2026.5.28

こどもの命と権利を守るために ──「こどもまんなか実行計画2026」の前進点と新たな追加施策

こども家庭庁が毎年発行している「こどもまんなか実行計画2026(案)」が今年も公表されました。今回のブログでは、これまでの2024年版、2025年版の「こどもまんなか実行計画」を比較し、評価できる前進点と、党内審議や事前の議論で、新たに追加された重要項目について説明します。

1.2024年・2025年の実行計画と比較し評価できる点


・こどもの自殺対策が「大臣プロジェクト2026 ~第1弾 こども・若者自殺防止総力戦略~」として大幅に格上げされた点

こどもの自殺は過去最多が続き、深刻な状況です。

今回の実行計画では、自殺対策が単なる施策の一部ではなく、こどもの命と安全を守るためにあらゆるこども施策を総動員した国家的なプロジェクトとして位置づけられました。

・こどもの自殺対策として、「こどもの命と安全・安心を徹底的に守ること」が重要施策の柱として明記された点

毎年私が訴えてきた、虐待、いじめ、性暴力、不適切指導など、こどもの命と尊厳を脅かす問題に対し、「命と安全を守る」ことが計画の中心に据えられたことは大きな前進です。

これにより、個別施策ではなく、包括的な安全施策として国が責任を持つ姿勢が明確になりました。

・不適切な指導への対応が重点施策として格上げされた点

学校現場での体罰や過度な指導は、これまでのいじめや、体罰の枠で扱われてきましたが、不適切指導そのものが重点施策として明記されました。

・ACEs(逆境的小児期体験)への対応が初めて正面から扱われた点

虐待、貧困、家庭不和など、成育期の逆境体験が将来に与える影響は大きいにも関わらず、これまで政策として十分に扱われてきませんでした。

今回の実行計画で、ACEsへの対応が初めて計画に明記され、政策の柱として扱われたことは、2年間にわたり求め続けてきた内容が実現した大きな成果です。

・こども施策の検証・評価と、こども予算の「ぜんぶ見える化」が明記された点

こども政策の透明性は、国民の信頼を得るために不可欠です。

今回の実行計画では

・施策の検証・評価

・こども関連予算の「ぜんぶ見える化」

が明記され、政策の効果と予算の用途を国民が確認できる仕組みが整備されます。この件は、さらに前進がありますので、追ってお知らせします。

これら5つの評価点は、こどもの命・安全・権利を守るための政策がこれまで以上に前進したことを示しています。

また、今回の2026年実行計画では、2024年・2025年版にはなかった重要な部分が新たに追加・強化されています。

2.素案にはなかったが、新たに追加された重要な施策


1.性被害にあったこどもへの支援が独立項目として追加

・性被害児童への事情聴取の専門性向上

・聴取の場所・回数・方法への配慮

・記憶の汚染防止のための教育機関への周知

・医療・福祉との連携強化

性被害の予防の観点だけでなく、性被害にあったこどもへの支援は、こども・若者の安心安全を守るうえで不可欠です。

2.インターネット利用の安全に関する新規追加

  • こどもの意見表明権・知る権利を保障
    「こどもの意見表明権と知る権利を保障しつつ、その意思・意見が尊重される形で、令和8年中を目途に具体的な取組の内容を取りまとめる。」

こどもの意見表明や知る権利の保障を明記することは、今後のデジタル社会におけるこども・若者の希望や、安心した育ちの支援を行う上で、大きな意味を持ちます。

3.いじめ・不登校対策の強化

多様な学びの場や教育相談体制の整備を進めるため、校内教育支援センターの設置促進・教育支援センターの機能強化、学びの多様化学校の設置促進を図るとともに、相談対応の質を向上し、解決や予防につなげる。

相談を受け付けた後のフローや記録方法、現場へのフィードバックが教育委員会ごとに異なるため文科省も把握できていないことが現状です。相談対応の質の向上に加え、相談内容の分析を行うことは、いじめ、不登校、体罰や不適切指導の解決につなげるための重要な一歩です。

4.困難に直面する若者政策の推進

ヤングケアラーや心身への虐待経験を持つこどもだけでなく、保護者の思想などを背景に、自分の置かれた状況を自覚することが難しいこどもの存在も深刻な問題です。

そのようなこどもたちを支援から取りこぼさないよう、以下の文言が追加されました。

妊産婦、子育て家庭の困難や不安を早期に把握するとともに、ヤングケアラーや保護者の思想信条等を背景とする等、自覚しづらく支援を求めづらい状況にあるこども等も含め、必要な支援に着実につなげる「こども家庭センター」の設置促進・機能強化により、母子保健と児童福祉分野を一元的に対応し、様々な機関・地域資源との協働や関連事業の活用による包括的支援の中核機能を充実させ、虐待の未然防止を図る。

また、意図せずゲートキーパーとなっているこどもへの支援や、専門家とのつながりを促すことも追加されました。

身近な希死念慮や悩みを抱える人に気づき受け止めているこどもへの支援や専門家との連携を促す取組を進める

3.まとめ


今回の「こどもまんなか実行計画2026」は、 こどもの命と安全を守るための施策がようやく本格的に動き始めたと言える内容でした。

自殺対策の格上げ、ACEsの明記、不適切指導への対応強化、そして性被害児童支援やインターネット時代の新たな課題への対応など、これまで国会や党内で求め続けてきた論点が着実に反映されています。

一方で、支援につながりにくいこども、ヤングケアラー、虐待経験のあるこども、そして保護者の思想信条等を背景に支援を求めづらいこどもや、意図せずゲートキーパーとなってしまっているこどもなど、 「見えにくい層」への支援は、まだまだ強化が必要です。

これらの施策は、現場で実行されて初めて、こどもの命と権利が守られます。

これからも、現場の声を丁寧に拾い上げ、必要な改善を求めてまいります。

関連記事