2014.12.19

人口8000万人になったら日本は滅びる!?(20141219)

■減り続ける日本の人口
11月12日、地方創生特別委員会で質疑を行わせて頂きました。

その中で、人口減少についての質疑を致しました。
政府は年々減少していく人口に何としても歯止めをかけたいという方針です。しかし、増田レポート(増田寛也元岩手県知事の人口減少・地方都市の衰退に関してのレポート)などにもあるように、消滅の可能性がある都市があるほど、今の日本は人口減少が進んでいます。このままのペースでは、50年後に1億人を維持できないのが現実です。

■合計特殊出生率
人口を増やしていくためには、子どもの数を増やさなくてはなりません。
一組の夫婦が何人子どもを産めば人口を維持できるかというと、これは合計特殊出生率という数値で表すことが出来ます。この合計特殊出生率を、2.1弱程キープすることが出来れば、人口は減らないとされています。
では、現在の合計特殊出生率はどのくらいかというと、1.43です。この数値ではもちろん人口はどんどん減少していきます。

この合計特殊出生率が低下している問題は、何も今に始まったことではなく、1989年には「1.57ショック」という、少子化問題を浮き彫りにする出来事がありました。その後、政府は相次いで「育児休業法」や「エンゼルプラン」(保育所整備)など、少子化対策を講じてきましたが、やはり出生率が回復することにはつながりませんでした。

今回の地方創生の目標として、50年後に1億人の人口を維持する、というものがありますが、そのためにはこの出生率を1.8以上にしなければなりません。このことを質疑しましたが、あまり歯切れのよい回答は得られませんでした。女性へのプレッシャーにつながるため、出生率を政府は具体的な数値を掲げないことは、暗黙のルールとされています。

■理想だけではなく現実を
人口減少の問題に関して私が考えるのは、理想ばかりを考えるのではなく、現実として減っていく人口に見合った政策や国のシステム作りをすべきではないかということです。もちろん、女性個人に対して出産を強要することはもっての他ですが、マクロの数字として目標を持つことが、結果的に結婚や出産・子育てをしやすい環境整備に繋がるのだと考えています。

これまでの人口減少への対策の効果や、現実的な人口の推移を考えても、日本の人口が今後8000万人程度になることは、ある程度やむを得ないと思います。もちろん、理想として人口が増えていく政策を進めることは良いことですが、それがうまくいかなかった時に「ごめんなさい、失敗でした」では済まされないのです。そのためのオプションを政府は用意すべきです。

しかし私のこの質問に対し、石破大臣としては「それは考えていないし、あってはならない」ということでした。
少子高齢化による税収の減少などが理由とのことですが、「日本が1億人あるいは、8000万人になった日本は終わり」と言っているのと同じです。理想のプランがダメなら終わり、という考え方は政府として非常に問題ではないでしょうか。

■社会環境と少子化のつながりとは
保育所の問題や雇用、収入など、いわゆる社会経済環境を良くすれば、結婚や出産、子育てが安心して出来る。という議論をよく聞きます。
しかし、日本がこれまでで一番出生率が高かったのは、戦後の混乱期です。こうした事実を鑑みると、人口の減少(少子化)は、本当に社会経済環境に原因があるのでしょうか。
今の日本は、”戦後の混乱期以上”に社会的にも経済的にも不安で、安心できない時代なのでしょうか。

私はそうは思いません。むしろ昨今の人口減少・少子化の問題というのは、いわゆる「マインド」の部分の問題だと思っております。人それぞれ多様な生き方が選べるようになり、文化が発展してきたからこその背景もあると思います。

今回の質疑で、人口減少の問題に対して、政府は大した答えを持っていないということが明らかになりました。
理想ばかりの政策を並べるのではなく、もっと現実を冷静に分析し、常に最悪の事態を想定した政策やシステムを考えておく、これが本来政府がやらなければいけないことなのではないかと、私は考えます。
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●山田太郎略歴(https://taroyamada.jp/?page_id=13)
慶應義塾大学経済学部、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程。
外資系コンサルティング会社などを経てネックステック社を創業、
同社を実質3年半で東証マザーズに上場。2012年12月より参議院議員就任。
東大・東工大・早大などでも教鞭をとり、著書も多数。