2014.12.10
美少女フィギュアに税金投入?政治と文化の関わりとは(20141210)
■美少女フィギュアと税金
10月30日に開かれた衆議院予算委員会で、維新の党の議員が「ある画像」を取り上げようとした所、与党である自民党から「国会に相応しくない」という理由で、委員会への提出を拒否され、話題となりました。
その画像とは、「Tokyo Otaku Mode」(トウキョウオタクモード・以下、TOM)という、日本のオタク文化を世界に発信している企業の販売する「美少女フィギュア」の画像を集めた画像です。
TOMは、クールジャパン機構(※)から15億円の出資を受けることが決まっていました。
しかし、このような「美少女フィギュア」扱っている企業に対して、国民の税金を投入するのはけしからん。ということで、このような画像を敢えて使ったようです。
(※クールジャパンについては、経済産業省のページを参照)
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/creative/)
TOMについては(主に女性の)各大臣からも、
「オリンピックに向けて恥ずかしい」「私自身は見て嬉しいものではありません」など、ネガティブな内容の発言がされていました。
結果的にTOMのサイトからは、該当の商品は全て消えてしまい、「自主規制」という結果に至ってしまったのです。(もしかしたら当局から指導が入った結果の自主規制かも知れません・・・)
■事実上の線引がされた
私はこの問題を受け、非常に危機感を覚えました。
予算委員会のやり取りや、各大臣の発言が、結果としてTMOの自主規制につながったことで、「美少女フィギュア」について、事実上の政治的にアウトな線引がされてしまったのです。
確かに該当のフィギュアについては、性的な興奮を覚えるようなものかもしれません。しかし、これはあくまでフィギュアであり、非常にクオリティの高い、サブカルチャー的な商品です。
このような「美少女フィギュア」も含めた、日本独自の文化であるマンガやアニメ、ゲームなどを海外に向けて広く発信することを目的としているのがクールジャパンの主旨であったはずですが、海外で非常に人気のあるTMOのような企業に対して、このような結果を招いてしまっていては、本当にその目的が達成できるのか疑問です。
■コミケもアウトになるかも
今回は問題は美少女フィギュアが対象でしたが、これがマンガやアニメ、ゲームなどに置き換わった場合どうなるでしょうか。
私が役員を務めるMANGA議連についても、マンガやアニメなどを収集する活動が予定されています。
しかし、今回の問題と同じように、誰かが「税金でこんなマンガ・アニメを収集するべきではない」と言い始めれば、一見追い風に見えていた活動も、途端に強い逆風になってしまう危険があるのです。
日本最大級のオタク文化イベントであるコミケ(コミックマーケット)も、「公的資金を導入した」国際展示場を使用しているわけですから、「そのような場所で行うべき内容ではない」と言われてしまうかもしれません。
■政治と文化の正しい関係とは
クールジャパン構想のように、国が率先して「日本の文化」を発信し推奨することは、非常に素晴らしいことです。
しかし、今の国会で行われていることは、「文化の選別」です。
マンガでもアニメでも、全て「日本固有の文化」であることに違いはありません。
もちろん、何もかも全てが「表現の自由」のもとに肯定されるわけではなく、法的に明らかに問題のあるものや、社会的秩序に大きく関わるようなものは、慎重に扱いを考えていかなければいけません。
政治が文化に関わるのであれば、その関わり方をしっかりと考え、どのようなものでも「文化」としてまずは認め、理解していくことが一番大事なことではないでしょうか。