2013.11.19

再生可能エネルギー法案・農業委員会の在り方に関して質疑を行いました。

11月14日(木)、参議院農林水産委員会にて質疑を行いました。

議事録(未定稿)
○山田太郎君 みんなの党、山田太郎でございます。よろしくお願いします。
今日は、かなり再生可能エネルギー、ハイレベルな議論がされているなと。私も、実はこの再生可能エネルギー、私が好きなのはバイオマスなんですけれども、木質バイオマスでございます。実は、私もバイオマスの設備を誘致して実際機械を動かすところまで過去やったことがございまして、大変興味の範疇が高い。それから、平木議員の方からもかなり細かい問題意識も引き継ぎながら、ちょっといろいろな質問が重なってまいりましたので、整理しながら是非質疑をやらせていただきたいと思います。
本日は、そういった意味で、この再生可能エネルギーの質疑ということと、もう一つは、後で農業委員会の話も少し土地の利用という形で触れさせていただければと思っております。
まず、今回の法案でございますけれども、まさに農地法のいわゆる岩盤規制、これに風穴を空ける思い切った試みということで、今まで全く動かなかったこの辺りの法律に対してやっとメスが入ったのかなと、我が党の立場としてはそんな形で見ているわけであります。そういう意味で非常に歓迎するべきところは多いんですが、やっぱり中身を見てみますと、幾つか問題もあるだろうという立場で質疑をさせていただきたいと思っております。
まず、この再生可能エネルギー発電の特に事業者側に対してですね。これは先ほど平木委員の方からも少しあったんですけれども、やはり収支のバランスを見て参入してきますので、余り過度に農林漁村の関係者が干渉したり負担を求めたりということになっては逆に実効性がないというか、事業が始まらないだろうと、こういうところもありまして、その辺も本件きちっと払拭していきたい、こういうふうに思うわけであります。
そういった意味で、この法案、とにかく推進をして一つでも効果を出さなければ、単に農地法等その他の法律がワンストップでできて、解決できてよかったねということになっちゃいますので、まずこの法案の背景にあるところとして、この再生可能エネルギーの発電がどれぐらい推進されると見込んでいるのか、幾つかこれ他の委員の方の質問でもあって重なるところもあると思うんですが、私の方はできるだけスケジュール感というんですか、何年でどれぐらいのものを目指しているのか、やっぱりそれを最初に考えて、実現できて初めてこの立法措置の成功というか具体性が見えると思いますので、その辺りから質問させていただけたらと思います。

○国務大臣(林芳正君) 委員がおっしゃっていただいたように、農山漁村には土地、水、バイオマス、委員はバイオマス派だと、こういうことでございましたが、こういう資源が豊富に存在しておりまして、再生可能エネルギーの発電のポテンシャルというのは非常に大きいと考えております。具体的にどの程度のポテンシャルがあるかということは様々な試算があり得ると、こういうふうに思いますが、一つの試算として農業上の再生利用困難な荒廃農地、これを対象にするわけですが、これ全てが活用の対象となり得るということは、なかなかそうならないかもしれませんけれども、仮に農業上の再生利用が困難な荒廃農地十三万ヘクタール全てに太陽光発電設備を設置した場合ということですが、これは二十三年度の我が国の総発電量の九%に当たる八百二十億キロワットアワーの発電量が見込まれると、これは試算でございます。
それから、人気の高いバイオマスでございますが、バイオマスについては、仮に未利用間伐材の年間発生量二千万立米を全て木質バイオマス発電に活用した場合、これは年間で七十億キロワットアワーの発電量が見込まれるということでございます。
また、農業用の水利施設を活用した中小水力発電についても、流量等から年間八億九千万キロワットアワーの発電ポテンシャルが見込まれると、こういう試算が出ております。
この法案見ていただければ分かるように、どれをどれぐらいということがこの法案によって規定されるということでなくて、それぞれの地域の資源の状況等々を踏まえた発電事業者の判断等にもよってくるということでございますので、今のポテンシャルがどこでどれぐらい実際になっていくのかということを見込むのは大変難しいところでございますけれども、この法案によりまして、委員からも冒頭ありましたように、発電のポテンシャルというのをできるだけ引き出してまいりたいと思っております。

