2014.6.5

TPPと担い手法案、多面的機能法案について質疑しました

6月3日、参議院農林水産委員会にて質疑を行いました。

議事録(未定稿)

○山田太郎君

 みんなの党、山田太郎でございます。よろしくお願いします。
 今日も西村副大臣、後藤田副大臣には来ていただきまして、毎度毎度、どこまで答えが出てくるか分からないんですけれども、TPPの話と、それから規制ワーキングチームの話も少しさせていただきます。もちろん、林大臣にもたくさん質疑させていただくことはありますので、午後の時間でありますけれども、よろしくお願いします。
 さて、まず法案関連ということで、TPPについて少しお伺いしたいと思っております。
 先週の二十九日、三十日ですが、ワシントンでTPPの日米事務レベル協議が行われたと伺っています。新聞にはいろいろ出ているんですけれども、協議の状況とか評価について公式見解を是非内閣府さんの方からお願いしたいと思います。

○副大臣(西村康稔君)

 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、二十九日、三十日、アメリカ時間でありますけれども、ワシントンDCで我が方の大江首席交渉官代理とカトラー代表代行との間で事務折衝、かなり詰めて二日間行ったわけであります。八合目ぐらいまで来ているという御本人の発言もありましたけれども、残り、間を、間合いを狭めるということで、かなり激しくやり取り、一進一退という表現もしておりますけれども、やりながら、少しずつ前を向いて進み出るところと、ある程度の進展はあったというふうに伺っております。
 この状況を受けて、七月には首席交渉官会議をやることになっておりますので、その前にもう一度、今月下旬をめどに二人の間で更に交渉をやるという予定にしておりまして、引き続き、最後のところがやっぱり一番難しいわけでありますけれども、粘り強く交渉を進めていきたいというふうに思っております。

○山田太郎君

 今副大臣の方から話もありましたけれども、本当に七、八合目なのかということで、絶望的な瞬間があったと、まさに崖崩れというか、転落しちゃうんじゃないかなんというような話も報道では出ていたかと思います。
 さて、この東京での日米の首席官交渉会議、これ、合意は難しいのかどうか、この辺りもお答えいただけますでしょうか。

○副大臣(西村康稔君)

 七月に首席交渉官会合をやろうということで、前回のシンガポール、五月十九日、二十日の会合で決まったわけでありますので、そこに向けて今、日程も調整をしているところでありますけれども、これまでの何度か御答弁もさせていただきましたけれども、先に閣僚会議を決めると、いつも難しい問題をどんどんどんどん閣僚会議に上げて事務的にはなかなか詰まらないという状況が昨年の年末来続いてきておりますので、閣僚会議やるたびごとにそのことを確認しておりますので、今回は首席交渉官会合である程度の時間を取って、日数も取って、そこでしっかりと詰めて、前回シンガポール、五月十九日、二十日で整理されたものを更に論点を狭めて、閣僚会合にどれを上げるか、これをかなり絞ってやれれば、その次が、閣僚会合が見えてくるわけでありますけれども、この首席交渉官会合で日米の、それまでの日米のこの六月下旬で更に間合いが詰まれば、それをベースに各国にもいわゆるマーケットアクセスの議論を行い、さらに、ルール、知的財産とか投資の保護とか、こうしたところも議論を行って、論点が狭まってくれば次が見えてくるということですので、これはなかなか最後の部分、なればなるほどみんな難しいところが残ってきますので、非常に厳しい交渉がまだ続きますから、まだ合意が見えているというところではありませんけれども、だんだんだんだん絞られてきている状況でありますので、是非この首席交渉官会合でかなりの部分を論点を詰めてもらって、それで次の閣僚会合が見えるように是非期待をしたいというふうに思います。

