2026.9.25

こども家庭庁の予算改革が前進 -予算の見える化とEBPMを具体化-

こども家庭庁の予算改革が前進

-必要な予算は確保し、効果を説明できない事業は見直す。「全部見える化」とEBPMも具体化-

こども家庭庁の予算について、私はこれまで一貫して、「何に、いくら使い、どのような成果が出たのか」を国民に説明できる仕組みが必要だと訴えてきました。

こども家庭庁の令和9年度概算要求の総額は約7.7兆円です。その多くは、児童手当、保育所や放課後児童クラブの運営、虐待防止、障がい児支援、ひとり親家庭への支援など、こどもや子育て家庭を支えるための経費です。したがって、総額だけを見て「多すぎる」「減らすべきだ」と議論するのではなく、中身と効果を一つずつ検証することが重要です。

必要な施策には十分な予算を確保する。一方で、効果が不明確な事業や、使い道を十分に説明できない事業は見直す。そして、予算がどこに、いくら支出され、どのような成果につながったのかを明らかにする。

この「必要な予算は確保し、説明できない支出は見直す」という考え方を、予算編成の仕組みそのものに組み込むことが重要です。

今回の令和9年度概算要求では、私がこれまで求めてきた方向に沿って、予算の透明化と効果検証を進める具体策が盛り込まれました。

今回、大きく前進したポイントは、次の3点です。

■単発のイベント・広報啓発に係る委託費等を4.4億円見直し

私はこれまで、こども家庭庁がNPOや広告代理店などに委託した事業について、発注金額、入札方法、再委託、多重下請けの状況などの報告を求め、一件ずつ精査してきました。

広報や啓発そのものが不要なのではありません。税金を使う以上、開催回数や制作物の数、動画の再生回数といった実施量だけでなく、その取組によって対象となるこどもや家庭にどのような変化が生じたのかまで、効果を検証する必要があります。

今回の概算要求では、令和7年度補正予算及び令和8年度当初予算に計上された事業を対象に、単発のイベントや広報啓発に係る委託費等について、4.4億円の見直しが反映されました。

今後は、持続的・構造的な政策効果が期待できる施策への転換や、民間の取組への後援など、より効率的な方法で対応する方針です。

重要なのは、単に予算を削ることではありません。限られた財源を、こどもの自殺対策、虐待防止、障がい児支援、社会的養護など、優先度の高い施策に振り向けることです。今回の見直しは、そのための一歩です。

■予算の使い道を、最終支出先まで「全部見える化」

二つ目は、こども家庭庁の全ての予算事業について、使い道をインターネット上で公開する「全部見える化」です。

こども家庭庁の創設前、国は、こども政策にどれだけの予算を使っているのか、その全体像を十分に把握できていませんでした。そこで私は2021年、山田太郎事務所から全省庁に調査を行い、こども関連予算の可視化に取り組みました。

創設後も予算の透明化を求め続け、2023年4月4日の参議院内閣委員会では、地方自治体分を含むこども家庭庁予算の「総点検」を小倉大臣に要求しました。

さらに、2025年8月26日の自民党「こども・若者」輝く未来創造本部では、自治体への交付後の使途を国が把握できていない問題を指摘し、国から最終支出先まで予算を追跡できる仕組みを整えるよう求めるなど、議論を重ねてきました。

今回、こども家庭庁の全ての予算事業について、直接の委託先や補助金の交付先だけでなく、地方自治体を経由した後の最終支出先、事業名、支出金額まで、インターネット上で公開する方針が示されました。全ての予算の使途を最終支出先まで公開する取組は、全省庁で初めてです。

同時に、地方自治体が行う交付申請や実績報告を電子化・統一化し、入力作業の省力化、エラーチェック、集計・加工機能などを導入します。情報公開のために自治体の負担を増やすのではなく、透明性の向上と事務負担の軽減を同時に進める仕組みです。

令和9年度概算要求では、「全部見える化」の実現に向けたシステム構築経費が要求されました。こども家庭庁は、令和9年度中の実現を目指しています。予算の入口から最終支出先までを追える仕組みが、具体化し始めています。

ただし、システムをつくるだけで終わってはいけません。

国民が簡単に検索でき、事業ごとの支出額や支出先を比較できるのか。再委託、再々委託まで含めて予算の流れを確認できるのか。公開された情報を翌年度の予算見直しに活用できるのか。システムをつくって終わりにせず、使いやすさと実効性を確認していきます。

■「予算を使ったか」ではなく「成果が出たか」-EBPMを推進

三つ目は、EBPM(エビデンスに基づく政策立案)の推進です。

EBPMとは、客観的なデータや根拠に基づいて政策を立案し、その効果を検証する考え方です。「予算を使った」「事業を実施した」という事実だけを成果とするのではなく、その政策によって、こどもや家庭の状況が実際に改善したのかを確認します。

私はこれまで、「政策に合わせたデータづくりではなく、データに基づく政策づくり」を掲げ、EBPMを推進してきました。2025年8月26日の自民党「こども・若者」輝く未来創造本部でも、こども家庭庁の経常経費と政策経費を明確に区分し、個々の政策ごとに効果を検証するよう求めました。

その政策によって、こどもの命が守られたのか。困難を抱えるこどもや家庭が必要な支援につながったのか。保護者の負担が軽減されたのか。地域による支援格差が改善したのか。

見るべきなのは、こうした「実際の成果」です。

今回の概算要求では、こども施策の重点分野ごとに検証可能な目標や指標を設定し、予算要求・編成の段階からEBPMを実行する方針が示されました。

例えば、

・こどもの自殺死亡率を減少傾向とする
・14歳以下のこどもの不慮の事故による死亡数を2036年までに統計値の215人から半減する
・放課後児童クラブの待機児童を解消する
・「1か月児」及び「5歳児」健診の実施自治体割合を、2028年度までに100%とする
・里親等委託率を、遅くとも2029年までに乳幼児75%以上、学童期以降50%以上とする
・養育費全体の受領率を、2031年までに40%とする

など、政策の成果を検証するための指標が示されています。

大切なのは、目標を掲げて終わりにしないことです。達成状況を検証し、効果が認められる政策は拡充する。十分な効果が確認できない政策は、原因を検証した上で改善・見直しを行う。

その結果を次の予算編成に反映する。この循環を回すことが、実効性のあるEBPMです。

■必要なところに、必要な予算を届けるために

こども家庭庁の重要な役割は、こどもの命と安全を守り、障がい、病気、虐待、貧困、社会的養護など、困難な状況にあるこどもや家庭を支えることです。必要な施策には、十分な予算を確保しなければなりません。

一方で、効果を説明できない事業や、使い道を追えない予算を放置すれば、こども政策全体への信頼を損ない、現場で真摯に活動する団体まで不必要な疑念を持たれかねません。

今回、単発の広報事業の見直し、予算の「全部見える化」、EBPMによる効果検証が具体化したことは、予算の「中身」と「成果」を検証できる仕組みへ進む一歩です。

ただし、まだ制度づくりの途中です。概算要求の内容が最終的な政府予算に反映されるのか。「全部見える化」が国民にとって使いやすい仕組みになるのか。EBPMが形式的な評価で終わらず、実際の事業改善や予算配分につながるのか。引き続き確認していきます。

必要なところには、必要な予算を届ける。同時に、その使い道と成果を国民に説明できるようにする。「こどもが死なない国をつくる」という、こども庁創設時の原点を実現するため、これからも具体的な改革を一つずつ進めてまいります。

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