○山田太郎君 今、大臣の方からももう一つ大切な問題点、指摘されたと思うんですが、まさに、じゃ、この法律を使って現場の再生可能エネルギー、どういうモデルでやっていくのか、これは非常に大切だと思っております。
この法案の中にも、農林漁村の健全な発展というふうに書いてありますが、そうしたら、では健全な発展というモデルをやっぱり地元だけではなくて国の方も研究してきちっと引き渡していくというか、そういう作業も必要だろうと。そうでないと、地域、地元にその発電や再エネに関してそれだけの知識、見識が全てあるとは思えないわけですね。例えば、再生可能エネルギーを使って地産地消型でやりましょうと、そういう意味では私自身はバイオマスというのは非常に面白いなと思いますが、風力だとか太陽光発電、こうなってきますと多分他地域への売電ということになるかもしれませんし、そこでできた電気を逆に使って地元に他の産業を誘致していくと、こういう組合せになるかもしれません。
ただ、いずれにしても、やってみなきゃ分からぬということだけで進めれば、当然効果としてどれぐらい見込めるのかということになってしまうのかなというふうに思っております。
そのモデルを、ここで農水省を始めとして他の省庁、多分経産省さんなんかも含めて、国土交通省さんも含めて議論することによって、もう一つ日本の過疎の問題もひとつ取り上げられることができるんではないかと、こんなふうにも思っているわけでございまして、特に、健全な発展のイメージ、これをやることによってどんなモデル、イメージを実は今回持っていらっしゃるのか、それによって雇用とか所得がどれぐらい結び付いていくのか、このことはもう一度、何人かのちょっと議員も聞いておりましたけれども、確認させていただければと思っております。

○大臣政務官(横山信一君) 健全な発展についてのイメージという御質問でございますので、お答えをいたします。
農山漁村におきまして、農林地等の農林漁業上の利用と再生可能エネルギー発電のための利用調整が適正に行われるとともに、再生可能エネルギー発電の利益が農林漁業のために活用されることにより、地域の農林漁業の生産活動が持続的に行われ、食料供給や国土保全等の重要な機能が十分に発揮されていくことを表現したということでございます。
仮に、農林地等の適正な調整が行われないといった場合にはどうなるかということでありますが、農林地等の効率的かつ総合的な利用が図られず、担い手への農地集約等に支障を来すおそれがあるとともに、再生可能エネルギー発電の利益が地域へ還元されない場合には、再生可能エネルギー発電に対する地域の理解が得られず、その導入が進まないということが予想されるということでございます。

○山田太郎君 もうちょっと本来具体的な答弁をいただきたかったんですけれども、これはまたゆっくりやっていきたいと思います。
さて、もう一つ、ちょっとこれは我が党内でもいろいろ、脱原発を提唱している党なので再生可能エネルギーは極めて重要な議論ということで、かなり多くの議員から質問があったんで確認しておきたい点が一個あります。
この法律案の枠組みなんですけれども、これを利用しない事業者には何らの制約はないんだと。協議会なるものを市町村につくるということでありますけれども、今回の農地の未利用地の分に関してこの協議会が精査するということなんであって、今ある市町村の協議会、これつくろうとする者がその他の地域における再生可能エネルギーについて何らかの制約を課すものではないんだということを確認しておきたいんですけど、いかがでしょうか。

○国務大臣(林芳正君) おっしゃるとおりでございまして、これはあくまでこの法案の措置というのは、取組を促進するために手続のワンストップ化、権利移転の一括処理というものができると。したがって、この仕組みに行かない人、この法案による措置を活用をすることなく再生可能エネルギー発電を行おうとする方については、従来どおり個別の農地法等の許可等の手続を取れば再生可能エネルギーの発電の事業を行うことができるということで、まさにこのスキームによらずに再生可能エネルギー発電を行う事業者の方にとって、何かこの新しくできるものが足かせになったりすることはないと、こういうことでございます。

