2021.4.20

コロナ禍の子どもの心と教育現場の実態とは?!尾木ママがこども庁創設に期待すること

4月15日、第10回「”Children Firstのこども行政のあり方勉強会”〜こども庁の創設に向けて〜」を開催しました。

リアルとオンライン合わせて120人を超える国会議員・地方議員の方々にご出席いただき、また、多くの報道関係者も参加くださいました。連日こども庁が多くのメディアで取り上げられ、国民からの期待と関心の高さを感じています。

本勉強会にご関心のある地方議員の方は、こちらからご登録ください。事務局から勉強会の傍聴URLを送付いたします。※自民党籍のある方に限ります。

写真)会場の様子

この勉強会の特徴は2つあります。1つは、当事者目線を大事にし、当事者の方からヒアリングをしていること。2つ目は、熱意に溢れた議員が多いことです。2月2日に勉強会を立ち上げてから2ヶ月という短いスピードで次の選挙への公約に至ったのも、熱量の高い先生たちのサポートのおかげです。勉強会の内容や資料に関しては、事務局で作ったこども庁特設サイトにて公開しています。

さて、今回は尾木ママこと尾木直樹先生(教育評論家・法政大学名誉教授)を招き「こども庁創設への期待〜子どもにとって安心安全な学校とは〜」についてお話を伺いました。講演の中では、教育現場における問題について多くのご指摘がありました。

写真)尾木直樹先生(教育評論家・法政大学名誉教授)

尾木先生からは、『学校現場の10の問題を解決する必要がある』という強い指摘がありました。

資料)尾木先生ご提供資料

まず、いじめ問題に関して文部科学省の「問題行動・不登校調査」によると、2019年度いじめ認知件数は61万2496件(前年比6万8563件増)で過去最多を更新しました。このうち、命の危険や不登校に繋がった疑いのある「重大事態」は723件で、いじめ防止対策推進法施行後の13年度に集計を開始して以来、最も高い数字となっています。また、パソコンや携帯電話などの中傷(ネットいじめ)は1万7924件と過去最多でした。

図)日経新聞(2020/10/23)より

また、いじめが原因で30日以上の不登校になった生徒の数は517件(前年度比97件増)でした。これに対し「学校側の誤ったいじめ対応や人権に対する認識・意識の低さが、子供たちの不登校や自殺につながっている」とのご指摘が尾木先生からありました。

子どもの頃にいじめられた経験は大人になってからも忘れられず、心に深い傷が残るものです。子どもの心のケアにも重点を置いたこども庁を作らなければならない、と改めて強く思わされました。いじめと指導死の問題については、次回の勉強会で当事者の方をお呼びし議論を深めていきます。

次に、コロナ禍における自殺問題について説明がありました。2020年の警察庁の自殺統計によると、小中高生の自殺者数は499人(前年比100人増)で、統計のある1980年以降最多となりました。特に、緊急事態宣言が解除され学校が再開した6月、2学期が始まる前の8月、期末テストや進路について悩む11月が最も多く、前年同時期2倍以上の自殺者数を出しました。

文部科学省の自殺理由調査では「原因不明」が6割となっていますが、警察庁の調査によると、19歳以下の自殺原因・動機は「学校問題」が一番大きいことが分かりました。コロナを機に変化した環境が子どもに与えたストレスが想像していた以上に大きく衝撃を受けるとともに、多くの尊い命が自らの手で失われたことに胸が非常に痛みました。

図)厚生労働省「自殺対策白書(令和2年版)」より

そして、日本は国際的に見ても若年層の自殺が非常に多い国であります。15~34歳の若い世代の死因1位は「自殺」です。中でも20歳から24歳の死因の半分以上は、なんと「自殺」となっています。また、2019年には日本の10〜14歳における子どもの死因の第一位が初めて「自殺」になりました。G7の中でも、死因の1番の原因が自殺となっているのは日本のみとなっています。我が国の自殺問題に関しては、かねてから私も大きな問題だと認識しています。以前、私のYouTubeチャンネルの方でも取り上げましたので、是非ご覧ください。(https://youtu.be/rVWtMPVFy2A

写真)左から尾木直樹先生、私(山田太郎)、自見はなこ議員

加えて、自殺の原因の一つである「うつ病」に関しても尾木先生からご指摘がありました。国立成育医療センターによるアンケート調査によると、コロナ禍で小学4~6年生の15%、中学生の24%、高校生の30%に中等度以上の「うつ症状」が認められ、全体の16%が自傷行為を行なっていることが明らかになりました。

こどものうつは、大人のうつとは異なる症状で表れることが多いと言われています。大人のうつの症状として思い浮かぶのは、マイナス思考が強い・興味/意欲の喪失などの精神的な症状です。一方で、こどものうつでは身体症状や行動に変化が表れることが多いです。例えば、腹痛・頭痛・イライラ・落ち着きのない行動などといった症状です。こどもだと自力で回復するのが困難なため、周囲が気づき早めに専門家へ相談することが重要です。

図)国立成育医療センター「コロナ×こどもアンケート第4回調査報告書」より

尾木先生のこれまでの説明にあったように、コロナ禍での環境の変化が子どものメンタルに与えた影響は、大人が考えているよりも遥かに大きいです。これ以上事態を悪化させないためにも、早急に対策が必要であります。

そして、尾木先生からは、こども庁への要望として、具体的な以下の提言をいただきました。どれも非常に重要な視点ですが、特に「いじめと指導死の問題」や「子どもの権利擁護」については、次回、次々回の勉強会でしっかりと取り上げます。最後には「子どもの心の解放と命の救済のために、こども庁の創設が一刻も早く必要」と、力強いお言葉をいただきました。

図)尾木直樹先生ご提供資料

子どもたちの命を守り、子どもの権利を保障するのは国の責務であります。1人でも大切な命がなくならないように、引き続きスピード感を持って尽力して参ります。

写真)左から堀内のり子環境副大臣・兼内閣府副大臣、加藤鮎子衆議院議員、尾木直樹先生、朝日健太郎国土交通大臣政務官、自見はなこ参議院議員、山田太郎(私)