2013.5.10
中小企業対策タイド援助の拡大について質疑しました。
2013年5月10日、政府開発援助等に関する特別委員会にて質疑いたしました。
内容 中小企業向けODA
タイド・アンタイド援助
ソフト面におけるODA支援
議事録
○山田太郎君
みんなの党の山田太郎でございます。
本日は、平成二十五年度政府予算のODA部分の委嘱審査ということで質疑を行わせていただきたいと思っております。
私は国会議員になる前、中国とか東南アジアの方に行きまして、日本の技術をいろいろ輸出したりとか、それから進出のための資金調達の支援をやっておりまして、そういう意味で、ODAの現場というのはどちらかというと民間の立場から見ておったんですけれども、そういった意味で、外務省さんとはちょっと違った視点からODAという形での税金の使い方のお話ができるんではないかなと、こういうふうに考えています。
まず、最初に中小企業関係のODA予算に関して少し質疑をしたいと思っていますが、大企業はいいんですが、中小企業は御存じのとおり海外に進出しようと思いますと非常に人がいないということで、社長さん自ら四苦八苦されています。そんな中小企業の海外進出を私自身も応援している中で度々思っていたことがございまして、もうちょっと国が中小企業にこの進出支援をしたらどうなのかなと、こんなふうに考えてきたわけであります。
そこで、ODAに対しても期待が高まるわけでありますが、平成二十五年のODA予算の中で中小企業向けのものがどれぐらいあるのか、近年の傾向を含めてどうなっているか、簡素にお答えいただければと思います。
○大臣政務官(若林健太君)
山田太郎議員の御質問にお答えをしたいと思います。
平成二十五年度ODA予算、政府案においては、我が国中小企業の海外展開を支援するための予算、六十七億を計上させていただいています。内訳は、ODAを活用した中小企業による途上国での調査支援、それに二十億、それから中小企業が自社の技術やノウハウを活用して行う技術協力に二十億、それから企業の製品を無償資金協力によって途上国へ供与する事業、それが二十五億などになってございます。
このODAを活用した中小企業支援は、平成二十四年度より新たに開始した事業でございまして、前年度、平成二十四年度の予算は四十・五億でございました。本年度二十六・五億を増額して六十七億にしてございます。
○山田太郎君
全体が六千億というODAの予算の中で、中小企業向けが僅か六十七億ということであります。
実は、この中小企業の国際展開支援事業、私の方も一部支援させていただいておりまして、今日は梅田局長以下いらっしゃっているんですけれども、何社かにこの説明会の方、来るようにということでいろいろと宣伝もさせていただいております。こういう、外務省には中小企業に対する海外進出のODAの予算というのがありますので、これをもうちょっと増やせないものだろうかと。六千億から見たら、僅か五%でも三百億なんですね。決してこの額は、中小企業の大切さ、日本の九割以上が中小企業で、その多くが今海外に出なきゃいけないということを悩んでいるわけですから、決して大げさな額ではないと思っております。
そういった意味で、倍々ということよりも、もういっそのこと三百億ぐらい増やしてみるというのはいかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君)
経済のグローバル化と、また日本国内の厳しい経済状況から中小企業が生き残っていくために、新興国や途上国の成長、取り組むことを考えますときに、中小企業の国際展開、大変重要だと考えております。
昨年度より始めたODAを活用した中小企業支援ですが、中小企業の優れた技術や製品を途上国の開発に活用することで、途上国の開発とそして日本経済の活性化と、この二つが両立することが可能になるという意味でも意義ある政策だと考えております。
御指摘のように、こうした中小企業の国際展開の支援は一層充実を図るため努力をしていきたいと思っています。関係省庁としっかり連携しながら、一層の充実に向けて検討していきたいと考えます。
○山田太郎君
是非、今年度はともかく来年度以降は三桁億というのは目指していただければなというふうにお願いしておきたいと思います。
さて、次なんですが、ODAのタイド、アンタイドに関する質疑を少しさせていただきたいと思います。
ODA、予算の中でタイド支援とアンタイド支援というのがございます。諸外国の動向と併せて、このタイド、アンタイドがどういう率になっているかということで、ちょっと時間がないのでもう私の方が説明しちゃいたいんですが、外務省さんに作っていただいた資料、お手元の方に配付させていただいております。これ見ていただくと分かると思うんですけれども、英国のように非常にアンタイド一〇〇%をOECD勧告によって守っているところから、イタリアのように五〇%台と、こういうところがあるかと思っております。それぞれの国で考え方は違うというふうに思いますが、このOECDのルールが必ずしも徹底されているわけではないと、こういうふうにも考えています。
先ほどの中小企業対策と同じように、ODAというのは日本の企業のメリットが生きやすいという工夫も重要だ、こんなふうにも考えておりますし、決して現地にただお金を渡すということだけではなくて、技術に変えた形でもって現地の産業の付加価値の向上につなげていくと、こういうことを考えた場合に、少しタイド、アンタイドの比率というか、そういうことも国益の観点から見直してもいいんではないかなと。結局、ODAの原資もやっぱり我々国家の、国民の血税だというふうに思っております。