○山田太郎君 もう一つ、今度は、ではこの枠組みにおける再生可能エネルギーの展開ということなんですけれども、法案の四条ですね。これ大臣が作成する基本方針というふうにありますし、法案の五条、市町村が作成する基本計画というふうになっているんですが、この中において、やはり発電事業者の方に対して過度な負担、干渉ということをどういうふうにしていくのか。
つまり、この委員会、農林水産委員会なんで、農林水産の現場の人たちに対して、あるいは農村の荒廃につながらないように、これも分かるんですけれども、実際、事業者に対してもバランスを持ってサポートしていかなければ、現実的な線にはならないと。ややもすると、例えば俺たちの言うことを聞けない事業者は出ていけと、こういうふうになってしまったら元も子もないということでありまして、そういった意味においてもちょっとチェックという形で、是非よく話し合って進めるようにというような条文、事業者と密接な連携というのを、法案二条の基本理念にもありますので、例えば先ほど申し上げた四条の基本方針、又は五条の三項にある基本計画で例えば盛り込むような話はできないものなのか、ちょっとその辺りについても確認しておきたいと思います。よろしくお願いします。

○大臣政務官(横山信一君) 過度の干渉、負担というようなお話でございましたけれども、再生可能エネルギー発電事業者に対しまして、農林漁業の健全な発展に資する取組として過度な干渉や負担を与えることは本末転倒であり、不適当だと、適当ではないというふうに考えているところでございます。
このため、取組の内容につきましては、地域の農林漁業の実情を踏まえ、真にその発展に必要で、かつ実現可能なものとなるよう市町村、関係農林漁業者団体、発電事業者等が十分協議を行い、その結果を踏まえて市町村が基本計画に定めるということになっているところでございます。
国としては、全国の先進事例等を基にして、どのような取組が地域において適切な取組であるとして受け止められているかについて留意しつつ、基本方針等においてモデルケースを具体的に示してまいりたいというふうに考えております。

○山田太郎君 ありがとうございました。安心しました。
もう一つ、六条の市町村基本計画の策定に関する部分で、協議会というものが設定されています。これも我々の立場からすると、一部の既得権益の人たちの協議会になってはいけないというふうに思っておるんですけれども、例えばこの再生可能エネルギー発電の設備、整備を行おうとする者は協議会には誰でも基本的には入れるのかどうか、この辺りも確認したいと思います。よろしくお願いします。

○国務大臣(林芳正君) この六条に規定しております協議会の設置ということでございますが、この協議会の構成員となって再生可能エネルギー発電設備の整備を行おうとする者としては、本法案の趣旨に即しまして、地域の農林漁業の健全な発展に必要な農林地等の確保に配慮するとともに、地域の農林漁業の健全な発展に資する取組を行う意欲を持っている者と、これを想定しておるところでございます。
このような者を協議会の構成員とすることで、当該協議会を設置する市町村の作成する基本計画がより充実したものとなるように、基本計画に即した再生可能エネルギーの発電設備の整備や農林漁業の健全な発展に資する取組が行われることが期待されるということでございますので、国の基本方針等において、これらの意欲のある再生可能エネルギー発電設備の整備を行おうとする者が、市町村が協議会に積極的に加えるべきことを示すとともに、それを現場に徹底を図っていきたいと、こういうふうに思っております。

