2026.3.31

太陽光パネルリサイクル法案、与党審査を通過

2026年3月26日、私山田太郎が環境部会長として開催した「環境部会、環境・温暖化対策調査会合同会議」において、「太陽電池廃棄物の再資源化の推進に関する法律案」が無事了承されました。この法案は、近い将来に耐用年数を迎えることになる太陽光パネルの処理方法を定める、重要な法案です。

そこで本ブログでは、法律案の背景や概要について、どこよりも詳しく解説します。

太陽光発電は、FIT制度(固定価格買取制度、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が国の定めた固定価格で一定期間買い取ることを義務付けた制度)や脱炭素に向けた取り組みの進展により、急速に進展しました。

しかし、太陽光パネルで使用する太陽光パネルは、設置から20〜30年程度で耐用年数を迎え、2030年代後半以降には、太陽光パネルの排出量が顕著に増加し、年間最大50万トン程度となることが予測され、最終処分場の残余容量を圧迫し、廃棄物処理全体に支障が生じる恐れがあります。

そこで、この問題に対応するために本法案が令和8年度国会に提出される運びとなりました。

Q.大量廃棄まで時間があるのに、本法律案を今国会に提出する必要性は何か。

A.速やかな法制化により、リサイクルの取り組みを拡大し、2030年代後半以降の大量廃棄までに、リサイクルの費用低減と体制整備を実現する必要があります。また、高市首相も、昨年度の参議院予算委員会や今国会の施政方針演説でリサイクル制度の創設を進めることに言及しています。

(画像)経済産業省・環境省「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案について」より引用

太陽光パネルはリサイクル工場へと運ばれた後、フレーム(主にアルミ製)とガラスやセル等に分離され、フレームはリサイクルされ非鉄製鉄原料に、他は主に粉砕され、ガラスは建設土木資材に、セル等は精錬されそれぞれリサイクルされます。また、太陽光パネルの主な処理方法として、主にガラスを資源として回収するために下図のように熱処理や切断、粉砕等の手段が取られます。一方で、太陽光パネルには鉛等人体に有害な物質が含まれていたり、ガラス、プラスチック等の様々な素材で構成されているために分別作業が複雑であること等、課題も残されています。

(画像)経済産業省・環境省「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案について」より引用

太陽光パネルのリサイクルについて、①現時点では埋め立て処分費用とリサイクル費用との差額が大きいこと、②全国的な処理体制が構築途上であることが課題です。

まず、①に関して、リサイクル処理費用が8,000~12,000円/kw程度であるのに対し、埋立処理費用は2,000円/kw程度と低コストであることから、多くの太陽光パネルが埋め立てにより処分されています。

(画像)経済産業省・環境省「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案について」より引用

また、太陽光発電事業者によるリサイクルの検討状況に関する調査では、「リサイクルを検討し、実施した」事業者が約2割にとどまり、6割以上の太陽光発電事業者が実質的にリサイクルを検討していないことがわかり、リサイクルの普及には程遠い状況です。

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(画像)経済産業省・環境省「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案について」より引用

さらに②に関して、現状、使用済み太陽光パネルの廃棄には現行の廃棄物処理法に則って各都道府県ごとの認可を受ける必要があります。このことにより、リサイクルに向けた手続きが煩雑な状況となっています。

上記のような課題に対応するため、本法案では太陽光パネルのリサイクルを推進するために、①国によるリサイクル目標などを定めた基本方針の策定、②太陽光発電事業者などに対するリサイクル実施に向けた規制、③効率的なリサイクル事業者の認定制度、④製造・輸入業者、販売業者に対する措置、などを講じています。

例えば①では、リサイクル目標や施設整備の促進、費用低減・技術開発等の施策の方向性の明示を行います。また、②において、費用効率的にリサイクルが実施可能な太陽発電事業者(費用に余裕があるような大手発電事業者)等からリサイクルの規制を段階的に強化し、リサイクルの実施に向けた取り組みを義務付けます。具体的には、太陽電池の廃棄実施計画を事前に届出させる等の取り組みを導入することにより、下図のような処理手順を目指します。

(画像)経済産業省・環境省「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案について」より引用

加えて、③の措置として、費用効率的なリサイクル事業の計画を国が認定し、都道府県ごとの認定を不要とする特例措置、保管基準に関する特例措置を取り、処分される太陽光パネルを集約したりことにより、リサイクルにかかる費用を軽減し、リサイクルの促進に努めます。

(画像)経済産業省・環境省「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案について」より引用

さらに、④に関して太陽光パネルの製造業者に対して長寿化や軽量化といった環境に配慮した設計を進めていくことを求めていくほか、販売業者等に関してリサイクルの円滑な実施に必要な情報な開示等を求めていくこととしている。

(画像)経済産業省・環境省「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案について」より引用

また、これらの施策を柔軟に進めていくため、関連予算案を整備しつつ、予算措置や既存制度も活用し、前述の課題の解決に向けた取り組みを実施していく予定です。

(画像)経済産業省・環境省「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案について」より引用

このように、耐用年数が迫り太陽光パネルの大量処分が必要と予測される中、早急に法案の制定が必要である現状が見えてきました。この問題の解決に向けて、今回の法律案が定めるような、国主導の指針の制定や太陽光パネルのリサイクル処分の比率を上げるための事業者への規制、またリサイクルの円滑な実施に向けた制度の効率化が必要です。リサイクルのさらなる促進、またこのような環境問題の解決に向け、環境部会長として、これからも尽力してまいります。