2026.5.29
「資源小国」から「資源大国」へ! 〜日本の勝ち筋となる「循環経済(サーキュラーエコノミー)」とは?〜
■はじめに
5/14に環境部会・環境・温暖化対策調査会合同会議が開催され、私も環境部会長として出席しました。テーマは循環経済(サーキュラーエコノミー)です。部会で取り上げられた、サーキュラーエコノミーは日本の資源不足解消に向けた一つの解決策となることが期待されているだけでなく、日本の新たな経済成長への道となることが期待されています。サーキュラーエコノミーについては、私も従来よりブログやさんちゃんねるで取り上げてきましたが、今回のブログでは実際に「なぜ日本の経済成長のためにサーキュラーエコノミーが必要なのか」についてピックアップし、紹介してまいります。
■サーキュラーエコノミーとは?

出典:環境省 環境・循環社会・生物多様性白書 状況第1部第2章第2節 循環経済への移行 より引用
サーキュラーエコノミーとは、大量生産・大量消費・大量廃棄が一方向に進む従来のリニアエコノミー(線形経済)に代わって、近年ヨーロッパを中心に提唱されている新しい経済のしくみで、あらゆる段階で資源の効率的・循環的な利用を図りつつ、付加価値の最大化を目指すことが特徴です。
さらに、気候変動や生物多様性の保全といった環境面の課題の解決に加え、地域活性化や質の高い暮らしの実現、産業競争力の強化、経済安全保障の確保にも貢献することが期待される、高市政権が掲げる「強い経済」を実現するための成長戦略の一つです。具体的には、資源安全保障や脱炭素社会の実現、国際競争力の確保につながることが期待されています。
例えば資源安全保障の観点では、ニッケルやコバルトといった重要鉱物の多くを輸入に頼る日本にとって、サーキュラーエコノミーの推進により国内の「都市鉱山」から資源を確保することで、地政学リスクやサプライチェーンの混乱から国民生活と経済を守ることができると考えられています。
また、サーキュラーエコノミーにより確保されたリサイクル材の活用により新品の資源から製品を作るよりもCO2排出量を大幅に削減でき、脱炭素社会を実現する上で不可欠な要素となっています。加えて、欧州を中心に、製品のライフサイクル全体での環境負荷を当規制が強化される中、国内で資源を循環させる仕組みを持つことにより国際市場における日本の産業協力の確保につながることが期待されています。
■サーキュラーエコノミーの推進
現在、我が国ではサーキュラーエコノミーの構築に向けて、政府主導での取り組みがなされています。令和8年4月21日には高市政権下で「循環経済行動計画」が策定されました。これは2030年に向けて鉄や永久磁石等に関する再生材供給目標を設定した「メタルリサイクル推進戦略」の推進を目指し、また金属やプラスチックの再資源化拠点等の構築・ネットワーク形成に向けた投資促進のため、官民で約1兆円の投資を目指すなど、再生資源供給サプライチェーンの強靱化を図るものです。
このほか、日本をハブとした国際資源循環ネットワークの構築、地域循環資源の徹底活用による地域活性化、資源循環分野の国際ルール形成、循環経済の国民運動に取り組むとされています。
■サーキュラーエコノミーの「今」〜世界的な資源獲得競争〜
イラン情勢や関税措置などにより資源獲得が安全保障において重要な課題となる中、世界では各国が重要鉱物およびリサイクル資源の輸出管理強化、国内資源確保、グローバル企業の再生材利用が進んでいます。しかし、我が国では石油・金属等の資源を輸入に依存する一方で国内のリサイクル原料の多くが焼却、輸出されている状況にあります。
例えば、プラスチックは約43万トン(廃プラの4.7%)しか再生材が利用されておらず、123万トンは海外に輸出されています。石油やナフサ、鉱石、金属などは約31兆円輸入しているにも関わらず、海外には鉄スクラップだけで771万トンも輸出されているのが現状です。
我が国の産業競争力を向上させ、経済安全保障をより強固なものとするためには、外交ルートや備蓄による一次資源の安定供給確保に加え、二次資源である再生材の質・量の確保と利用拡大を推進していかなければなりません。ますます不安定になる国際社会において日本の立場を盤石なものとするために、サーキュラーエコノミーの拡充によって資源確保体制をより強固なものとしていくことが不可欠です。

出典:環境部会、環境・温暖化対策調査会合同会議より引用
■動静脈連携による産業競争力の強化