○山田太郎君 是非、現場への徹底に関してそれは分かるんですけれども、やっぱりいろんな血をこの協議会に入れていくということも大事だと思っております。余り現場の血が濃過ぎてしまうとアイデアも出ないでしょうから、うまい構成員をこの協議会で構成できるように、少し知恵を絞っていただければなというふうに思っております。
さて、もう一つ、第七条の、これも核心的部分だと思いますけれども、設備整備計画の認定に関してなんですけれども、この認定にはどれぐらいの時間が要するのかという辺りについても少しお話ししていただければと思っております。
今回ワンストップでということではあるんですけど、これに三年も五年も掛かるということでは何のための立法措置かということになります。多分この今回の立法措置はスピードを高めると、加速化するということがもう一つ大きな目的、ポイントだと思いますので、そのいわゆるスケジュール感というんですか、それを是非教えていただければと思います。

○大臣政務官(横山信一君) 私の方からお答えいたします。
本来再生可能エネルギー発電事業者が自ら行うべき農地法等の許可申請手続をワンストップ化して市町村が代わりに行い、様々な事務に要する期間を短縮することというのがこの法案の発電事業者に対するメリットということになっております。一方で、市町村が設備整備計画の認定の可否を判断する際に農地法や森林法等の許可等の手続に要する期間よりも長く掛かることになってはこのメリットが損なわれるということであります。
そこで、国といたしましては、基本方針等において、農地法の許可等の手続に際して通常要する期間よりも短い期間で設備整備計画の認定事務を行う必要があるということを示す、そしてまたこのことが現場に徹底されるよう、市町村に対し必要な情報提供や助言等を行ってまいりたいと考えております。

○山田太郎君 それだと一日短いだけで成功だったということになりますので、できたらガイドラインというんですか、もちろんいろんな法律がそれぞれ個々であるというのはあると思いますが、是非ガイドラインを示していただいて、これぐらいでみんなやろうよということを是非作っていただいて、この立法が確実に効果を現すように是非お願いしたいなというふうに切に思っております。
まさにこの法案、再生可能エネルギーだけが農林水産業の地元に貢献するわけじゃありません。ただ、今回、岩盤規制になっている農地法を始めとした様々な法律が少しいじられることによって多少流動化する。もちろん、この委員会の中ではそれを懸念する声もあるので、これはチェックをしていくという議論は十分に必要だと思いますが。やっぱり、これからの農林漁村の雇用とか地域の活性化、過疎の問題、総合的に考えた場合に、これが第一歩になるように、再生可能エネルギーだけではない分野に関しても是非展開をしていただきたい、こういうふうに思っております。
今後、こういったことをどのように農林水産省さんとしても考えていらっしゃるのか、これは第一歩だと思うんですけれども、もし方向性等あれば是非お聞かせください。

○国務大臣(林芳正君) 先ほどのほかの委員とのやり取りの中でも申し上げましたように、これに先立って一本足のものや屋根型のもの、三月末にやらせていただきましたし、それから被災地の特例等も作ってきたところでございまして、さらに、二十四年の七月に開始されたFIT、固定価格買取り制度がこの事業性の改善ということで大きな役割があると、こういうことでございまして、そういう前提でこれを本法案を提出させていただいたと。一方で、今委員もおっしゃったように、この無計画な整備ということで農林地等が失われないようにすると、これにも十分な配慮をしたと、こういうことでございます。
再生可能エネルギーを利用する事業所を含めて、再生可能エネルギー発電以外の事業について本法案と同様の措置を講ずる必要があるか否か、これはそれぞれの事業が農山漁村の活性化に果たす役割、地域の農林漁業に与える影響と、こういうものを見極めながら慎重に検討していきたいと、こういうふうに思っております。

○山田太郎君 ありがとうございます。
次に、農業委員会の話に少し移っていきたいと思います。
農地の権利移動という観点でも、農業委員会、大変大きな役割を果たしていると。皆様御案内のとおり、農地の売買ですとかあるいは農地転用といったものに関して大きな権限等を有しているこの農業委員会でございます。ただ、農業委員会の中身を見ていきますと、実効性というのか、その辺りについても問題を少し抱えているのかなというふうにも思っておりまして、うまくこの農地がきちっと農業をやりたい人たちに移っていくように、渡っていくように、この辺の議論も少ししておく必要があるのかなと思っております。
まず、この農業委員会は選挙でもって委員を選出するという形を取っております。この辺りからお聞きしたいんですけれども、選挙で選出する趣旨ですね、意味も教えていただけますでしょうか。