○山田太郎君

 富士山登りも九合目が一番きついということでありますので、我が党としてはTPP推進の立場でありますから、是非頑張って登り切っていただきたいと思います。
 そういう関連で、TPP、割とこの農林水産委員会では厳しい意見も出ますが、逆に日本の農業にとってプラスの面というのはないのか。この辺り、農林水産大臣にも今回はいい機会ですからお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 TPPを通じてアジア太平洋地域の活力を取り込んで力強い経済成長を実現すると、これは我が国の国益になると、こういうふうに考えておりますが、農業分野について申し上げますと、関税撤廃による国内生産への影響を懸念する声が強いということで、衆参の農林水産委員会で重要五品目など聖域の確保を最優先することが決議をされております。
 今やっておる農政改革、これは農業従事者の減少、高齢化が進展する中で活性化待ったなしの課題であると、こういうふうに考えておりまして、TPPいかんにかかわらず取り組むべきものと、こういうふうに考えております。

○山田太郎君

 TPPと農業改革関係は質問したわけじゃなかったんですが、大臣の方から個別でもやるんだという話を聞いたけれども、どうも思惑としてはやっぱりTPPと農業改革という関係もあるのかなというような思惑も感じました。
 西村副大臣には、ここまでが関連質問ですので退席していただいて結構でございますが。

○委員長(野村哲郎君)

 西村副大臣は御退席いただいて結構でございます。

○山田太郎君

 それでは、両案のちょっと質疑に入っていきたいと思いますが、この前提になっております生産調整、減反見直しという辺りについてお伺いしたいと思っています。
 主食用米に関しては今後も引き続き政府が生産数量目標を示していくと聞いていますが、飼料用米などの転作作物については、これどうなっていくのか。この辺り、教えていただけますでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 この米政策の見直しでございますが、五年後を目途に、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、生産者や集荷業者、団体が中心となって円滑に需要に応じた生産が行えるように各般の環境整備を進めると、これを決めておるところでございます。
 主食用米については、今まで全国ベースの需給見通しの策定、やっておりました。これに加えて、より細かい県レベルでの販売進捗、在庫情報、価格情報、こういうものを毎月提供するということにしております。
 餌米でございますが、米粉用米、大豆等、餌米と並んで主食用米以外の作物、これまでも実需者との契約で取り組まれてきたものでございますので、主食用米と同様の形での情報提供というものは行っておりませんが、例えば餌米では畜産農家から新たに七万三千トンの供給希望がありまして、生産要望のある耕種農家とのマッチング活動を行うと、こういうようなことをやったりしておるところでございます。
 こういう情報提供を進めまして、餌米、また大豆等々の需要に応じた生産の拡大というのを図っていきたいと思っております。

○山田太郎君

 今回の見直しというのは、それぞれ農業者が転作含めて何を選んでいくかは個別に考える、ただし、その情報はきちっと農水省さんが出しましょうと、こういう改革だと思いますが、ちょっと餌米に関してはこの委員会の中でもかなり質疑続いていると思うんですけれども、どうもその需給というのが、見通しが怪しいというかよく分かぬと。これも質疑通じて繰り返しになりますが、カントリーエレベーターの問題、流通の問題、そもそも餌米を使う畜産者がどれぐらい需要があるのか。そこをマッチングすると言っているんですが、既に政策は実行されているわけでございまして、平成三十二年には七十万トン。でも、残念ながら今は十八万トンぐらいしか扱われていないと。
 こんな中で、来年、再来年、どういう見通しなのか。今これが分からない中で実際にそういったもう政策転換がされて、現場は非常に不安というか混乱というか、このままではなかなか飼料用米を作るのに至れない、これは現地のいろんな現場を見てきた声だったと思います。
 その辺り、もう一度しっかり、重要な局面にあると思っていますので、政府の方から見解、特に具体的数量、見通しがあればいただきたいと思います。いかがでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 先ほど申し上げましたように、七万三千トンというものが供給希望があるということでございまして、このマッチング活動を行っておるということは申し上げたとおりですが、さらに日本飼料工業会からも、価格等の条件が合えば当面四十一万トン、中長期的には約二百万トンの使用が可能だと、こういう発表があるということでございまして、これらのマッチング活動を推進していきたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
 これは、餌米は今までも水田のフル活用という観点から八万円の補助をやっておったわけでございまして、今十八万トンというお話がございましたけれども、平成二十一年には二・三万トンであったわけでございますが、それが二・三、八・一、十八・三と、こういうふうに伸びてきておりますので、今後もこのマッチング等、それから耕種農家側の対策、それから畜産の方のいろんな支援、こういうことを通じましてしっかりとこの数字を伸ばしていきたいと、こういうふうに思っております。