サーキュラーエコノミーの推進には製造業・小売業等の動脈産業(資源から製品を製造・販売する産業)と、廃棄物処理・リサイクル業等の静脈産業(使用済み製品を回収し、資源を回収する産業)が連携する、「動静脈連携」を推し進め、資源循環を活性化させることが求められます。
そのために、静脈産業をより強固なものとすることが喫緊の課題です。2025年11月には、「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律」が施行され、製造業の需要に応じた質の高い再生剤を供給する高度な再資源化事業を国が認定し、事業を後押しする制度が策定されました。私もすでにブログで紹介している、2030年代後半以降に見込まれる太陽光パネル(https://taroyamada.jp/cat-other/post-48912/)や、リチウムイオン電池等の回収にも、静脈産業の拡充は必要です。
私たちに身近な実践例としては、2017年から2019年まで「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」が実施され、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の約5000個の金・銀・銅メダルを全国各地から集めたリサイクル金属で作成するという、オリンピック史上初の取り組みが行われ、回収率100%を達成しました。このことは、日本の静脈産業の発展だけでなく、サーキュラーエコノミー全体の将来性を明示するものです。なお、この活動はその後も「アフターメダルプロジェクト」と名称を変えて存続しており、サーキュラーエコノミー発展のためのカギとなるかもしれません。
■サーキュラーエコノミー推進への障壁
このように、日本の国益のためにも非常に注目度の高いサーキュラーエコノミーですが、我が国での推進を隔てる5つの課題が存在します。
①構成な競争環境の未整備
②原料となる循環資源が集まらない
③リユース・リサイクル技術等が未成熟
④再生剤需要・市場が未形成
⑤資源循環ビジネスの事業性が未確立
まず、不正スクラップヤード問題や不透明な資源の海外輸出ルートの存在により、資源処理に対する公正な競争環境が失われています。これらを取り除かねば、サーキュラーエコノミーの健全な発展はあり得ません。
次に、原料となる循環資源の不足が課題として挙げられます。循環資源は一定量を恒常的に回収することができるわけではなく、安定的な確保の見通しがつきにくいため、経済合理性に基づいて現在では埋め立てや焼却が有利となってしまっています。また、海外の輸出管理措置等によって一次資源の輸入が滞った際、二次資源への影響を緩和するため、経済安全保障体制を高めることが必要です。
さらに、資源回収後のリユース・リサイクルされた後の資源の品質や再生材の利用価値の向上、再生材の需要を創出するためのルールやインセンティブの整備といった課題も乗り越えなければなりません。また、資源循環産業の産業競争力が弱く、事業性が担保できないために規模拡大・高効率化に向けた投資が進まないことも指摘されています。
サーキュラーエコノミー推進のため、これら諸問題を解決していけるよう、私も尽力して参ります。
■サーキュラーエコノミーの展望
我が国の環境や国力の向上のため、サーキュラーエコノミーは欠かせないものですが、今後どのように我が国の発展のために活躍が期待されるのでしょうか。
一つの展望として、ASEANやG7、クアッドとの連携し、日本の優れた精錬技術などを活かしてE-waste(電気・電子機器廃棄物)や使用済み自動車から重要鉱物を回収・処理し、日本でリサイクルするという国際的なネットワークを構築し、日本を国際的な資源循環のハブとすることが目指されています。このことにより、日本の経済安全保障体制が強化されるだけでなく、外交的な発言力が高まります。
■まとめ
本ブログで紹介したように、世界的な資源獲得競争の激化や、「資源流出国」となっている日本ですが、サーキュラーエコノミーはこのような状況を打破する「勝ち筋」と言えるかもしれません。しかしながら、我々が乗り越えねばならない様々な障壁が存在します。そこで、まずはサーキュラーエコノミー推進への第一歩として、動静脈連携を順調に進めていけるような環境づくりをしていくことが私の役割です。環境部会長として、今後もサーキュラーエコノミーを積極的に活用できる社会・環境づくりを目指し、政策を推し進めていけるよう活動してまいります。