○国務大臣(林芳正君) 農業委員会は、農業委員会法に基づく市町村の独立行政委員会ということでございまして、原則として市町村ごとに一つ設置をいたしまして、農地法に基づく許可事務、農地のあっせん、農業及び農民に関する行政庁への建議等の事務を行っております。
平成二十一年に農地法を改正しましたので、従来からの農地法に基づく許可事務といった受け身の業務に加えて、地域の農地利用状況の調査、それから遊休農地の所有者に対する指導、勧告等といった能動的な業務も行っておりまして、さらに昨年度からは、地域の農業者の徹底的な話合いによる例の人・農地プランの作成にも積極的に関与するなど、これまで以上に重要な役割を担っております。
農業委員会は、農地の権利移動の許可や農地のあっせんという、客観性、公平性、これを旨として行う行政機関としての業務と、それから先ほどちょっと申し上げましたように、農業及び農民に関する行政庁への建議といった言わば農民の代表としての業務、その二つの面を持った業務を行う組織と、こういうことでございますので、構成員については地域の農業者による選挙で選出された委員を中心として構成されている、こういう仕組みになっているところでございます。

○山田太郎君 大臣からも極めて重要だということで教えていただきましたが。
さて、資料の方、皆さんのお手元に今回配らせていただいています。じゃ、その選挙の中身ということなんですけれども、実は農業委員会、全国で千七百十三あるそうでございまして、そのうち無投票が一千五百五十六、投票が百五十七と、ほぼ九割が無投票で決まってしまっている状態であります。これ自身、いい悪いという議論もあるんですけれども、やっぱり活性化というんですかね、それだけ大切な委員を公正中立という形で選挙で選ぶのであれば、このこと自身に問題はないのかどうか、何かせにゃいかぬのかと、こんな問題意識を私自身は持っておるんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(林芳正君) ちょっと番号があれしましたが。
直近の選挙で、九一%の農業委員会で選挙委員が無投票で選出されていると、こういうことでございました。まさに数字はそのとおりでございまして、なぜそうなっているかということについては地域によって様々であると考えられますが、選挙で選出する方式を取っていると先ほど申し上げましたけれども、その趣旨からすれば望ましいことではないと、こういうふうに思っております。
ただ、無投票当選であるから公平性、中立性に問題が生ずるということでは直ちにはないと思いますし、また運営の公平性、中立性を担保するという意味では、選挙ということに加えて、総会等の審議過程を詳細に記録した議事録と、それから許可のポイントや申請に必要な書類・記載マニュアル等、それから農業委員会の活動の目標とその達成状況と、こういうものを作成して公開するように指導をしてきておりまして、実際にほぼ全ての農業委員会においてこれらのものが公開をされてきているということでございます。

○山田太郎君 もう一つ、この農業委員会の選挙の有権者側のちょっと問題も触れたいと思うんですが、これは農水省さんの方に資料をいただきましたら、六百九万人ということになっております。ただ、農水省さんのもう一つの統計だと、農業就業人口は平成二十五年度で二百四十万人ということでございますから、三百七十万人、農業に従事していない方がいわゆる意見を農政に反映させるというふうになっているのかなというふうに思います。この辺の辺り、就業者とそれから有権者の数のずれという辺りについてもいかがでしょうか。