○山田太郎君

 今大臣の方からは期待されるような数字とかをおっしゃっていたんですけれども、もしこの需給のいわゆる見通しが間違っていた場合はどうなってしまうのかと。
 それから、もう一つお伺いしたいのは、飼料用米についてはナラシの対策をされるのかされないのか、この辺り、需要の見通しに対する政府が発表した数字に対する責務。それから、米はナラシをやるというふうに書いてあるんですけれども、飼料用米等に関してはどうなのか。その辺り、教えていただけますでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 先ほど二百万トンと申し上げましたが、さらに、これも常々御答弁しているところでございますが、例えば鶏に対してどれぐらいが置き換われるか、豚に対してどれぐらいか、牛に対してどれぐらいかと、こういうもの、現行の技術水準ということを勘案しますと、大体四百万トンを超える潜在的な需要があると、こういうことでございまして、先ほどの二百万トンというのも、そういう状況の中で工業会さんが発表されたと、こういう経緯だと、こういうふうに思っておりますので、この潜在的な需要をしっかりと実需に結び付けていく必要があるということでございます。
 それから、ナラシのお話ですが、餌米は対象にされておらないということでございます。

○山田太郎君

 そうすると、飼料用米で作ったお米、割と政策的に今すごく魅力的な多分トン数、数字。それで、これも現場見てくると、やっぱり設備投資が非常に必要なんですよね。そんな中で、また投資をして外れた場合、政府の農政の見通しの甘さというのが、本当に大丈夫なんだろうか、今後それすらやっぱり現場の農家が全て責任を負わなきゃいけないものなのかどうか、この辺り、今回の政策転換、非常に重要な局面であります。
 厳しいことは厳しいことを言っていただいた方が現場の混乱にはつながらないと思いますので、その辺りをもう一度大臣から答弁いただけますでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 これは畜産側の課題としても、やはり輸入の飼料に頼っているというところがよく言われておりますように、畜産ではもう規模の拡大はかなりのもう各国と比べても遜色ないところまで進んでいると。ただ、やはり餌というものが輸入に頼っているという意味で、畜産からとっても非常に大事なことだと、こういうふうに思っております。
 流通体制の構築のために二十五年度の補正で攻めの農業実践緊急対策、畜産収益力向上緊急支援リース事業、それから二十五年度補正、二十六年度引き続き、強い農業づくり交付金、こういうもので、先ほど申し上げました耕種側の乾燥調製貯蔵施設の整備、畜産側で必要となる加工・保管施設の整備、粉砕機、こういう支援を行うと、こういうふうにしておるところでございます。
 それで、まさにこのマッチングをして、需要というものが先ほどの工業会からも発表されたように現実化してくるという中でこういう設備投資の判断が行われるということでございまして、かつてのように政府が生産の数量を決めてそれを配分してそれに基づいて設備投資をするということではなくて、しっかりとした需要に基づいてこういうものが行われていくということは基本になければならないと、こういうふうに考えております。

