2019.9.21

欧州視察⑦スウェーデンの地域包括ケア

【欧州視察⑦】スウェーデンの地域包括ケア

9月17日、スウェーデンのストックホルム郊外にSKL(スウェーデン・コミューン・ランスティング)連合を訪ねました。

スウェーデンの地域包括ケアの特徴は、医療はランスティング(広域地方自治体=県)、介護サービスはコミューン(基礎自治体=市区町村)と担当が明確に分かれている事です。そして、包括ケアはコミューンが主体であることです。

ランスティングで治療の終わった入院患者は、直ちにコミューンが担当する在宅介護かナーシングホームや老人ホームと言った特別な住居に移ることが原則となっています。コミューンが適切なサービスが出来ず退院できない場合は、コミューンがランスティングに対してその費用を負担します。

これは、1992年に実行されたエーデル改革で高齢者に対する介護と初期医療か統合され、コミューンに一元化された結果です。これにより社会的入院(必ずしも治療や退院を前提としない長期入院)が激減したという事です。

一方、プライマリケア(医療)も改革しました。緊急でない健康問題(通常の外来)は、まず事前登録している地域医療センターに電話相談し、その指示で受診を行います。

地域医療センターでは、入院を必要としないあらゆる患者に対応、医師(総合診断医)、専門看護師、看護師、准看護師、心理カウンセラーなどが勤務してタスクシフトが進んでいます。患者を受診する頻度は医師と看護師が同程度です。そして、必要に応じてランスティングの専門医を紹介する仕組みです。

退院後は、ランスティングからコミューンの看護師に担当責任が移るというのも特徴です。

この仕組みは大変合理的ですが、問題も指摘されてます。日本と違い、直接専門医に掛かることが出来ません。現地の話では、相談から地域医療センターへの受診が1週間、ランスティングの専門医のもとで入院するには90日間かかるケースもあるとのこと。すぐに専門医に掛かれず重篤化したケースも多々あると、問題が指摘されています。比べると、日本の専門医制度はアクセスについてはサービスが過剰にいいとも言えます。

地域包括ケアの仕組みを考える時、オランダのような、家庭医制度やスウェーデンの地域分権型の地域自治体の介護や医療の役割分担を日本も参考にするべきだと思います。