2015.4.9

日本のイニシアティブが発揮できる有益な支援・協力に向けた運用を提案、ODA特別委員会にて

4月6日、政府開発援助(ODA)等に関する特別委員会にて、平成27年度予算に関して、日本のODAのあり方に関して、質疑を行いました。
開発途上国の公共団体、教育・医療機関等が実施する小規模なプロジェクトに対し、現地大使館が資金協力を行う「草の根・人間の安全保障無償資金協力」事業は、案件額1,000万円以下という原則がある為、支援が限定的になってしまう現状です。昨年ODA派遣で私が視察した学校では、建設後の改善修繕作業が行えず、教科書が配布されない、校庭やトイレの改修ができない等、通常の学校生活に大きな不便を強いられていました。将来の人材を育てる場として大切な学校には、予算上限の緩和や柔軟な運用体制検討を提案しました。これに対して、岸田大臣より該当案件等について、早急に対処するべく省内に指示を出すという答弁を頂きました。
また、ODAを活用した中小企業海外進出への支援について、より日本企業の活躍の場を広げるべく、事業の拡大を提言しました。
そして、海外で活躍する人材を多く輩出してきた青年海外協力隊事業が今年50周年を迎えますが、近年減少傾向もみられます。参加増加に向けた取組み、帰国後のサポート体制等、より参加がしやすくなる体制作りの検討も提案しました。併せて、節目である本年に記念式典を開催する予定と岸田大臣よりの答弁もあり、本委員会でも協力しましょうと各委員にも提案しました。
開発協力国との関係は長期的なビジョンで考え、日本のイニシアティブが発揮できる有益な支援・協力につなげていきたいと考えます。

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議事録(未定稿)
■平成27年度予算 委嘱審査
○山田太郎君 日本を元気にする会・無所属会の山田太郎でございます。
 今日は、まず開発協力の約束という辺りについてお話ししたいんですが、約束というと、実は例の一月に安倍総理がISILの関係でアラブにおいて演説をしています。そのときに、周辺諸国に対して二億ドル程度の支援を約束すると、こういう話を発言されました。私、その予算はどこから出てくるのかなということを気にしておりましたらば、平成二十六年度の補正ということだったんですが、実はその平成二十六年度の補正の成立というのは二月三日なんですね。というふうにいいますと、このエジプトでの会議が一月十七日、補正の成立が二月三日ということは、まだ安倍総理が約束したときには予算の前提がなかったんじゃないかというふうに、気になったわけであります。
 それを外務省の方に問い合わせましたらば、一部の例外があるものの、国会の承認を得て等の文章を付したので対外的に表明しているという理解だと言うんですが、私は、実はちょっとそれは大盤振る舞いというか、ややもすると国会軽視に当たるのではないかなと。特に気になりますのは、一応確かにスピーチの中では国会の承認を前提にとは言っていないので、ちょっとそれは確かに大風呂敷になっちゃうのかなと思いますが、文章では国会の承認と書いてあるものの、一部にはないんじゃないかというふうな回答を得ているんですが、この一部というのは何が一部に当たるんでしょうか。

○政府参考人(石兼公博君) 今まさに委員から御指摘のございましたように、中東政策スピーチの中ではそういう言及はございません。
 他方で、例えばエジプトで出しました日エジプト共同声明、ここにおきましては、国会承認を得てという文言が入っておりますし、また日ヨルダンの首脳会談におきましても、国会の承認を得てからとなりますが、国際機関経由で新規支援を行いますと。それから、パレスチナを訪問された際にも、国会承認を経て新規支援を行うというふうに総理はおっしゃっております。
 このスピーチの中につきましては、確かに国会承認ということはございませんが、これは当然、国会の承認をいただくことが当然の前提という認識の下で、外交的観点から例外的に省略的な表現としたと、このように承知しております。

○山田太郎君 外務大臣にもそこをお伺いしたいんですが、やっぱり非常に微妙な問題でもあったと、結果論としてかもしれませんが。そういったことで、私は決して、だから駄目だと言いたいわけじゃなくて、中長期なら中長期という形で予算を考えて、その中で、もちろん予算が単年度ということもあるのかもしれませんが、ただ、これは補正でいわゆる処している予算でもあって、非常に微妙というか、タイミングが悪いというか、その辺り、どうだったのか、外務大臣の方からも御意見というか、お聞かせいただけませんでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 海外に向けてのコミットメントにつきましては、今、石兼局長からの答弁の中にもございましたように、基本的には国会の承認を得た上での約束をさせていただく、こういった姿勢で臨んでおります。
 ただ、国際儀礼上、スピーチのボリュームですとか、あるいはやり取りのタイミング等で、国会の承認を得たならばという部分が省略されるということ、これ、これまでも今までの国際的なやり取りの中で幾つか散見できると承知をしております。一部例外があるというのは、そういった点を指摘しているのだと思います。
 しかし、いずれにしましても、基本的にはこうした予算に関わる問題であります。国会の承認を得た上でしっかり話を進めなければならない、これは当然のことであります。まず、基本的には国会で御承認いただいた予算の範囲内で物事を考える、そして今後の国会での審議の状況等もしっかりと念頭に置きながらこうした国際的なコミットメントは考えていかなければならないと考えます。