○山田太郎君

 現場は結構大変厳しい状況なのかなというふうにも思っております。
 さて、ちょっと担い手に関しても少し、時間がどんどん過ぎていますので、お伺いしていきたいと思いますが。
 今回の経営所得安定対策なんですけれども、我々としては、経営の規模拡大につながるということを念頭に制度設計をするべきじゃないかと、こういうふうにも思っておりまして、そういう意味では、緩やかな改革という意味における戸別所得補償政策、意外と、民主党の案、理にかなったものだったなと改めて実は実感しているところもあるのでありますけれども。ただ、今回の自民党さんというか政府が出された対策は、規模要件の撤廃という事項があります。これだと小規模経営の温存につながるおそれがあるんじゃないかと、こんなふうにも思っているわけです。
 そこでお伺いしたいんですが、認定農業者の基準に規模要件や年齢要件など独自要件を設定している市町村に対して、実は今年の四月一日からなんですが、それを是正するように地方へ通達を出しています。農業経営基盤強化促進法に関するものということで出しておるんですが、どんな指導を具体的にされているか、お答えいただけますでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 認定農業者制度の運用に当たりましては、これまでも、農業経営改善計画の目標の達成が見込めるのに、例えば年齢等の独自基準を定めて、これを満たさない者は一切認定しないと、こういった画一的な運用を行っている市町村については、そういった独自基準を廃止して適切な運用を行うように指導を行ってきたところでございます。
 昨年の臨時国会で、今お話ししていただきましたように、農業経営基盤強化促進法を改正いたしました。この周知に当たって、認定農業者制度についても、独自基準を設けて、これに基づいて画一的な運用を行うことがないように改めて都道府県を通じて市町村に対する運用の徹底、これを図らせていただいたところでございます。
 市町村から個別の問合せがある場合に対しても、具体的な内容を十分に伺った上で、その都度アドバイスを行っているところでございまして、今後とも認定農業者制度の適切な運用を徹底してまいりたいと思っております。

○山田太郎君

 ただ、日本は非常に広くて、北海道から沖縄、それから平地だとか中山間地域、いろいろあると思うんですね。そういう意味では、市町村の判断で例えば大規模な担い手を増やしたいとか又は若手を増やしたいとか、そういう判断もあるかと思っています。
 特定農業者の基準に独自要件を例えば設定してもそれ自身は法律違反にはならないということなので、もうちょっと市町村を信じてその意向を尊重するべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 農業経営基盤強化促進法に基づきまして、認定農業者の認定に当たっては、農業者自らが農業経営改善計画、これを作っていただくと、こういうことになっております。これを、市町村が作成した目標、基本構想に照らして適切なものであるということ、それから計画の達成される見込みが確実であるということ、こういうことに照らして市町村が判断すると、こういう仕組みになっておりまして、申請時の例えば年齢等をもって認定の可否を判断すると、こういうふうにはなっていないわけでございます。
 したがって、市町村が認定農業者の認定の可否を判断するに当たって、例えば若い担い手を育成したいんだということで独自基準で年齢等の基準を設けますと画一的な運用になりがちになってしまいまして、例えば一定の年齢は超えているんですけれども、ほかの産業での御経験があって、将来に向けて農業でやっていく、生計を立てていく意欲と能力がある、こういう方がこういう形式的な基準で入口で排除されるということにつながりかねないということでございますので、画一的な運用になりがちな独自基準というものは適当でないと、こういうふうに考えております。

○山田太郎君

 余り、ちょっと言葉遊びはしたくないので。ただ、市町村の考える地域政策というのもあるでしょうから、逆に国の方が画一的な基準でもって排除しないということもあるでしょうから、是非その辺は、指導の件、よろしく留意していただければと思っております。
 さて、今、担い手というのを増やさなきゃいけないということでこの法案も議論されているわけですけれども、いまいちその担い手というのがどうあるべきなのかということに関してもきちっとしておかなければいけないのかなというふうに思っています。そういった意味で、その担い手を増やすということも目的として多面的機能支払というものもあるということなわけでありますけれども、私の方は、これは面積当たりで配るのはどちらかというともうばらまきではないかと、こんなような実は質疑もさせていただきました。
 そういう点で、ちょっとその担い手と多面的機能支払というところでお伺いしていきたいんですが、例えば水路とか農道の管理も御自身でできない方が、これは例えば対象としては、前回ちょっと質疑の方をさせていただきましたが、全体の農地の七〇%の方が対象者となるわけなんですけれども、そんなにたくさんいるのかどうかということなんですけれども、いかがなんでしょうかね。

