングメールなんかのことも考えますと、もしかしたら、法を犯す者にとってはローリスクな行為でハイリターンかもしれないということなんだというふうに思っています。

これは、自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行う特定電子メールや電子メール広告に該当するだけじゃなくて、フィッシング詐欺のメールも含めて、これ本当に消費者保護の観点から、何とか消費者庁対応していただきたいなというふうにも思うんですが、是非これは検挙のために積極的に、捜査当局も含めて、消費者庁としても御協力いただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

まず、この辺り、対策等を含めて、消費者庁の幹部、それから最後、大臣に、この辺り御回答いただければと思っています。

〇政府参考人(藤本武士君) お答え申し上げます。

委員御指摘のいわゆる迷惑メールにつきましては、例えば特定商取引法におきまして、通信販売などの電子メール広告について請求、承諾のない者に対する電子メール広告の禁止などの規制を設けております。これらの法規制の内容につきまして、事業者への周知を行ってまいりました。

他方、フィッシング詐欺につきましては、消費者被害を未然に防止するため、国民生活センターなどの関係機関とも連携をして消費者向けの注意喚起を行ってきたところであります。また、消費生活相談を受けます消費生活センターの現場におきましても、フィッシング詐欺に該当すると考えられる事案があれば警察への相談を助言するなどしていると承知しております。

消費者庁としましては、引き続き、関係機関とも連携をしつつ、消費者被害の未然防止に向けて必要な対策に取り組んでまいりたいと考えております。

〇国務大臣(自見はなこ君) お答えいたします。

御指摘のいわゆる迷惑メールにつきましては、特定商取引法の改正を通じまして、従来はオプトアウト規制であった通信販売等の電子メール広告につきまして、実効性のある消費者トラブル防止のため、請求、承諾のない者に対する電子メール広告の禁止、すなわちオプトイン規制を整備することで、フィッシング詐欺にとどまらず、広く厳格に対応してまいりました。

消費者庁といたしまして、引き続き、特定商取引法の厳正な執行に努めるとともに、フィッシング詐欺のその端緒を捉えた場合には、捜査協力、捜査関係者も含めまして緊密に連携をした上で、消費者被害の防止に全力で取り組んでまいりたいと存じます。

〇山田太郎君 是非、消費者の立場に立って対応していただきたいと思っています。今、オプトアウトからオプトインということになったんですが、果たして本当にちゃんとオプトインというのは守られているのかどうかというところも疑問でありますし、そうであればもうちょっと検挙率が増えているんじゃないかなというふうにも思います。

それからもう一つ、前半にもお話ししました成り済ましに関しても、これまさに法の抜け穴としか言いようがないわけでありまして、取り締まる根拠法がないと、実際には消費者、現場、特に、この新しい電子の時代に混乱があるというふうに思っていますので、大臣始めとして現場の皆さん、是非よろしく対応をお願いしたいというふうに思います。

以上、私の質疑終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

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