2015.9.11

正社員は幸せでみんなが目指すべきだという価値観の国会議論【第60回山田太郎ボイス】

参議院本会議において、労働者派遣法の改正案が採決されました。私は、この案の一部に疑問を持っており、反対を致しました。その内容についてご説明したいと思います。

我々の働き方の考え方を決めるという意味で重要な法律だと思いますので、是非ご一読ください

※本法案では、世界で初めて会員によるインターネット投票の結果をもとに、国会議員が国会でその意思に従って投票をおこなう割合投票を実現しました。詳しくは別途お知らせしますが、新聞記事はこちら

働き方を自由に選択できる仕組みづくりが必要

私が、同一労働同一賃金法案(修正案)で疑問に思う点は、非正規雇用労働者が正規雇用労働者に転換できるよう促すのと同時に、派遣労働者、パート、アルバイトは正社員になるべきで、非正規雇用の働き方を否定するような方向で議論が進んでいる点です。

法案にも「派遣就業が臨時的・一時的なものであることを原則とする」と記載され、国会での議論もその雰囲気が強くなっていますが、私は必ずしもそうとはいえないと思います。派遣社員の中には望んで派遣社員をやっている人もいますし、人それぞれの生き方・働き方の選択はあるべきだと思います

また、現在、派遣社員が非正規雇用労働者のほとんどを占めていると誤解され議論が進んでいますが、実態は違います。下記の厚労省の調査結果をご覧ください。

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この調査結果からは、主に議論されている派遣労働者が非正規雇用労働者全体に占める実際の割合が、意外にも少ないということがわかります。非正規雇用の中で一番多く占めているのがパート、次にアルバイト、契約社員と続き、派遣社員はわずか6.1%にすぎず、本来は全ての非正規雇用労働者全体を考えて議論するべきではないでしょうか。

次に、不本意非正規の状況に関する調査結果をご覧ください。これは、非正規雇用労働者の中で、正規雇用になりたいと希望している人たちの割合です。

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一番多い層でも、25~34歳の28.4%であり、それ以外はおおよそ18%台です。
この厚労省の調査は抽出調査であり、実態を正確に表しているかどうか不明な部分もありますが、非正規という働き方を肯定している人が一定数以上いるということがわかります。

労働者の中には、さまざまな立場の人が存在します。子どものためを考えると転勤はしたくない、親の介護等のため時短で働きたい、残業ができない、趣味などで週数日だけ働きたいなどの事情を考えると、必ずしも全員が正社員になりたいわけではない、ということも踏まえて考えるべきです。

上記のことから、私は、正社員にこだわる必要はなく、働き方を自由に選択できる仕組みをつくることが大切ではないかと考えています。

同一労働同一賃金・均等待遇の確保

もう1点、正規-非正規間だけでなく、正規労働者の中でも格差があるという問題もあります。同一労働同一賃金法案(修正案)では、「業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度その他の事情に応じた均等な待遇及び均衡のとれた待遇」の実現を図ると謳われています。この「その他事情に応じた」の文言が論点になるところで、同一労働であったとしても賃金に差つけるのはやむを得ないのではないか、としています。

これに対し、雇用形態で賃金に差が生じること、また、同じ仕事をしている正社員でも、大企業と中小企業など会社により賃金が異なることはおかしいのではないかと考えます。

雇用形態、会社の大小に関係なく、同一の労働であれば同一の賃金を保証するような、賃金を均等にするための法案を提出しようと考えています。しかしながら、なかなか国会での理解が得られない状況です。

まとめ

現在、国会の中では、「派遣就業が臨時的・一時的なものであることを原則とする」という前提で議論が進んでいますが、実際正社員になったからといって、安心できるわけではありません。また、バートアルバイトに関しては、ほとんど議論されていないという実態があります。

同じ労働をすれば、同じ賃金が得られるということを基本とし、働き方やどのような企業で働くかは個人の自由に任せていくという考え方が必要だと思っています。安保法制の影に隠れがちですが、私たちの働き方に関する重要な法案です。今後も注視していきたいと思います。

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●山田太郎略歴(https://taroyamada.jp/?page_id=13)
慶應義塾大学経済学部、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程。
外資系コンサルティング会社などを経てネックステック社を創業、
同社を実質3年半で東証マザーズに上場。その後、参議院議員就任。
東大・東工大・早大などでも教鞭をとり、著書も多数。

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