○国務大臣(林芳正君)

 この七割という数字が多分中山間地域支払等も含めてという、こういうことだと、こういうふうに思いますが、いずれにしても、水田を中心に農業というのが土地、水のつながりで地域ぐるみで営まれております。水路、農道等がやはりそこの箇所だけではなくて全体として適切に管理されておりませんと機能が発揮できないと、こういう性格がございますので、こういう水路、農道等の維持管理が地域の共同活動を通じて地域全体で行われていたところでございます。
 農業の高齢化、リタイア等によって地域の共同活動で支えられていたこういった水路や農道等の維持管理が困難を来すようになっておりまして、担い手にとっては施設を単独で維持管理する負担の増大、こういうところがネックとなって規模拡大を進めることが阻害されると、こういうことも懸念をされるということでございまして、そういった意味で、担い手の規模拡大ということを進めるためにも施設の維持管理に係る担い手の負担の軽減というものを図って、規模拡大を推進しやすい環境というものは整備をする必要があるだろうと、こういうことでございます。
 したがって、施設の維持管理について、地域の住民、地域の実情に応じて、農業者のみに限らず、地域住民等も含めて地域全体で取り組む共同活動で支えていくと、これが重要であるというふうに考えておるところでございます。

○山田太郎君

 ますます担い手というのが何だか分からなくなってきちゃったので、ちょっとその定義ももう一度ひもときたいなというふうに思うんですが、質疑の中でも、やる気と能力がある農業者というんですけど、それが半分だというんですね。そうすると、やる気と能力がない農業者が今半分なのかという議論をちょっとはっきりさせなきゃいけないことと、面積当たり七割というのが何か数字的に合わない感じがしております。
 それからもう一つは、じゃ、やる気と能力がない農業者は逆に担い手じゃないので、対象じゃないから排除するという考え方なのかどうか。どうもちょっと、担い手とは何なのか、どういうふうに増やしていくのか、この多面的機能法案によって本当に担い手をサポートできるのか、何となく最後に来て申し訳ないんですけど分からなくなってきてしまったので、是非その辺り、大臣の方からお答えいただけないでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 先ほど七割という数字、少し申し上げましたけれども、私が答弁をいたしましたのは、新たに創設する農地維持支払について、約二百五十万ヘクタールから最大約三百万ヘクタールの農用地で取り組むことができる予算額を確保したと、この面積は対象となり得る農用地面積約四百九十万ヘクタールに対し五〇から六〇%程度に相当すると、こういう御説明をしたわけでございますが、それに中山間地域とか環境保全型の面積を加えて差引きすると七〇%というふうに委員がおっしゃっていると、こういうことだと思います。
 認定農業者につきましては、農業経営基盤強化促進法で、地域、先ほど申し上げましたように、市町村がこの地域の実情に即して効率的、安定的な農業経営の目標を内容とする基本構想、これを策定をします。この目標を目指して農業者が作成した農業経営改善計画を認定する、こういう仕組みになっております。さらに、その市町村の基本構想は、都道府県で基本方針、こういうものを作っていただく、こういうことになっております。大本は、平成四年の新政策と言われています、新しい食料・農業・農村政策の方向というのがございますが、そこにおいて、他産業並みの年間労働時間と生涯所得を実現する効率的、安定的な経営体、これが生産の大宗を担うような農業構造を確立しようと、これが農業政策の目標として提示をされました。したがって、この認定農業者制度というのは、こういう農業構造を実現するために、今議論になっています農業経営基盤強化促進法、これによってこの制度がつくられたと、こういうことでございます。