○副大臣(吉川貴盛君) 私からお答えをさせていただきたいと思いますが、今委員から御指摘がありました件ですけれども、農業委員会の区域内に住所を有する満二十歳以上の方で、都道府県にあっては十アール、北海道にあっては三十アール以上の農地につき耕作の業務を営む者でありまして、さらに今申し上げました方との同居の親族又は配偶者、そして今申し上げました面積以上の耕作の業務を営む農業生産法人の構成員でありまして、平成二十三年一月一日現在で農業委員会委員選挙人名簿に登載されている有権者は、御指摘をいただきました六百九万人でございます。
一方、農業就業人口は、農業構造動態調査によりますれば、平成二十五年二月一日現在で約二百四十万人でございます。御指摘のとおりであります。この農業就業人口は、販売農家については農業従事者のうち過去一年間に自営の農業のみに従事した者又は自営農業が主の者を集計したものであります。
このように、選挙人名簿登載者には、世帯主義を取ることから、耕作の業務を営む者の親族等を含んでいる一方、農業就業人口には農作物を販売していない自給的農家等を含まないために差が生じているものでございます。
また、選挙人名簿に関しましては、毎年一月一日現在の状況を農業者からの申請に基づきまして農業委員会において資格を確認をして、さらに市町村の選挙管理委員会においても確認をした上で編さんすることとされているところでございます。

○山田太郎君 こういった選挙制度とか仕組みも相まって、農業委員会はややもすると地権者の集まりだというふうになっているかと思います。
農業、今、先ほど大臣等も答弁として、担い手をこれから増やしていくんだと。仮に土地を持っていなかったとしても、農業をやりたい人たちが従事できるということを一つ考えるんであれば、必ずしも土地と農業ということだけを固定化するんではなくて、もうちょっとこの辺りについてもメスを入れながら、本当に農業をしたい人たちに農地が渡る、その人たちが農地を使えるようにするという改革もどこかでそろそろ必要なんではないか。もちろん、農業委員会の果たしている役割も理解しております。ただ、やっぱりこれからの農業を考えたときには、この辺りの土地の権利移動といった辺りについても大胆な改革をしていく必要があるのではないかというふうに思っております。
そういう観点でもってこの農業委員会、それから農地法、それぞれ今後どういう形で農業をやりたい人たちにその農地を提供していくのか、この辺も今後の政策として、是非、農林水産省の方、大臣含めて御答弁いただければと思っております。

○国務大臣(林芳正君) 農業委員会につきましては、農地法に基づく許可事務、農地のあっせん、遊休農地措置等々行っていると先ほど申し上げたとおりでございますが、農業者等にアンケートをいたしますと、農業委員会の活動状況について、よく活動していると回答した農業者は全体の約三割に実はとどまっておりまして、じゃ、なぜ不満なのかという理由については、農地集積など農家への働きかけが形式的と、こういう意見が多いわけでございます。
したがって、農業委員会については、担い手への農地の集積、集約化、新規参入の促進、耕作放棄地の解消等を強力に推進していける組織となることが重要と考えておるわけでございます。したがって、農業委員会制度の今後の在り方については、各方面の御意見を伺うとともに、農業委員会系統組織の自己改革の方向性も聞かせていただいてきちっと検討していきたいと、こういうふうに思っております。

○山田太郎君 時間がなくなりましたのでこれで締めたいと思いますが、私もこの委員会に参加させていただくことによって相当いろんな地域で農業の勉強をさせていただきました。一つ分かってきましたのは、やっぱり農地というのはいかに大事なのかと。いい農地であればそんなに苦労せずに農作物ができるけれども、日本の多くの農地は、適していないところをどうやって土地改良してきたかの歴史だったと。ただ、その歴史たる土地をどうやって今度はやりたい担い手に渡していくのかという、この問題をやっぱり今こそ考えなければいけないと。
まさに、次の農地中間管理機構の法案もその一つの議論だと思います。これが今回、この農林水産委員会の中でも重要なテーマになると思っていますので、総合的に、そういった大きな視点から、農地について我が国はどう考えていけばいいのか、単なる地権者のものではないという、あくまでも国民のもの、それから農業をやりたい人たちのものなんだというふうに問題意識を述べさせていただいて、私の質問をこれで終わりにしたいと思います。
本当にどうもありがとうございました。