そういった意味で、今後の援助の方針等をどう考えていらっしゃるのか、是非お答えいただければと思います。
○国務大臣(岸田文雄君)
我が国は、優れた技術やノウハウを移転し、我が国の顔が見えやすい援助を推進するという観点から、途上国の要望及びニーズがある場合には、国際的なルールの範囲内で積極的にタイド援助、実施をしてきております。
様々な工夫をしておるわけですが、引き続き、我が国の優れた技術やノウハウを活用し、効果的、そして効率的なODAの実施に積極的に取り組んでいかなければならないと思っています。是非タイド援助を進めて、そして日本の企業の受注率を高める、こうした方向に向けて努力をしなければいけないと考えています。
○山田太郎君
ありがとうございます。
タイドのことを考えていくという力強いお言葉をいただいたので、大変期待しておりますので、よろしくお願いします。
さて次は、援助の中身について少しお話をしていきたいなと思います。
先ほど日本文化の評価が高いという話もありまして、私自身も、ソフト面におけるODAの支援ということがやっぱりこれからは重要だろうと、こういうふうに考えております。
これまで私自身も実は世界五十か国ぐらい回りまして、橋だとか道路だとか、やたら日本が実は造った構造物が世界中にあると。ただ、残念ながら、それが日本が造ったものかどうなのか全く分からなかったりとか、感謝こそされても実際になかなか日本の利益につながらなかった、こんなこともあったかと思います。
一方で、やはり最近、海外進出ということにおいては、目をみはるのは韓国等の動きでございます。韓国は、御存じのとおり、ビデオとか、それから映像、特にテレビ番組のソフトの輸出に力を入れておりまして、それぞれの国々で極めて身近な存在になっているということがあります。
実は、前回のODAのところでも私自身お話しさせていただいたんですが、ミャンマーに対する支援を私自身もさせていただいておりまして、実はミャンマーには四局テレビがあるんですけれども、全てのテレビで韓流ドラマをやっています。そして、今ミャンマーの若者たち、いろいろ一緒に仕事をした仲間がいるので、その仲間に聞いたところ、将来は実は韓国人みたいになりたいと、こんなことも言っているわけですね。結局、韓国からのテレビだったりとか化粧品、その他家電製品が飛ぶように売れていると、こういうことなわけであります。
是非、こういうことを考えると、巨額のODAを投資しなくても、ソフトを中心にしてもうちょっとODAの質的な転換ということを図ることによって、トータルで国益にかなった、あるいは世界も幸せにするODAの支援、援助というのができるんではないかというふうに思っていますが、であれば、日本はこれまで何をやってきたのかということで、是非ソフト面における対策を、どんな対策を取られているか、これ簡素で構わないので、お答えいただけると幸いです。
○大臣政務官(若林健太君)
今、山田太郎議員の御指摘をいただいたソフト事業ですが、クールジャパン戦略等で推進をしていくという政府の方針があります。
今、この二十五年度予算案の中で予定されている事業としては、無償資金協力事業として、例えば、お話のありましたミャンマーにおいて、金融セクターの近代化に対する中央銀行に対するICTシステム整備支援事業というものを予定をしております。
昨年においては、ベトナムにおいて、高速道路における、これも同じようなICT技術の活用をした交通管制システムの導入というのを行った実績がございます。
御報告申し上げます。
○山田太郎君
何となく堅い答弁なんで、これが日本の何となくODAの色なのかなということなので、是非、これは与野党を問わず一緒にやらせていただければ、我々も、実は今日来ているみんなの党のメンバーはみんな海外育ちというか、メンバーなんで、是非一緒に盛り上げていければと思っております。
さて、もう一つ、ソフト支援という観点でいった場合に、お金だけの問題ではないということがございます。実は、今韓国のテレビ番組が相当海外に出ているということで、じゃ、日本のテレビ番組は出せないのかということなんですけれども、私もそれを努力した実は経緯がございまして、基本的にもう難しいんですね。これは何で難しいかというと、版権の問題が日本は極めて複雑でございまして、お金がありゃいいというものでもないんですね。一方で、日本の知財を海外で守ってきちっとお金が回収できるかという議論もあって、結局、戦略が立てど現実的には実現しないと、こういうことがあるかと思っております。
そういった意味で、ソフトの観点を考えた場合に、単にこれからのODAはお金を出すだけではなくて、実はそういった知財に関すること、それから国内における、例えば政府が大きくそういった番組を、複雑な版権を買い取っていくというんですかね、そういったことを振興していくこと、政府が動けばそれぞれの版権が散っている民間会社も一つ方向性同じに向けるかと、こういうこともあると思っていますが、そういう観点から、少し質的な転換を国内の中でも図っていけるんではないかと、こういうふうに思っておりますが、大臣の所見をいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君)
まず、先ほど来、委員の方から韓国ですとかミャンマーの例を挙げていただきました。開発途上国の発展のためにODAを使っていくに当たりまして、改めて、このハードのみならずソフトの面、ハード、ソフト両面でバランス良く支援していくことの重要性を感じます。
そして、今御指摘になられましたように、ソフト面の展開におきましては、日本企業がこのビジネス展開を具体的にどう進めていくのか、そうしたところまできめ細かく工夫をする必要があるのかなと感じながら話を聞いておりました。是非、各我が国企業からの要望等もしっかり聴取しながら適切なニーズを発掘して、ソフトインフラ分野における支援、政府としても考えていきたいと思っております。
