2021.12.3

ベビーライフ事件【続報②】11月29日ベビーライフの件を厚労省に再確認しました

今年の3月23日、特別養子縁組をあっせんする民間団体「ベビーライフ」(東京)が昨年7月に突然事業を停止した問題で、団体が2012~18年度にあっせんした約300人のうち、半数超の養親が外国籍だったことが、読売新聞の取材でわかりました。

私は、「子どもたちの安否を早急に確認する必要がある」「子どもたちの出自を知る権利を保障する必要がある」という観点から、本件について、厚労省に4度目の現状の確認をしました。(過去の東京都と厚労省への確認に関する記事はこちら

 

改めて経緯を簡単に説明すると、養子縁組あっせん法によって特別養子縁組あっせん団体の許可制が導入されましたが、ベビーライフは東京都で審査保留中だったため、調査対象外でした。そして、ベビーライフが突然事業を停止し代表とも連絡が取れていないことから、海外に渡った子どもも含めて、子どもたちの情報を民間も政府も誰も把握できていない、という状態です。

 

養子縁組あっせん法では「国内が原則」とされていますが、団体が2012~18年度にあっせんした約300人のうち、半数超の養親が外国籍だったという事実は、読売新聞がハーグ国際養子縁組条約の締結国のデータをつぶさに調べ上げ判明した数字です。

国際養子縁組がすべて悪いというわけではなく、もちろん幸せに暮らしている子どもたちもいるでしょう。しかし、日本政府として、それらの数すら把握しておらず安否確認ができていない状況はあってはなりません。

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本日(11月29日)、本件について、厚労省の最新状況を確認したので報告します。

Q1:廃業したベビーライフに関する東京都との連携体制はどのようになっているか。

回答:常日頃から連絡を取り合っている。その連携体制は取れている。

 

Q2:連携の内容、連絡の頻度について詳細を教えてほしい。何について話し合っているのか?

回答:東京都が主管となり、支援の運営しているので、「これは国に確認する必要がある」と判断したときに、東京都から連絡が来る。直近1か月ではメール2,3通の程度。

直近の内容は、カナダのブリティッシュコロンビア州から、行政が関与して養子縁組をあっせんしたいと連絡があり、ISSJが協力してくださることになったので、その準備が整ったという報告の連絡だった。

 

Q3:廃業したベビーライフの代表とは連絡は取れているのかご教示ください。(6月の東京都の回答「住所はわかっており手紙は送っているが、返事ない。でも、手紙がかえって来ていないので、おそらくそこにいるのではないかと思う」との回答だったが。)

回答:連絡は取れていない。

 

Q4:6月から、住所がわかっているのに連絡が取れていないというのはどういうことか?東京都がどのように動いているのか?

回答:東京都からその事実は確認していない。

 

Q5:174名の外国籍の子どもの安否確認は取れているか。6月以降資料の整理・確認状況はどの程度進んでいるのか。(6月の東京都の回答「4月にベビーライフが解散する直前の委託していたクリニックを調査した結果、子どもの名前程度はわかった。数は、数十人。」)

回答:東京都からは、問い合わせがあれば対応している。全数調査はしていない。適宜対応している。今後もなかなかアウトリーチで調査は今困難なので、対象の方が相談、アクセスしたいときに領事館なりと体制を組んで行っているという状況。

 

Q6:外務省との協議の結果、領事館ウェブサイトに案内文を掲載していたと承知しているが、具体的に反応はあったか。

回答:領事館のHPへの案内文の内容は東京都の連絡先を書いている。もしかすると東京都に連絡がいってるかもしれないが、厚労省では把握していない。

 

Q7:2021年4月21日の読売新聞の報道で「ベビーライフ海外養親から計2億円受領」との報道がなされているが、この金額については事実か。

回答:読売新聞は東京に開示請求したと聞いている。厚労省ではどの資料を開示したのはわからない。

 

Q8:厚労省で18年度から実施している養子縁組の手数料の調査結果につてご教示ください。結果によると、最も高い団体が約200万円、2団体は0円というばらつきがあるようですが、このばらつきについては、ガイドライン等を検討しているのか、ご教示ください。

回答:こちらの結果でも、高いところは200万、低いところは0円である。200万の設定は、必要な経費を計算した中で、それぞれの団体の考え方、支援の内容によって異なるので、一律に基準を示すのは難しい。手数料が適切かどうかは団体認可と更新の際にチェックする事項であるということは間違いない。

 

Q9:今後の対応についてどのように考えているか。

回答:東京都で対応しているので、随時相談に応じて応えていく。

 

Q10:厚労省で積極的に調査や対応することは考えていないということでよいか?

回答:はい、考えていない。

 

Q11:ハーグ条約の批准に関する議論はあるか?

回答:議論はない。

 

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回答は正直ほとんど進展がない状況でした。養子縁組のあっせんについて、養子縁組あっせん法の所管は厚労省ですが、団体の認可は都道府県の所管で自治体との横割りの弊害が発生しています。厚労省は、「本件はあくまで東京都の主管で、相談があれば対応する。」という姿勢のままです。マスメディアや私が議題にしていかなければ、忘れ去られてしまう問題でしょう。

 

民間にあっせんを任せる以上は、廃業のリスクは今後も起こりうることです。許可団体が廃業をした場合も、しっかりと都道府県に情報を引き継げるシステムを整備すること、また特別養子縁組のデータベース化が必要です。

 

引き続き、東京都にも調査を迫るともに、今後このような事件が生じさせないよう、立法府として制度の見直しを進めて参ります。

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■山田太郎略歴
参議院議員(2期目)。表現の自由を守るために国会内外で活動を行う。表現の自由を守る会代表。

◇経営者として
 ・ネクステック株式会社 代表取締役社長(CEO・創業社長)
 ・パラメトリック・テクノロジー・コーポレーション米国本社副社長(米国NASDAQ上場企業)等

◇教育者として
 ・東京大学 大学院工学系研究科 非常勤講師
 ・早稲田MBAスクール客員准教授(早稲田大学 大学院商学研究科ビジネス専攻)
 ・東京工業大学 大学院社会理工学院研究科 特任教授 等

◇政治家として
 ・参議院議員(2期目)
 ・内閣委員会 委員
 ・政府開発援助等に関する特別委員会 委員
 ・国民生活・経済に関する調査会 理事
 ・議院運営委員会 委員
 ・議院運営委員会委員図書館運営小委員会 委員

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