○山田太郎君

 他産業的な自立した農業者というふうに最終的に定義をしてしまうと、今回、中山間地域等々も含めて、正直、産業として難しいんじゃないかという議論も、我々、農水委員会、見てきたわけで、何となくうまく当てはまらないような気がしておりまして、これはまたちょっと大事な話だと思いますので、ずっと続くものだと思いますから、次回、この法案もあるでしょうけれども、続けていきたいと思います。
 もう一つ大事なことに、多面的機能支払の中に農地維持支払と別に資源向上支払がありまして、これは農村の環境保全活動を行うということが要件になっているわけですね。この保全活動なんですが、水田の生き物の調査ですとか花の植栽ですとかそういうものが活動内容とされているんですけれども、年に何回ぐらいやるとそういった活動に交付金がもらえるのか。あるいは、例えば年に一回とかそこらで水田の生き物調査とか花の植栽を行うとどうしてそれが担い手の事業拡大にはつながるのか。何となくその辺もよく分からなくて、是非教えていただきたいと思います。

○大臣政務官(横山信一君)

 この資源向上支払の農村環境保全活動についてでございますが、年に何回行うとということでございますけれども、この活動、例えば景観形成のための農道の植栽でありますとか、それから水路の生物の生息状況の把握をしたりするわけでありますけれども、これらの活動について地域の実情に応じて現場で活用しやすい仕組みとなるよう、支援の対象となる活動の実施回数については特に定めていないという状況でございます。

○山田太郎君

 そうすると、何か、何でも申請すればもらえちゃうのかなという、ちょっと不思議な、これ根本的に、よく考えたんですけれども、面積に対して払おうという元々の考え方に無理があるのかなと。元々背景はこれコミュニティーの形成とかという議論をしていたので、であれば、活動に対して支払う、人に対して支払うというんですかね、もう一つは現場のいわゆる農地が生産性が高まったり向上するということに対してダイレクトにやっぱりこういった支払を付けていくというのが本来の考え方なんじゃないかなと、本当に多面的機能を守っていくことになるんじゃないかなということも思いまして、ちょっと制度設計上、何となく理解できないというか、無理があるんじゃないかなというちょっと指摘をさせていただいて、次に、済みません、行きたいと思っています。
 今日は後藤田副大臣の方にも来ていただいていますので、規制改革会議、シリーズで少し質疑させていただいているんですが、今日は農業委員会について少し進めていきたいと思います。
 前回のこの委員会でもこの農業委員会に関しては大変厳しい意見が出たんですが、我が党的にはこのタイミングを捉えて是非農業委員会改革していただきたいという、どちらかというと肯定的な意見も少し言わせていただきながら、中身は皆さんと質疑していきたいので、是非よろしくお願いしたいというふうに思っております。
 まず、お手元に今日、資料を配付させていただいたんですが、これ、農水省さんが平成二十四年一月から二月にかけて調査をした結果であります。元々、農水省さん、平成二十年農地改革プランに基づきまして農業委員会の改革にも踏み込んでおられて、その関係で調査されたということだというふうに聞いております。
 それで、見ていただきたいんですが、やっぱり農業委員会に対して、特に現場の農業者、それから農地保有合理化法人さんはかなり不満を持っていらっしゃるというのは事実なのかなというふうに思うんですね。
 それともう一つ、ちょっと資料では付けていないんですが、この背景にあります回収率というのがありまして、実は農業委員会事務局さんとか市町村さんは八〇とか六〇%という回収率なんですが、農業者さんは僅か一八%ということで答える気もないと、こういうふうにも読み取れるわけでありまして、こういうことを受け止めて今回の農業委員会の改革に着手すべきではないかと、こんなふうにも至ったんだと思っています。
 そういった意味で、まずちょっと大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、何も規制改革会議に頼らずとも、農水省を含めて、このプランが出たときに改革が農林水産省の方でも一緒にできなかったのかどうか、ちょっとこの辺り、経緯というか、少し大臣の方からも御答弁いただければと思っています。

○国務大臣(林芳正君)

