2014.12.26

「何が秘密かは秘密です」疑問だらけの特定秘密保護法(20141226)

■特定秘密保護法施行
衆院選前の12月10日、「特定秘密保護法」(特定秘密の保護に関する法律。)が施行されました。
特定秘密保護法については、立法当初から様々な問題点を抱えており、多くの懸念を残したまま施行日を迎えてしまった法案です。

■どのような法律か
特定秘密保護法の中身を簡単に説明すると、日本の安全保障などに関する秘密情報について、行政機関の長が「特定秘密」と判断した場合、それを漏洩させた公務員や民間人に対して厳罰を科すというものです。

■立法事実に感じる疑問
特定秘密保護法の立法事実(何故その法案が必要なのか、根拠となる事実)は、以下の5つです。

・ボガチョンコフ事件
・イージスシステムに係る情報漏えい事件
・内閣情報調査室職員による情報漏えい事件
・中国潜水艦の動向に係る情報漏えい事件
・尖閣沖漁船衝突事件に係る情報漏えい事件

この内、ボガチョンコフ事件以外の事案については、執行猶予若しくは起訴猶予処分となっており、それほど結果的には重大な事件にはなっていません。逆に尖閣沖の漁船衝突事件に関しては、仮にこの事件が「特定秘密」としての扱いを受けた場合、事件について国民は何も知らないまま、闇に葬られていた可能性があります。そもそもこの尖閣ビデオは特定秘密にならないようです。

■不安だらけの法施行
特定秘密保護法は、内容だけではなく、そもそも「何が秘密かすらわからない」という恐ろしい内容です。これは裁判においても同様で、「何が特定秘密かは非公開」という状況で、何が原因で裁かれているのかわからないまま裁かれる、という事態になります。
また、特定秘密を漏洩させた側が裁かれるのか、それを知った側が裁かれるのかなど、重要な部分に多くの疑問点を残したままとなっており、取り締まる側の警察も、整備が行き届いていない法案に、困惑しているようです。自民党ですら、内部から「不安の声」が上がるなど、欠陥だらけの内容となっています。

私の考えでは、「国家公務員法」や「自衛隊法」、「MDA法」(日米相互防衛条約に基づく法律。米軍との関係においては自衛隊法では処罰が「軽すぎる」として米軍の為に用意された法律。なんとも屈辱的な法律です)や「刑事特別法」(これもMDA法と同じく、アメリカ合衆国の安全を脅かした場合に設けられている法律)、各業種に設けられている守秘義務や電気通信事業法など、既に存在している法律の処罰内容を精査するだけで十分なのではないかと考えています。

「特定秘密保護法」のように実態が曖昧で不明確な法案によって、自主規制や業界の萎縮などが強まる可能性があり、これは昨今の「表現の自由」に対する規制の構図とよく似ています。
既に施行されてしまいましたが、今後もこの問題には注視して参りたいと思います。
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●山田太郎略歴(https://taroyamada.jp/?page_id=13)
慶應義塾大学経済学部、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程。
外資系コンサルティング会社などを経てネックステック社を創業、
同社を実質3年半で東証マザーズに上場。2012年12月より参議院議員就任。
東大・東工大・早大などでも教鞭をとり、著書も多数。

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