○山田太郎君
ありがとうございます。
是非やりたいというふうに思っていますので、よろしくお願いします。
さて、時間がなくなってきましたんで、ちょっと円借款の問題に関して少し話に移りたいと思います。特にODAの債権等の免除についてです。平成十五年以上、債務免除されたODA及び非ODAの債務の総額は、これは質問しようと思ったんですけれども事前に外務省さんから資料を作っていただいているんで、時間がないので私から実はしゃべっちゃいますと、約二兆円弱ですね、一兆九千五百八十五億円、平成十五年以降、平成二十四年まで実は債務免除しているということなんですね。これは八十八か国に対してやっています。かなり巨額なお金を免除しているということであります。この無償資金として使われている金額が約千六百億円ですから、実は有償資金で借りたお金のうち無償資金に協力すれば何と約十二年分のお金がいつの間にか贈与に変わってしまっていると、こういうことにも取れるわけですね。
こうした公的債権の免除につきましては、これは外務省の方にまた詳しくお伺いをしましたらば、JICAの会計の中等で貸倒引当金として充てるなどとして処理されていると。実にうまいというか、国会に引っかからないようにつくられているんだなということを初めて知ったんですけれども。確かに、これはもちろん引当金のやり方なので、直ちに国民負担を生じるものではないと思うんですが、元々の原資は財政投融資であったりとか一般会計からの出資金ですので、回り回って元々は国民の財産なんですね。
そういった意味で、途上国に対するODAの債権を、債権免除というのを、こう軽々、軽々しくと言うと怒られちゃうかもしれませんが、非常に頻発していくということはどういうことなのかなということも少し考えなければいけないと、こういうふうに実は思っています。
ただ、もう一点、であれば、ODA債権の免除に当たっては、これ具体的にどういう形で処理されているかといいますと、交換公文というのが相手国との間で交わされておりまして、実はこの交換公文そのものが国会の承認条約と扱われていないと、そのために巨額の債権免除とか放棄があったとしても、国会には全く何ら報告されないままに進められてきまして、私も調べてみたら、平成十五年以降、約二兆円弱の巨額のお金が実は債権免除されていたんだと、こういうことが分かってきたわけであります。
そういった意味で、この辺りを是非、外務大臣、これ結局は、もしですよ、日本がこれだけ債権免除をして、これをポジティブにとらえれば世界のために貢献してきたとも言えると思います。個別経過はいろいろあるにしても、ただ、これがこういう形で処理されていると、どうもODAはうさんくさいという話になってしまいますし、また、これは政治決断だと思いますが、国会にこのことを逐次報告していくような仕組みというんですかね、こういうことを是非仕組みとして考えていただけないかなと。これだけ二兆円のお金をこれまで使っているわけですから、これも世界に開かれた我が国としてはきちっと訴えていってもいいと、逆にポジティブにも思うところがあるわけですね。
そういった意味で、今後、この取扱いというんですかね、方向性、是非大臣の方にポジティブな御意見をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
○国務大臣(岸田文雄君)
ただいま委員御指摘になられましたように、この債権免除に際して締結する交換公文ですが、債権免除に関する我が国の法的義務を創設するものではないということで、国会承認条約ではないというふうに位置付けられております。
しかし、御指摘のように、こうした事柄に関してしっかり説明責任を果たすということ、これは重要な視点だと存じます。現状、政府としては、債権免除の実績について、この債務国政府との間で締結した交換公文の官報での告示、あるいは外務省ホームページ及びJICA年次報告における公表等により国民に説明をしております。
今後とも説明を行っていかなければいけないと思っておりますし、また、国会に対しましては、放棄される債権について決算報告書を国会に提出するなどの対応を今行っているところです。これに合わせて、債権免除が実施された場合には外務省ホームページ、JICA年次報告における情報提供を行う、こうした対応を取っておるところですが、こうした現状を振り返りながら、また、より説明責任を果たすすべがないものかどうか、いま一度検討してみたいと思っております。
○山田太郎君
ありがとうございます。これもう非常に前向きな答弁いただいたというふうに信じております。
これ、きちっと決算委員会の中でやるのか、実はこれODA委員会の中でも大きなポイントだとも思っておりますし、ここでやるのか。又は、今は多分JICAの中の決算になるんでしょうかね、そういう形になっていますから、もうちょっと分かりやすい形。多分幾ら官報で言われても分からないわけですし、決算の大量の資料の中にぽつんと項目が出ても分かりにくいです。これ、ポジティブに取れば日本の貢献なので、これを何か後ろめたいものからもっと表に出しながら、もちろん債権免除なんという事態にならないようにするということは大前提なんですけれども、少なくともこういうことを繰り返さないためにこのことを明らかにしていくという積極的な姿勢を外務省に求めていきたいと思います。
時間になりましたので、私の質疑これぐらいにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。