2015.5.26
目が点!患者不在、医者視点でしか語られない厚労委員会の落とし穴
今回は、厚生労働委員会で質疑をさせて頂きました。
いつもは、農水委員として活動させて頂いている私にとって、同委員会は、言わば「アウェー」。安倍首相との直接質疑というだけで重責ですが医師や歯科、医療関係団体支持の議員で構成される独特の委員会での質疑は、空気が違います。
一つ目の質問は、患者申出療養制度についてです。
こちらの制度は、昨年の春に混合診療を推進していこうという規制改革会議で検討され、今回の審議に至ったものであります(ここで混合診療は、保険診療と保険外診療を併用させようというものであり、両者があるので混合診療と呼ばれる物です。)。
例えば、風邪を惹いて病院に行くと窓口では、3割の負担で診察を受けますね。健康保険が適用されるからです。
しかし、皆さんに突然がんが見つかった場合、保険で適用される治療以外に、海外で実証されている先進的な医療なら助かる可能性が高いと言われたらどうされますか。藁をもすがる気持ちで治療を望む人は多いと思います。
ところが、先進的な医療うけると通常保険で受けられる3割負担もすべて10割負担、つまり全額を負担しなくてはならなくなってしまうのです。
このような状況を変えていかないかという提案が当初の案でした。
私は、基本的にこのような規制改革に賛成です。
ところが、今回の法案は、当初の規制改革案とはかけ離れたものになっています。
族議員と官僚、既得権益団体に骨抜きにされています。そしてその中身の対応の部分にも問題があります。
それは、この患者申出療養制度が将来保険で適用されることを前提の限られたものしか対象とならないことです。将来保険が適用されるためには、「安全性」や「有効性」の他に『普及性』を求められます。『普及性』つまり『多くの人が使う』ということが認められないと保険への適用はなく、以後は全額を自己負担で治療していかなくてはなりません。
類い希な難病にかかり苦しんでおられる患者さんたちが、『もう他にはないと命をかけた治療』を行っているにもかかわらず、『普及性』が認められなければ、一切の保険での治療の道を閉ざされてしまう。私は、このような方々を応援したい。
ですから、この法案の欠点を塩崎厚生労働大臣に問いましたが論点がかみ合わず安倍首相がフォローする状況に不安を覚えました。
二つ目は、控除外消費税の質疑です。
持続可能な医療を守るためには、持続可能な医療機関が必要になる。
消費増税で負担を強いられている医療機関の消費税の問題を解決するべきと安倍総理大臣、塩崎厚生労働大臣、竹谷財務大臣政務官に問いました。
私は、国民の医療の方向性を握る厚生労働大臣からその真意を伺ったり、詳細をご説明頂きたかった。しかし、やはり安倍首相が厚生労働大臣のフォローをし、答弁が整ったという印象があります。
患者の立場で物事を捉え、対応して頂くように厚生労働大臣にも、委員の皆様、そして安倍首相にも、患者さんを中心に立場にたった議論を忘れないで頂きたいと存じます。