 農業委員会については、今のアンケートはお示しいただいたとおりでございますが、農業者から評価を必ずしもされていないというのはこのアンケートでも明らかでございます。
 それで、改革の経緯ということですが、累次、農業委員会については制度の見直しを行ってきたということでございますし、ここでも御答弁申し上げたことがあると思いますが、昨年の十二月に農業それから地域活力創造プランというものを決めて、いろんな、農地中間管理機構ですとか、経営所得安定対策の見直し、米政策の見直し等決めたときに、あわせて農協や農業委員会については規制改革会議等の意見も踏まえながら六月にこのプランの改定という形でやると、それが十二月に決まっておりましたので、我々としても全く何もせずに見ていたと、こういうことではなくて、今までもやってまいりましたし、今後も必要な改革はやるということは十二月のプランにも書いてあったところでございますので、それに従って今、改革案を検討中と、こういうことでございます。
○山田太郎君 もう一つ、この資料を見ていただきたいんですが、例えばJAさんなんかも約半分ぐらいが、活動しているが内容には不満があるというような形で、半分ぐらいがちょっとネガティブな意見なんかもされているということだと思うんですね。
 今日はもう資料多過ぎるといけないのでお出ししなかったのですが、その不満の中で、何で活動に不満かというと、農家への働きかけが形骸化していると。これJAさんが、八〇%弱の方が答えていらっしゃる。それから、活動が低調な理由としては、この委員会が名誉職になっていると。これJAさんが、不満の中で六二%の方がそうおっしゃっていると。指摘に対する考え方として、もっと役割を変えるべきだという意見も非常にJAさんを始めとして国の機関の方もたくさん言っているというのが現実的にこれ農林水産省さんが調べた調査だと思うんですね。
 こんなことも踏まえながら、是非、今日は後藤田副大臣に来ていただいていますので、今回の背景とか趣旨、少し簡単に御案内していただければと思います。
○副大臣(後藤田正純君) 委員御案内のように、先ほどの農水省さんの作られたアンケートも私どもも参考にさせていただいておりまして、農業委員の名誉職の問題だとか、また一方では農業委員会事務局の人手が不足しているだとか、様々な観点がございます。
 先ほど農林大臣もおっしゃったように、これはもう農林省さんももう釈迦に説法のことだと思いまして、平成十六年の農業委員会法の改正、また二十一年の農地法改正というのはまさに、いわゆる個別の申請など受け身の業務が中心だったものから、これを積極的に関与する能動的な業務を追加するという大きな変換をされたわけでございますが、しかしながら、我々の規制改革会議では、先ほどの委員おっしゃったアンケート結果の中での背景だとか、また様々な現地視察、ヒアリングも含めて、また一方で耕作放棄地がそうはいっても二十一年改正後も増加をしている現状、そしてまた既存の農業者のみならず、またこれから多様な担い手の参入をしていただかなければ農地を保全できない、またそういう方々のためにしっかりと農地を保全するという、こういう取組の一層の強化をするために、農業委員会のいわゆる機能強化という切り口での観点で規制改革会議では意見を出させていただいたところでございます。
○山田太郎君 この農業委員会の選挙制度ということに関しても廃止の提言ですとか、これは実際、私が質疑した中でも、実は九割が無投票で決まっているということ、全国千七百の農業委員会のうち九割が無投票だというようなことも調べていただいたんですが、また農業団体からの推薦制度の廃止も打ち出されているということであります。
 確かに結構大きな改革でありまして、選挙制度の廃止と農業団体からの推薦廃止という重要な提言もされていますが、これ、大臣の受け止め方、是非聞きたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 この規制改革会議の御提言に対する受け止めと、こういうことで今選挙制度とそれから団体推薦制度についてお話があったところであります。
 まず、選挙制度でございますが、歴史を遡りますと、昭和二十六年の農地解放で農地の売渡しを行った農地委員会、それから食料の供出を行った農業調整委員会、技術指導を行った農業改良委員会、これ三つが一緒になってできたのが農業委員会でございますが、当時どの農民もおおよそ同じ経営規模であったということと農地委員会と農業調整委員会が選挙制ということがあって、選出に当たっては選挙制を採用したと、こういうことであります。
 農業委員会は、市町村の独立行政委員会という位置付けでありまして、担い手への農地利用の集積、集約化、新規参入の促進、耕作放棄地の発生防止、解消と、こういうものを積極的に進めていくというのが何よりも重要だと、こういうふうに思っておりまして、選出の在り方については、農業委員の、このような観点から考えていく必要があると考えておりまして、与党と協議しながら最終的な結論を導いていきたいと、こういうふうに思っております。
 それから、団体推薦制度でございますが、この選任委員は、法律で、農協、共済組合、土地改良区が各一名、その組合員等が推薦する団体推薦委員、それから市町村議会が四名以内の学識経験者を推薦する議会推薦委員、こういう人から構成されると、こういうふうにされております。地域の農業関係団体や幅広い分野の学識経験者の参画を得て農業委員会の事務の円滑な遂行を図ると、こういうことで設けられているわけであります。
 先ほど申し上げましたように、この農業委員会の役割というのは先ほど申し上げたとおりでありますので、そういう観点に照らしてこの選任委員の在り方も考えていく必要があると、こういうふうに考えております。
○山田太郎君 もちろん、規制改革会議が出してきたものを全て我々も、だからいいんだというわけにはいかないんで、ちょっと逆にその案の中でも見ていきたいんですが、規制改革会議の案における農業委員会の目的として遊休地対策、転用違反対策、重点置きましょうということなんですね。今回、改組しまして農地利用推進員の新設ということをする。そうすると、逆に、じゃ、どうしてそれがうまくいくのか、遊休地がなくなって本当に転用違反が減るのかどうか、その辺り、どういう仕組みでそういうことができるのか、是非そこはお聞かせいただけますでしょうか。