○山田太郎君 次に、JICAの運営交付金事業についてちょっとお伺いしたいと思っております。
 私もこのODAの中で非常にいい予算だなと思っておりまして、特に、中小企業に対してODAをうまく活用してどんどん出ていってもらいたい、それが現地への支援にもつながるんだ、こういう趣旨で始まったということを理解しております。毎年六十億前後で推移しているんですが、ちょっと、ただ、その予算の付け方で気になっておりますのは、六十億で推移しているといっても、補正の二十億程度を前提としているというところがありまして、例えば去年は、平成二十六年度、どういう形で予算が組まれたかというと、本予算で四十五億、補正で二十二億円という形で積まれたわけであります。平成二十七年度、今年の予算の話をしているわけですから話をしますと、これ、四十四億円という形で積まれているんですが、多分補正を二十億ぐらい積むんではないかというものがどうしてもこれは想起されてしまいます。
 実は、補正というのはあくまでも補正ですし、期間が限られているというか、私はしっかり本予算で六十億前後積むのが本則というか、べきじゃないかと思うんですが、もう補正を前提としているのかどうか、ちょっとうがった見方になってしまうんですけど、その辺、いかがなんでしょうか。

○政府参考人(石兼公博君) 私ども、当然当初予算でしっかりといただいて、それを実際に挙がってきた案件を判断しながら良いものを拾って実施していくということでございます。補正をあらかじめ期待してということはございません。補正のときに、こういう中小企業支援は重要だから、この時勢柄、是非中小企業支援ということでODA予算を付けていただきたいという予算案をお出しして、お認めいただいた上でそれを実行していくわけで、あらかじめ何か具体的な案件を予想して、あるいは補正予算を想定して計画を立てているということではございません。

○山田太郎君 ただ、これもう四年目に入って、毎回補正が付いているので、もういいかげん、毎年六十億ぐらいこれをやっていくんであれば、今年は例えば六十五億とか六十七億とか、本則の予算で積まれた方が分かりやすいと思うんですが、その辺り、もう一度、いかがですか。

○国務大臣(岸田文雄君) 今局長から答弁させていただきましたように、あくまでも本予算においてしっかり予算を取るというのが本筋だと承知をしております。この限られた財政状況の中で、是非財政当局の、そして国会の御理解を得ながら最大限努力は続けていきたいと存じます。
 その上で、その時々の状況に応じて緊急的に必要であると認識をしたならば補正予算もお願いする、この組合せの中でできるだけ予算の充実を図っていきたいと考えております。

山田太郎君 多分趣旨は分かっていただいたと思うので、来年度ぐらいからは検討していただければとも思っております。これ以上追及しません。
 じゃ、最後に、実は海外に対する補助金等もいろいろあって、日本、積極的だということであるんですが、JICAの予算とジェトロの予算と中小企業基盤整備機構の予算がちょっと複雑に入り交じっておりまして、中小企業の方からは使いにくいとかどこに相談すればいいかよく分からぬというようなことを聞かれたりもします。
 特にJICAは残念ながら中小企業とのまだ結び付きが少ないというところもあるんですが、この辺りの整理として、今日、政務官の方、経済産業省からも来ておりますから、是非、どんな整理を今後されていくのか、経済産業政務官、そして外務大臣の方にも、引き続きこの辺り教えていただけないでしょうか。

○大臣政務官(関芳弘君) 山田委員の御意見、誠に重要な点だと思います。
 中小企業の海外展開を推進していきます際に、相手国のニーズなんかもしっかりと踏まえながらやっていっているわけなんですが、外務省、JICAさんの方とはしっかりと提携して、中小企業は今後支援をしっかりと、今までもやっておりますが、更にもっとやっていかなければならないというふうなそのお考え、私どもも確かに同じ考え方です。
 現状ではどういうふうな形でやっているかといいますと、経済産業省の方の地方経済産業局ごとに開催しております地域中小企業海外展開支援会議というのがございます。そこに外務省やJICAにも参加をしていただいておりまして、地域ごとに中小企業の海外展開を効果的に支援すると、これは定期的に情報交換をやっております。
 また、加えまして、今度は現地の方におきましては、中小企業の新興国等への進出における現地サポート体制というのを強化を図りますために、現地の官民支援機関によりまして構築をしております中小企業海外展開現地支援プラットフォームというのをつくっております。ここは、大使館、それから外務省、それからJICA、それから日本における商工会議所、法律とかそういうようなコンサルティング会社とか商社とか、こういうところが全部入っているような、そのような団体でございますが、ここの機関への取次ぎとかインフラ事業参入の情報提供等を行っているところでございまして、また途上国におきましては、加えまして、経済協力に当たりましては、インフラシステム輸出や産業の人材育成等、JICAの方とは、組織の方とはしっかりと連携を今後とも図って、深めてまいりたいと思います。

