2014.12.28

コミケで逮捕者続出!?著作権の非親告罪化とは?(20141228)

■著作権の非親告罪化
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)と聞くと、農産物関連の話題がクローズアップされることが多いですが、私が考えるTPPの危険な項目として、「著作権の非親告罪化」というものがあります。

もしも著作権がTPPにより「非親告罪」となると、表現の自由が非常に厳しい状態になります。日本最大のオタク文化の祭典である「コミケ」も、多くが取り締まりの対象になるでしょうし、そもそもそれ以前に「自主規制」を余儀なくされる事になるでしょう。著作権が非親告罪化されると、妬みなどを理由に、他のサークルを著作権法違反で捜査機関に告発することが可能になってしまうのです

■TPPに含まれる知的財産の取り扱い
TPPにはおよそ21分野の取り決めが含まれており、その一つに「知的財産」の取り扱いを規定した項目があります。上記の著作権の非親告罪などは、そこに規定されているのですが、実は著作権非親告罪化とセットで危険な規定が存在しています。

それは「法定損害賠償金算出方法」についての規定です。通常、損害賠償というのは、実際に損害と認められた金額を裁判で決め、それを賠償として支払うという制度です。しかし、法定損害賠償金が適用されると、著作権侵害などの損害賠償について、実際の損害を証明すること無く、懲罰的なものも含めて賠償金が決定されるというものです。つまり、損害を証明する必要が無いため「訴えやすく」、また訴えられた側は「多額の賠償金」を支払うことになる可能性があります。

■日本の文化とTPP
日本には元々「守破離」という言葉がある通り、素晴らしい物を「真似る」所から創作が始まるという考え方があります。しかし、TPPに規定されている知的財産の項目は、こうした考え方を真っ向から否定するものです。

著作権の非親告罪化と法定損害賠償金の取り決めが日本で適用されてしまった場合、今のマンガやアニメ、ゲームなどの業界はどうなるでしょうか。取り締まりの横行、国内での訴訟合戦、それを避けるための自主規制の連鎖…。こういったことが容易に想像できます。これでは日本の文化が目に見えて衰退していくことになるでしょう。このような事態は、絶対に避けなければなりません。

■国際条約の留保
TPPのような国際条約が締結された場合、仮にその国際条約と相反する内容の国内法が存在した場合でも、国際条約の方が優先されることになります。(日本国憲法で規定されています)

そこで、私が考えているのが、TPPにおける著作権の非親告罪化、及び法定損害賠償金についての「留保」です。条約の「留保」というのは、TPPのような多国間条約において、一部の適用を除外することを言います。

「表現の自由」という観点から考えても、TPPにおけるこれらの規定は、絶対に日本での適用を避けたいところです。日本の文化を守るため、まずはこの「留保」を国に迫っていこうと考えています。

■児童ポルノ禁止法や青少年健全育成基本法を巡る動き
それ以外にも2014年は児童ポルノ禁止法改正案の問題が大きく取り上げられました。マンガやアニメ・ゲームについて、その内容についての規制を検討するという条文が含まれていました。皆さんの反対もあり、最終的にはこの付則は落とされた形で可決されましたが、その直前までは予断を許さない状況だったことは皆さんも覚えていらっしゃると思います

2015年は青少年健全育成基本法が提出されそうです。昨年、既にこの法律は国会に提出されましたが、時間切れで廃案となっています。これは、皆さんもよくご存じの東京都の青少年健全育成条例などの根拠法となる法律で、マンガやアニメ・ゲームの販売などに対して、新たな規制が検討されることとなるでしょう。

2020年のオリンピックに向けて、”浄化”の名のもとに、マンガ・アニメ・ゲームに対する国の圧力は強まっていくばかりです。誰も被害を受けていない、誰にも迷惑をかけていないのであれば、こういったものは文化として不当に国から制約を受けるべきではないと考えています。

能や落語など庶民の娯楽が時の為政者の規制の対象となっていた事例は多くあります。その度に、それらを楽しんでいた人々が声を上げ、そして、文化として認められてきた歴史があります。私も、マンガやアニメ・ゲームを自由に書いたり、買ったり、出来る世の中を守っていきたいと思っています。

表現の自由に関する詳しい内容に関しては私が名誉顧問を務めるAFEEのサイトなどをご覧下さい
http://afee.jp

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●山田太郎略歴(https://taroyamada.jp/?page_id=13)
慶應義塾大学経済学部、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程。
外資系コンサルティング会社などを経てネックステック社を創業、
同社を実質3年半で東証マザーズに上場。2012年12月より参議院議員就任。
東大・東工大・早大などでも教鞭をとり、著書も多数。

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