○副大臣(後藤田正純君)

 先ほどもお話ししましたが、今委員御指摘の部分ですが、やはり農業委員会の機能の強化ということで、先ほどは農業委員会の構成として、平均的な農業委員会というのは大体二十一人ぐらいで、選挙委員が十六名、また選任委員が五名、このような平均的な形になっていますが、それに事務局が職員五名と、これがいわゆる一般的な農業委員会の形でございます。
 その中で、先ほど来の農家の方々、また、いわゆる多様な担い手の方々のいろんなお声といいますか不満といいますか、それに対応するためにはなかなか現体制では難しいのではなかろうかという議論がございました。実際、耕作放棄地の調査とか改善ということも二十一年農地法改正の中にもございますけれども、なかなか人員の確保、例えば市町村の事務局も市町村内部部局との兼任している職員が半数いるとか、こういった現状を踏まえますと、新たに農業委員会の下に専門的に、いわゆる中間管理機構が今度できるわけでございますが、それに伴っての利用意向調査だとか、また転用違反の対応だとか、こういった体制を実務面でしっかりと整備するべきではなかろうかなということ。
 加えて、また、新規就農を希望する者が容易にコンタクトできるワンストップサービス、こういったものも実現すべきじゃないかというような意見もございまして、そういう対応に対しても、今度の、仮称でございますが、農地利用推進員の中から一、二名を新規参入サポーターとして、またその連絡先を公表して、しっかりと農業、またいわゆる農地利用を活性化させていくという体制を整えたらいかがかという意見でございました。

○山田太郎君

 もちろん、問題があるからということで改善、改革することはいいんですけど、ただ壊せばいいというものじゃないので、そこは確かに新しい仕組みで、新しい仕組みをちょっと拝見させていただくと、まだまだ詰められていないところがあります。そういったものを含めてどう変えていくかということがこれからの議論では極めて重要だと思いますので、ワーキングチームは多分ここまでの提言で終わりということであれば、農林水産省さんの方がこれを受けてどういうふうな設計をするのか。それで本当に農業委員会こう変えていくべきだということがまとまれば、それはもちろんいい改革案ということで賛同できると思いますが……

○委員長(野村哲郎君)

 山田委員、時間が来ておりますので、おまとめください。

○山田太郎君 はい。

 是非、そういう形で、これしっかり、今改革が必要だということは事実だと思いますので、進めていただければと思います。
 時間になりました。本日の質疑、これぐらいにしたいと思います。ありがとうございました。

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