○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のJICAと関係機関との連携ですが、一つは、今経産省からも答弁がありました経済中小企業海外展開支援会議、こうした会議を通じて情報提供や紹介を行っているわけですが、JICA自身、中小企業等からの要望に応じて、ODAを活用した中小企業等の海外展開支援に関する個別相談を実施しておりますが、企業の相談内容に応じてジェトロあるいは中小企業基盤整備機構等の他の支援機関、これを日常的に紹介をしておりますし、外務省、JICA、中小企業、ジェトロ、これはそれぞれが立ち上げている中小企業等の海外展開支援のためのホームページ、これは相互リンクを張る、こういった工夫もしております。
 引き続き関係機関との連携深めていきたいと考えております。

○山田太郎君 時間になりました。終わります。
 ありがとうございました。

■開発協力大綱の下での我が国ODAの在り方に関して
○山田太郎君 日本を元気にする会・無所属会の山田太郎でございます。
 改めて、政府開発協力大綱ということで、幾つかポイントを絞ってお伺いしていきたいんですが、まず、なかなかODAのこの委員会でも議論されないので心配になっちゃいましたし、この新しい大綱の中にも出てこないんですけれども、実は海外青年協力隊事業、今年五十周年なんですよね。やっぱり、こういう方々がいるからこそ、お金でもない部分で、人と技術というんですかね、すごく日本は評価されている。
 どれぐらいこういう方々が今国外に出ていらっしゃるかというと、二千名ぐらいだということなんですが、残念ながら、二〇〇九年をピークにその数が随分減ってきています。二〇〇九年、千七百八人、二〇一〇年、千四百五十九名、千四十六、九百四十八ということで、震災の影響もあって予算が減らされたということを外務省の方からは報告を受けたんですけれども、少し今は増えてはきたということではありますが、減ってきているんですね。
 私は、今回の大綱というか戦略の中で、まさに人の部分ですね、この辺の向上と、特に今、日本人の留学の減少というのが進んでいるので、先進国に行くんじゃなくて、こういった協力隊で途上国で学ぶ時代と、こういう打ち出し方をしてもいいと思うんですが、外務省として今年、この辺り、いろんなキャンペーンとか張る企画はあるのかどうか、ちょっと、いろいろこの辺の働きかけをこれからされていくのかどうか、その辺りを大臣の方にお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 本年五十周年を迎える青年海外協力隊事業ですが、開発途上国との友好親善、相互理解を事業目的の一つとしており、開発途上国における草の根レベルでの海外協力活動、交流を通じて途上国との関係強化、あるいは友好親善に貢献してきていると認識をしています。
 これまで累計約四万人がアフリカやアジア地域を中心とする八十八の途上国に派遣され、国内外から高い評価を得ております。そして、平成二十四年度には、途上国の国づくりへの貢献と我が国企業の人材育成の双方に資する取組として民間連携ボランティア制度を創設し、多様な人材による途上国との人的交流に向け、事業の裾野の拡大に努めてきております。
 今後とも、途上国との関係強化のため、草の根レベルの、顔の見える援助である本事業を推進していきたいと考えております。
 また、協力隊五十周年を記念した式典を是非開催したいと考えております。

○山田太郎君 後ろから紙がぱっとやってきて、式典はやるという確認がされたものですから、是非、我々ODAのこの委員会の議員の先生方も一緒に出ていただければなと。JICAの人たちが帰ってきたとき、やっぱり議員の数が少なかったり、これ大臣も是非、副大臣は出ていただいているんですが、という状況なので、まずここを是非、我々のフロントで本当に頑張っている、特に女性が多いんですよね、その辺り、我々も見ていきたいなと思っています。
 二番目なんですけれども、去年、タジキスタン、キルギスの方に私もこの委員会の派遣で行かせていただきまして、草の根援助ということで、日本の安全保障に関するところということなんですけれども、前回のちょっとこの委員会のところでもやらせていただいたんですが、タジキスタンのボフタール県の学校の改修が、いわゆる供与限度額が一千万ということで、それ以上できないと。現実的にその援助が中途半端になっておりまして、校庭は直っていないわ、教科書は与えられないわということで、ここでやめだと。追加が今後できるのかといったら、それも原則できませんということで、私は、もうちょっと足せば校庭も良くなる。しかも、問題だと思ったのはトイレなんですね。トイレは全く手付かずだったんですが、そして、やっぱり学校ですから教科書と。結局、こういうところを日本が引き揚げますと、別に誰が援助してもそれはいいんですけれども、実は韓国等が入ってきて、評価されるのは誰なのかと、こんなような話にもなるわけであります。
 外務省の方としては、原則だからいろんな例外措置はあるよと言っているんですが、よくよくこの話を聞いたら、学校等に関してはこの原則を守るということだったので、これはもう大臣の方で、いや、そうじゃないと、一個ずつの案件を大事にして、広く安くというか、上限を持ってばらまくのではなくて、私はしっかり造り上げて、次の学校は現地の人たちにその造ったところを見せて展開していくような、それの方が戦略的に本当の意味での貢献につながると思いますので、その辺りの、特に上限の問題であったりとか現地の運用をもうちょっと自由にしていく、この辺り是非、もう大臣の一言で変わっていくと思いますので、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の草の根・人間の安全保障無償資金協力ですが、途上国の草の根レベルに直接裨益する比較的小規模な事業を支援するものであることからして、供与限度額は原則として一千万円以下としています。
 しかしながら、これまでも、人間の安全保障の考え方を強く反映する場合、技術指導等ソフト面の協力を組み合わせることにより案件の継続性を協力する場合など、特別な理由がある場合には一千万を超えて支援を行っていると承知をしております。是非今後とも、現地のニーズを踏まえ、可能な限り柔軟な対応に努めていきたいと考えます。

○山田太郎君 学校は特に今後の人材をつくる意味で非常に重要なんです。そういう意味で、学校だけは原則から外れるということをここでちょっと考えていただけないでしょうか。もう一度お願いします。

○国務大臣(岸田文雄君) 学校だけはと一言で言ってしまいますといろんな現実があるかと思いますが、御指摘のような案件に関しましては最大限配慮するべきだと私も思いますし、是非事務方に指示を出したいと存じます。

○山田太郎君 ありがとうございます。
 特に、私はもう学校だけでも、ここを少し面倒見ていただければ随分変わってくると思います。この子たちが大人になって、ああ日本というのはこういう国だったんだと、こういうふうに一緒に、まさにパートナーとしてやっていけると思っております。
 最後の質問になるかと思いますが、もう一つ、他国のODAの戦略と日本の戦略を比べた場合、どうなのかなということで、少しその辺の比較も見ていきたいと思うんですが。
 実は、大臣の方は御案内かと思いますが、他国は選択と集中ということを相当やっています。イギリスは、実は二十七か国の重点国に集中援助を行っていますし、韓国も二十六か国に全体予算の七〇%を配分していると。カナダは八〇%を二十か国、フランスもアフリカを中心に六〇%に配付していると。ドイツはもう五十か国はパートナー国として選定しているということでありまして、日本はどうかというと、良くも悪くも百六十か国に対して幅広く分散と、こういうことなわけであります。
 我々のやっぱりこの開発援助における意図といんですかね、これは必ずしも一つ一つの国々に少しずつ例えばお金を渡すということでは決してないのかなというふうにも思っておりまして、我々のもうちょっと戦略的な持ち味というか、これはアジアなのかもしれないですし、本来はもしかしたら、元々植民地、権益のなかった中東、でも石油を買っているというところでありますから、そういった外交にも使えたのかもしれませんし、何かもうちょっと戦略的なものを国の顔としてODAは持てないのかなと、こんなふうに思っているんですけど、その辺りいかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) ODAを戦略的、効果的に活用すべきだという御指摘はそのとおりだと思います。そして、今日までのODAの歩みを振り返りますと、この地域別配分を見ましても、やはりアジアが六三・九%、北東・北アフリカが一一・五%、そしてサブサハラ・アフリカ、これが一四・八%、これで大部分を占めております。こういった地域の配分を見ましても、それなりに戦略的な、そして効果的なODAの活用を考えた結果なのではないかとは考えますが、今後も、この大きな国際状況の変化に応じて戦略的、効果的な活用にしっかり努めていきたいと考えます。

○山田太郎君 時間が来ていますけど、私もちょっとしつこい人間なんで、先ほどの草の根、子供こそ次の世代を担っていきますし、子供の命と考えを守っていくということは私は本当にODAの大きな意味だと思っていますから、学校だけでも、その辺り、是非大臣の方には面倒を見ていただければなと思っておりますので、そういった指示を是非出して、検討していただければと思います。
 ありがとうございました。